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“捨てられた人”たちが集まる謎に満ちた島が舞台の青春ファンタジー!『いなくなれ、群青』がいよいよ劇場公開!

2019年9月5日

(C)河野裕/新潮社 (C)2019映画「いなくなれ、群青」製作委員会

 

捨てられた人が行き着く島、“階段島“を舞台に、男子高校生の主人公が幼馴染の少女と再会したことで始まる物語を映し出す『いなくなれ、群青』が、9月6日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『いなくなれ、群青』は、“階段島”を舞台に、ミステリアスな雰囲気をまとう少年・七草と、まっすぐで正しい少女・真辺由宇が再会したことから始まる物語を描き出す。七草は人口2000人程度の階段島にやって来た。階段島は捨てられた人たちの島で、島の人たちは誰もが自分がなぜこの島に来たかを知らない。特に疑問を抱くことがなかった七草の島での高校生活は平穏な時間だったが、幼なじみの真辺由宇との再会により状況は一変する。「納得できない」と憤慨し、島から出るために島にまつわる謎を解き明かそうとする真辺。七草と周囲の人々は真辺に巻き込まれていく。

 

本作は、大学文芸員が選ぶ第8回大学読書人大賞や、「読書メーター」 読みたい本ランキング第1位などを獲得した河野裕のミステリー小説を横浜流星さんと飯豊まりえさんの主演で映画化。七草役を横浜さん、真辺役を飯豊さんがそれぞれ演じる。監督はアメリカの高校在学中にバッカイフィルムフェスティバルのオハイオ州優秀賞を受賞した柳明菜さんが務めた。

 

(C)河野裕/新潮社 (C)2019映画「いなくなれ、群青」製作委員会

 

映画『いなくなれ、群青』は、9月6日(金)より、大阪・梅田の梅田ブルク7、難波のなんばパークスシネマ、京都のT・ジョイ京都、神戸のOSシネマズ神戸ハーバーランドをはじめ、全国の劇場で公開。

観終わって、「なんだこれ…!」と興奮するか、「なんだこれ…?」と呆然とするか。観る者を選ぶ、というよりは、その人にとって観るタイミングを選ぶ作品かもしれない。

 

仕掛けが施されたストーリーではあるが、重要な要素ではない。普通とは何かが少し異なる謎の島で青春の日々を送る少年少女たち。「失くしたものを見つけなければいけない」と言いながら、その反面で大抵の大人なら失くしてしまったものをまだ抱えている姿が切なくも愛おしい。

 

かなり思い切った設定だが、無理なく語り切る、美しいセリフ回しと清々しいキャスト達。もしかしたら、自分もこの階段島に居たことがあったかもしれない、今はもう忘れてしまったけど。…と思わせてくれる、爽やかな余韻が残った。

fromNZ2.0@エヌゼット

 

七草は許せなかった。彼女がこの島にいることを…

 

スクリーンにどこまでも広がっていく澄んだ青、青、青。ほう、とため息をこぼし、瞬きをためらった。この島が魔女によって創られたと聞いて、思わず膝を叩く。そりゃそうだ。魔女でもなきゃこんな幻、描けない。

 

本作のヒロイン・真辺は、眩しいくらい強い子だ。背けたかった苦しみや真実に揺るぎなく目を向けるだけでなく、周りにもそれを求める。誰だって傷つくことは怖い、傷つけることはもっと怖い。でも彼女はまっすぐ問う。「傷つくことは、いけないことなの?」

真辺を見つめる七草の表情は、まるで流星を見つめる子供のようだった。彼の感情の呼び名を、私はまだ、知らない。

fromナカオカ

 

「この島を出るには無くしたものを見つけなくてはいけない」

捨てられた人たちが集まる島には多くの謎が存在する。無くした記憶、島を管理する魔女の存在、不可解な落書き…。謎に対する「なに?」「何で?」が強いほど後半、糸がほろりと解けていく感覚は切なさを覚える。

 

物語の中核が「謎を解決すること」ではなく、その「後」にあり、島の全貌が分かってからが本腰であることも興味深い。幻想的な映像の中で若手キャスト達が放つセリフには思わずグッとくる。生活のなかで「まあいいや」で見捨てられていく感情がたくさん詰まっていた。

私にとってのピストルスターを、誰かにとってのピストルスターを、思わず考えてしまう。

fromマツコ

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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