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今関あきよし監督念願のモスクワを舞台に描いた『ライカ』大阪上映初日舞台挨拶開催!

2018年2月24日

モスクワを舞台に日本人の女性と女優志望のロシア人女性との関係を描く『ライカ』が2月24日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開。公開初日には、今関あきよし監督と主演の宮島沙絵さんを迎えて舞台挨拶が開催された。

 

映画『ライカ』は、自由奔放な日本人女性とロシア人女性の友情を超えた奇妙な愛情関係をロシア・モスクワでオールロケを敢行して描いた。天真爛漫な日本人女性ライカ。1957年に宇宙船スプートニク2号に乗せられたライカ犬を自身の境遇を重ね合わせる彼女は、モスクワの外れの小さな墓地で女優志望のロシア人女性ユーリャと出会う。アパートで奇妙な共同生活がスタートさせたライカとユーリャは、恋人同士のような甘く濃密な時間を過ごすが、突然起こったある出来事が2人の関係に影を落としていく…

 

今回、まず上映前に今関あきよし監督と主演の宮島沙絵さんが登場。今関監督は「この映画はロシア・モスクワで全て撮影しました。言語は8割がロシア語で字幕が入っています。少しだけ日本語が入っていますが、主演の宮島沙絵がロシア語が全く出来ない状態からスタートし、約1ヶ月半の猛特訓の末にロシア語で演じました。相手役のクセーニア・アリストラートワはロシア人。その2人のやり取りをどうやって撮っていくかが本作の大テーマでした」と紹介。今回、主演の宮島沙絵さんの舞台挨拶は東京だけの予定だったが、大阪にどうしても行きたいというお願いがあり、一緒に来阪となった。宮島さんは「まずは何も考えずに楽しんでほしいな」と思いを込めた。

 

本作の上映後、お客さんからの拍手が起こり、今関監督は、感謝しながら「拍手を頂いたのは初めてかもしれない。嬉しいですね。大阪の人は優しい」と喜びを表す。本作について、今関監督は「日本で公開する前に、モスクワで小さな試写会をやったり、ロサンゼルス日本映画祭で最優秀新人女優賞を受賞したりと、素晴らしい評価を頂き、本当にビックリした」と報告。映画祭で吉報を聞いた際は「何かの賞が貰えるかもしれない、と伺っていたが特別賞等を貰えたらいいかなという気分だった。映画に対してではなく女優への賞を頂くとは」と驚いた。宮島さんも「ビックリしました。映画祭で上映された作品の中に子役がメインの映画があった。最優秀新人賞と言われたので、子役の誰かかなと思って拍手を構えていたら、名前を呼ばれた。海外だから”Sae Miyajima”なので、一瞬誰なんだろうと思った」と本音を漏らす。今関監督も「宮島さんのお母さんもロサンゼルスに来ていた。さらに当日は母の日だったので、親孝行が出来て一緒にウルウルしていました」と懐かしんだ。

 

今関監督の近作は海外で撮ってきており「ほぼ日本で撮っておらず、ベラルーシでチェルノブイリ原発事故後のベラルーシを舞台にした『カリーナの林檎〜チェルノブイリの森〜』を撮った。ウクライナで『クレヴァニ、愛のトンネル』を撮って、今回がロシア。ロシア・モスクワで撮るのが念願だった」と吐露する。今関さんの映画人スタートは大林宣彦監督。師匠であり大先輩である大林監督と仕事をする中で「ソビエト連邦が崩壊した直後、ロシアの各地を回ってドキュメンタリーを撮る為に夏と冬に長く滞在した。日本との違いにはカルチャーショックがあり、おもしろく不思議な国でいつか映画を撮りたい」と願ってきた。だが、日本からは遠い国であるため「実現しないだろうと思っていた。でも、チェルノブイリをきっかけにベラルーシを知りウクライナで映画を作り、様々な知り合いが出来て、モスクワ在住の日本人と知り合いになり、今なら撮れるだろう」と一念発起。今作では「一番ハードルが高かったモスクワで撮れた。これは日本なら東京で撮るようなこと。許可関係含め難しいと思っていた国でようやく撮れた」と嬉しかった。ロシアについては「ソビエト崩壊直後と現在では全く違う。当時は混乱していて、外国企業が入ってきたばかり。銃撃や戦車が走った跡が多くあった。今は普通のヨーロッパの国になりつつある。凄く綺麗な街並み」と紹介する。

 

宮島さんは演じた役について「ロシア語だとわかり、私に決まることはないだろうと思ってオーディションに参加出来ずじまいだったが、私に声を掛けて下さり、オーディション形式で決めて頂いた」と明かす。これを受け、今関監督から「オーディションの時は、ユーリャと喧嘩するシーンを日本語で演じてもらった」とフォローする。宮島さんは「ロシア語の勉強は大変だったが、教えて下さる方が熱心な方で、教え方が上手で楽しくやっていました」と振り返る。宮島さんの頑張りについて、今関監督は「初めての映画出演に加えて、海外での撮影も初めて。本当にゼロからでした。小さくて可愛いですが、肝が据わっており、根性がある」と評価し、1つの課題を用意した。それは、現地に到着後、舞台出演の予定があるクセーニアに会って演劇を観てくるというハードルが高いことだった。宮島さんは「行けるだろうと思っていたが、地下鉄の切符券売機で見事に困ってしまった。後ろに長身のスキンヘッドの強面のおじさんがいて、わからないことを説明したら操作してくれた。さらに優しくて、後ろに並んでいる方にも説明してくれた」と告白。これを受け、今関監督は、ロシア人について「見た目が怖そうだが意外と優しい。笑顔を見せないが優しくて、ビックリするぐらいフレンドリー」だと説明した。

 

モスクワでの撮影では、様々なトラブルにも遭遇。小さなトラブルとして「ソビエト連邦時代に出来たコムナルカと呼ばれるアパートを借りた。1つのフロアに5部屋程度あり、その中の1部屋を借りて撮影したが、賑やかな芝居をしていると何度も怒られて、菓子折りを持って謝っていた」と今関監督は挙げる。大きなエピソードは、観覧車の撮影。作中では印象的に撮られているが「ロケハンの時は動いていたが、撮影時には取り壊し予定で止まっていた。シナリオライターのいしかわ彰に直ぐに連絡したが、止まっている状態をずっと撮れるのはラッキーだと考え、動いていない状態を活かそうと急遽変更した。一番重要な芝居が大曇天返しを喰らうために台本を直した。ロシア語に翻訳する時間が必要なので、練習時間が2,30分だけだった」と明かす。大変な状況だったが、宮島さんは「やらなかったら完成しないから、やるしかない。ロケハンに行った時、動いていた観覧車に乗った。凄く綺麗で、また乗れるんだぁと思っていた」と残念だった。これを受け、今関監督は「台詞を変えながら、結果的に印象的なシーンとなった。各地での評判も良く、いい意味で利用できた気がします」と前向きに捉える。

 

今作への反応について、今関監督は、各国での反応の違いを挙げながら「フェリーニの『道』に登場するジェルソミーナみたいだ、と最初に言われて驚いた。東京では、ライカはユーリャのイメージの産物で、存在しないもう一人の我儘な自分と決別する話という捉え方をする方がいた」と興味深く感じた。この解釈を受け、宮島さんは「男女によっても意見が分かれる。男性は、ユーリャが生み出したものだと捉える。女性は、女子のことをよくわかっている、とリアルに捉えていました」と伝える。本作のホームページには、手塚眞監督のコメントが掲載されている。今関監督は「手塚監督とは昔からの付き合い。鑑賞直後に聞いてみると、監督ならではのイマジネーションに富んだ感想があった」と受けとめた。解釈の答えは示さないが「ルームシェアした女の子が賑やかで鬱陶しくも愛おしいという空間を自由に撮りたかった」と打ち明けた。モスクワでの撮影に対し「撮りたいアングルで撮りたかった。モスクワは同性愛はある意味では禁じられている部分があり、狭い部屋の世界が小さな宇宙船のようなイメージでやりたかった」と真意を伝える。その後もお客さんからの多くの質問に真摯に応えていった。

 

映画『ライカ』は、大阪・十三の第七藝術劇場で2月24日(土)から3月9日(金)まで公開。その後も全国順次公開予定。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する
映画好き。映画ライター講座を受講し
関西の映画情報サイトを中心に執筆

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