岡崎京子さん原作!青春の爆発と終わりを描いた『チワワちゃん』がいよいよ劇場公開!
(C)2019「チワワちゃん」製作委員会
岡崎京子さんによるコミックを原作とした、SNSが普及した現代の東京を舞台に、ありったけの若さを謳歌する男女グループの姿を描く『チワワちゃん』が、1月18日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『チワワちゃん』は、SNSが普及した現代の東京を舞台に、若者たちが繰り広げる青春を描いた群像劇。ある若者グループのマスコット的存在で「チワワ」と呼ばれていた女性が、バラバラ遺体となって東京湾で発見される。チワワの元彼や親友など残された仲間たちは、それぞれがチワワとの思い出を語り出すが、そこで明らかになったのは、チワワの本名も境遇を誰も知らないまま、毎日バカ騒ぎをしていたということだった…
本作は、「ヘルタースケルター」「リバーズ・エッジ」など、1980~90年代にかけて数多くの人気作品を送り出した漫画家の岡崎京子が1994年に発表した「チワワちゃん」を実写映画化。門脇麦さん、成田凌さん、寛一郎さん、玉城ティナさん、吉田志織さん、村上虹郎さんらが若者達を演じる。監督は、自主映画『SLUM-POLIS』等で注目され、『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』で商業デビューした弱冠27歳の新鋭である二宮健さん。
映画『チワワちゃん』は、1月18日(金)より、大阪・梅田の梅田ブルク7をはじめ全国の劇場で公開。
「好きでしたよ、チワワのこと。」と言ったときのミキ(門脇麦)の表情が忘れられない。
『リバーズ・エッジ』が若者の閉塞感を描いていたとするなら、『チワワちゃん』は若者の有り余るエネルギーと言える。(好んで使いたくないが)スクールカースト上位の人達を寄せ集めたような男女グループの中にも格差はしっかりと存在し、その感覚を理解している自分が苦しい。常に一歩引いた目線で皆を眺めていたミキが一番チワワちゃんに嫉妬し憧れて、「チワワは特別な子」として自分の感情に方を付けていたが、チワワちゃんは呆気なく死んでしまう。その「特別な子」チワワちゃんも、第三者から見れば何も考えていない、誰にでも付いて行く可愛いだけの女の子…だけど、ふとした表情や台詞にドキッとさせられてる私は、まんまとチワワちゃんにハマってしまっているだろうか。
ミキが憧れ続けた吉田くんも結局はだらしないだけの男、それが露呈する後半のシーンはひたすらカッコ悪い。付き合ってた恋人も、キスした女友達も、チワワちゃんを好きだった男の子も、誰の話を聞いてもチワワちゃんの姿はハッキリしない。原作が作られた1990年代もSNSが普及した現代も、人との繋がりは関係なく脆いと改めて感じてしまう。ただ、ミュージックビデオみたいなキラキラしてるだけの時間は間違いなく彼女達の青春だったんだろうなあ、と思うと胸がきゅっとする。
fromマツコ
新しい。邦画としてこれほど説明が全くない映画は初めて観た。回りくどくないどころか、説明が無さすぎて難解な部分すらある。しかし、それも含め『チワワちゃん】という作品だ。
全体を通して現代ミュージックビデオのような演出は、原作の漫画が発行されたバブル期を彷彿とさせ、大変好ましい。作品のコンセプトにカチッとハマっていた。 私には出来ないことがてんこ盛りで吐き気を催す程に、登場キャラクター達に共感出来なかったが、私もこんなふうに馬鹿で純粋な「今」を楽しみたかったな、とある種の”羨ましさ”を感じる。しかし、現実にこんなグループがいたら、大半の人が敬遠するだろう。
「こんなに最高な時間が続くなら怖いものは何も無いと思った」とチワワを回想しながら呟くミキが、チワワちゃんに一番憧れ、嫉妬し、崇拝していた。皆がチワワに夢中になったように、私も観ているうちにチワワに夢中になっていく。 結局、チワワがなぜ死んだか、誰にもわからなかった。でも、皆が彼女を好きで、心の中をかき乱していった存在だったか、よくわかる。そして、ナガイが撮りたかったけど撮れなかった映画こそ『チワワちゃん』だと理解した。
ラストシーンの見せ方は最高なので、しっかり観て。思わず胸が熱くなるような演出に感情が極まった。 私にもチワワみたいに心を掻き乱す存在、欲しかったな。
from君山
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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