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同じ時代を生きていく俳優達の姿を最も美しい記録として撮りたい…!『きみの鳥はうたえる』三宅唱監督迎え舞台挨拶開催!

2018年9月22日

函館を舞台に、3人の若い男女の交流や関係性の変化を繊細に映し出す『きみの鳥はうたえる』が関西の劇場でも9月22日(土)より公開された。公開初日、大阪・梅田のテアトル梅田に三宅唱監督を迎えて舞台挨拶が開催された。

 

映画『きみの鳥はうたえる』は、佐藤泰志さんによる原作小説の舞台設定を東京から佐藤さんの地元である函館に移し、3人の若い男女の交流や関係性の変化を繊細に映し出す。函館郊外の書店で働く“僕”と、一緒に暮らす失業中の静雄、“僕”の同僚である佐知子の3人は、夜通し酒を飲み、踊り、笑い合う。微妙なバランスの中で成り立つ彼らの幸福な日々は、いつも終わりの予感とともにあった…

主人公“僕”を柄本佑さん、友人の静雄を染谷将太さん、ふたりの男の間で揺れ動くヒロインの佐知子を石橋静河さんら若手実力派俳優がそれぞれ演じる。

 

上映後、三宅唱監督が登壇。本作は、北海道・函館の映画館シネマアイリスによる映画制作プロジェクトの第4弾。『海炭市叙景』に始まり『そこのにみにて光輝く』『オーバーフェンス』に続く作品。三宅監督は「映画館が作った映画がこうして梅田でも届けられるのは光栄な出来事。映画館にも力があることが嬉しい」と喜んだ。

 

佐藤泰志さんによる原作小説から舞台を函館に変えている。函館シネマアイリスさんによる制作であるため、函館に移されたが、三宅監督にとっては「1980年代の物語を完全に再現するには難しく、現代に変えようと決断したのは大きい」と冷静に分析。「僕」が120数えて佐知子を待つシーンについては変えておらず「小説では美しい瞬間。その通りにやりたいと思ったのでナレーション形式にしました」と明かす。

 

タイトルの『』は、The Beatlesの楽曲「And Your Bird Can Sing」を佐藤泰志さんが直訳したことに由来する。小説では、静雄が楽曲を収録しているレコードを持ってきてプレーヤーで聞きたがるが、プレーヤーがないとわかり、静雄自身が歌う。三宅監督は「素晴らしい場面であり、撮れるものなら撮りたかったが事情があり実現できず」と嘆く。だが、登場人物が持つエネルギーについて「プレーヤーがないからと諦めず自分で歌えばいい、と考える。ポジティブな力が登場人物達にはある」と捉える。さらに「お金がなくても呑みにいき、映画を観たり友達と遊んだりしている。お金がないなりに諦めずに楽しみを見つけようとしている。清々しくて気持ちいい」と感じ「まさに『』という美しいタイトルにかかっている」と称賛した。

 

脚本完成後、三宅監督は1日に3シーンを撮っていく。その中で1シーンは差し替え、少しずつ台詞が変化した。現場について「彼らとやり取りしていく中で、追加したり削除したりしている。変えていったことで、演技かどうか分からない自然な印象が作られていく」と解説。とはいえ「基本的には全て演技だと僕も彼らも思っている。俳優の美しい演技からなる仕事の記録」だと絶賛する。中心となる3人について「彼らは、僕らが生きていく10年・20年・30年後も共に同じ時代を生きていく俳優達。今ある彼らの姿を最も美しい記録として撮りたいと思っていたので、そういうものとして見えてくれればいいな」と願った。

 

作品公開を迎えた現在、三宅監督は「もう一度撮り直せるなら全部撮り直したい」と前向きに告白。撮影現場で監督がOK出すと二度と自分の目の前で見られない、と痛感していた。特に「静雄役の染谷君と母親役を演じた渡辺真起子さんがバーカウンターで並んでいるシーンは、最初のテイクから興味深かった。『ヒミズ』でも親子を演じているが、全く違う親子関係」だと述べる。現場では「渡辺真起子さんにも『OKと言わないで、まだ!もう少しお芝居したい!』と言われ、2回3回とテイクを重ね、スタッフも楽しんでいた。永遠にやるわけにはいかないので、どこかでOKを出して終えた」と印象的だった。特にお気に入りのシーンについては悩みながらも「当初は、クラブでのシーンを撮れたのが嬉しく、手応えがあり楽しかった。個人的に、終盤の主人公達とは関係ない人達の朝のやり取りを残してよかった。この映画にとっては大きな意味があったんじゃないか」と挙げる。

 

最後に、三宅監督は「人と喋ると意外とおもしろい映画なんじゃないか、という意見もある。友達を巻き込んで感想を話し合ってもらえたら」と提案し「柄本佑は『街行く知らない人にも薦めて下さい』と言っていたので、お伝えしておきます」と添えた。また「様々な作品が映画館でやっているので、これからも映画館という場所を大事にしていけたら」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『きみの鳥はうたえる』は、9月22日(土)より、大阪・梅田のテアトル梅田、心斎橋のシネマート心斎橋、京都・烏丸の京都シネマ、桂川のイオンシネマ京都桂川、神戸・元町の元町映画館で公開。また、10月27日(土)より宝塚のシネ・ピピアでも公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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