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これからもきっと様々な人を受け入れる…!『牧師といのちの崖』加瀬澤充監督と牧師の藤藪庸一さんを迎え舞台挨拶開催!

2019年3月30日

自殺志願者に言葉をかけ、寄り添い、教会を開放して彼らの生活再建にまで取り組む牧師の藤藪庸一さんの日々に密着する『牧師といのちの崖』が、3月30日(土)より関西の劇場でも公開。初日には、加瀬澤充監督と牧師の藤藪庸一さんを迎え舞台挨拶が開催された。

 

映画『牧師といのちの崖』は、和歌山県の観光名所・三段壁で自殺志願者たちを救う活動を続けている牧師の藤藪庸一さんに密着したドキュメンタリー。風光明媚な観光名所だが、一方で自殺の名所としても知られている和歌山県の三段壁。牧師の藤藪は、人生に絶望して三段壁にやってくる自殺志願者たちの声に耳を傾け、帰る場所のない人々に教会を開放し、ともに生活しながら生きていく方法を探っている。藤藪は生活の場だけでなく、自らが運営している食堂で、人生を取り戻そうと働き始めた自殺志願者たちとともに働き、時には厳しく現実と向き合うことも求めていく。藤藪と彼らとの対話を通して、若者たちの生への低い肯定感やコミュニケーション不全、希薄な人間関係など、現代の日本社会が抱える問題が浮かび上がり、生きる意味とは何かを問いかけていく…

 

上映後、加瀬澤充監督と牧師の藤藪庸一さんが登壇。本作に込められた思いが溢れんばかりの舞台挨拶が行われた。

 

加瀬澤監督は、映画美学校でドキュメンタリー監督の佐藤真監督から教えを受けており、佐藤監督の背中を追いかけながらドキュメンタリーを制作し続けている。だが、佐藤監督は2007年9月に自死で亡くなり、加瀬澤監督は相当なショックを受け、心にぽっかりと穴が開いたような状態となり、どうしたらいいかと考えた。だが、この経験を糧にしてドキュメンタリーを作らないといけないと自らを奮い立たせ、藤藪さんに連絡を取り取材に励んでいく。恩師の自死を経験し「人はなぜ死にたいか。なぜ死んでしまうのか。藤藪さんと会って話をしていく中で『人は死にたいより生きたいとずっと思っている』と受けとめ、そのために何が出来るか考えている」と現場の取材をしながら、藤藪さんの思いを感じていく。その思いを以て本作が出来上がった。

 

藤藪さんは、撮影当時を振り返り「共同生活をしながら、生活の中に溶け込んで、カメラを構えていることすら分からなくなってしまうことが凄い」と驚きながら「衣食住を共にしながら、映画を作って下さりました」と感謝している。加瀬澤監督が「人手が足りないので、お手伝いを依頼される」と漏らすと「無理矢理だったかもしれません」と苦笑いしながらも「皆とふれあい、皆が心を許して、カメラに撮られることを許したんじゃないか。そうでなければ、人目に晒されるものでないですし、出演したいと思っている人はいない。皆さんが理解し協力して下さってここまで来ました」と達成感を感じていた。

 

最後に、立命館大学出身の加瀬澤監督は関西に縁があり「関西の劇場に呼んで頂いて、作品を上映して頂くことをうれしく思っています。皆さんに観て頂いて、一緒に話したり考えたり出来たらいいな」と思いを伝える。藤藪さんは「僕は妻や子供達と共に様々な人を家に受け入れてきました。無事に守られてここまでやってこれたことが嬉しい」と感謝の気持ちを述べ「これからもきっと様々な人を受け入れると思いますが、どんな人が来るか分からない。知恵を使いながら、最後まで守れたら。ぜひお祈りを覚えて頂ければ嬉しいです」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『牧師といのちの崖』は、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで公開中。また、4月13日(土)より、京都・烏丸の京都シネマで公開。なお、神戸・元町の元町映画館でも順次公開予定。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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