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お茶を通じて、日本の季節を五感で感じて頂けたら…『日日是好日』完成披露舞台挨拶開催!

2018年7月31日

ひょんなことから茶道教室に通うことになった女子大生が、四苦八苦しながらも“お茶の世界“で奮闘するさまを描く『日日是好日』が10月13日(土)より公開。本公開に先駆け、7月31日(火)は、京都のMOVIX京都で黒木華さん、樹木希林さん、大森立嗣監督、原作者の森下典子さんを迎えて、完成披露舞台挨拶付試写会が開催された。

 

映画『日日是好日』は、エッセイスト森下典子が約25年にわたり通った茶道教室での日々をつづり人気を集めたエッセイ「日日是好日 『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」を映画化。「本当にやりたいこと」を見つけられず大学生活を送っていた20歳の典子は、タダモノではないと噂の「武田のおばさん」が茶道教室の先生であることを聞かされる。母からお茶を習うことを勧められた典子は気のない返事をしていたが、お茶を習うことに乗り気になったいとこの美智子に誘われるがまま、流されるように茶道教室に通い出す。見たことも聞いたこともない「決まりごと」だらけのお茶の世界に触れた典子は、それから20数年にわたり武田先生の下に通うこととなり、就職、失恋、大切な人の死などを経験し、お茶や人生における大事なことに気がついていく…

主人公の典子役を黒木華さんが、武田先生役を樹木希林さん、いとこの美智子役を多部未華子さんがそれぞれ演じる。監督は『さよなら渓谷』『まほろ駅前多田便利軒』などの大森立嗣さん。

 

上映前に黒木華さん、樹木希林さん、大森立嗣監督、原作者の森下典子さんが登壇。まずは、大森監督より「一般のお客さんに観てもらう機会は今回が初めてですので、緊張しています。森下さんのエッセイと黒木さんと希林さんと一緒にお仕事出来たことを誇りに思っています」とご挨拶。黒木さんは「お茶と典子の人生のような映画を、私が大学時代を過ごした京都で皆さんに観て頂くことが出来て本当に幸せです」と感激している。樹木さんは「今日、お茶に所縁のある建仁寺でお祈りをさせて頂き、映画が始まる。京都があっての私達」と感謝の言葉を述べた。森下さんは、デビュー作がエッセイの『典奴どすえ』、祇園で初めて舞妓体験をしており「今回、『日日是好日』が映像化されることは私にとって盆と正月が一緒に来たような喜びでございます」と表す。

 

今回の試写会の前には、完成披露イベントとして建仁寺での献茶式が行われた。大森監督は、今回初めて着物を着て、5センチ浮いているような気分になりながら「建仁寺で、横に希林さんや黒木さんがいる。撮影時を思い浮かべながらお経を聞いていました」と振り返る。黒木さんは緊張し続いたが「京都の大学に通っていましたが、建仁寺を訪れるのは初めてで。献茶式も初めての参加。こんな貴重な経験は滅多に出来ない。この映画と監督のおかげ」だと思いながら、気持ちを落ち着かせた。森下さんは京都に所縁はないが「お仕事で京都にお世話になっています。お茶の稽古を始めて今年で42年ぐらいになりますが、京都に何度も伺っています。京都は落ち着く場所です」と伝える。

 

黒木さんと樹木さんは本作で初共演。黒木さんは樹木さんと話した際に「人間としても女優さんとしても本当に格好良いんですよ。こういう人になりたいと初めて思いました」と感動。これを受け、樹木さんは「大袈裟だわね」と応じながらも「黒木さんは今28歳ですが、しなやかで、持っているものが強くて、日本をこれから背負って立つ役者さんだなぁ」と期待している。大森監督は森下さんのエッセイを読み「それまで、お茶を淹れたことが一度もなかった。お茶から伝わってくるものが森下さんのエッセイにわかりやすく書かれている。僕の中では腹に落ちてきた」と映画化を決断。森下さんのエッセイを読んだ樹木さんは、本作の出演について「主演によるな」と思っていた。黒木さんに決まりかけている段階で、お茶の先生を演じる、と聞き「お茶を習っている人なら任せられるが、先生はちょっとなぁ…。なんとかなるかと思ったが、やはりならないもんですよ。ちょっと汗が出ました」と告白する。黒木さんにとって茶道は初体験だったが「大変だったんですけど、ありがたいことに典子は先生じゃないところから始まる。一緒に成長していけたので良かった」と感じ「四季折々の音や匂いを感じることをしていなかった」と気づきがあった。樹木さんは「昔の時代劇でお茶を淹れたり、現代劇でお茶が一瞬出したりするが、これだけ丁寧に現代の若い女性が関わることは珍しい。様々な流派の方が全て協力して頂けているのはとてもありがたい」と改めて御礼申し上げる。

 

ここで、劇中の茶道教室に飾られている「日日是好日」という書を書いた、京都在住の中学生・中西凜々子さんが登壇。樹木さんは「こんな字は見たことがない。書というものは見る、絵というものは読むもの、と教わってきました。凜々子さんの書は見るもの」と推薦した。京都の茶道と自身の関わりについて作文を書き、ジュニア京都観光大使に任命された中西さんは「私にとって、映画で使われる書を書かせて頂くことはとても貴重な体験だった。この体験を無駄にしないように、心を込めて書きました。日々是好日という言葉の中には5文字中3文字が日という漢字が出てくるので、色んな日があると伝えたかったので、同じ字にならないように工夫しました」としっかりとした口調で述べる。大森監督は「最初に希林さんから言われた時には、う~んと頭を抱えたが、おもしろそうだなと思い返した。出来上がった作品を見た時、伸びやかに感じた。狭いお茶室の中にこの字があることは映画にとっては大事だ」と気づいた。黒木さんは「典子が初めて見る字としてインパクトがある。狭い小さなお茶室が拡がる」と印象に残る。森下さんは「最初は、どんな字になるのかな、と思っていた。拝見した時、この額があることで、お茶室が明るい空間になり、映画の中に明るさがずっとあった」と感じた。

 

 

最後に、森下さんは「お茶を通じて日本の季節を楽しむことや様々なことを五感で感じて生きていくことを訴えようと思って書かせて頂きました。ゆっくりご覧頂けたら」とお願いする。大森監督は、一言で言えないと思いながらも「お茶室の中の季節感も撮りましたが、やはり、希林さんと黒木さん、多部さんと黒木さんのお芝居をぜひ観てほしい」と伝えた。樹木さんは「映画を観終わって、思うことがあっても、おばあさんには言ってこないでくださいね」と愛情を込めたユニークなお願いが。黒木さんは「直ぐに分かるものわからないものがある。森下さんの人生を追体験させて頂くことで、その一歩を垣間見れた。皆さんにも観て頂き、五感を以て感じて頂けたら」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

 

映画『日日是好日』は、10月13日(土)より全国の劇場で公開。10月6日(土)・7日(日)・8日(月・祝)には先行上映も実施。

樹木希林さんは、2018年9月15日にご逝去されました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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