Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

  • facebook

『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』大阪で上映中!野村雅夫さんを迎えトークイベント開催!

2017年5月25日

5月20日(土)より大阪のシネ・リーブル梅田シネマート心斎橋で、永井豪原作のアニメ『鋼鉄ジーグ』をモチーフにしたイタリア映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』が上映されている。5月25日(木)には公開を記念してFM 802のDJであり翻訳家の野村雅夫さんを迎えてトークイベントがシネ・リーブル梅田で開催された。

映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』は、1975年に日本で放送され、1979年にはイタリアでも放送された永井豪原作のアニメ『鋼鉄ジーグ』をモチーフにしたイタリア映画。ふとしたきっかけで超人的なパワーを身につけたチンピラのエンツォは、世話になっていたオヤジが殺され、アニメ『鋼鉄ジーグ』の熱狂的なファンである娘のアレッシアの面倒を見る羽目になる。超人的な能力を持つエンツォを「ジーグ」の主人公である司馬宙とダブらせて慕うアレッシアを前に、パワーを私利私欲のために使っていたエンツォは、彼女を守るため正義に目覚め、互いにほのかな愛情が芽生えていく。そんな2人の前に、闇の組織のリーダー、ジンガロが立ちはだかる…

上映後、本作のパンフレットにコラムを寄稿した野村雅夫さんは、登場するや鋼鉄ジーグの仮面をつけているお客さんに触れ、シアター内を和ませる。野村さんは、FM802のDJとして番組を担当しながら、イタリア文化を広げる活動をしている。関西では毎年GWにABCホールでイタリア映画最新作を12本程度鑑賞できる「イタリア映画祭」が開催されており、野村さんがパンフレットに総論を寄稿している。野村さんは、昨年の上映ラインナップから『LO CHIAMAVANO JEEG ROBOT』(イタリアでの原題)のタイトルを見て「イタリア語では”J”の文字を使わない。当時、『鋼鉄ジーグ』について知らなかったので、『JEEG ROBOT』は得体の知れない作品」と印象に残った。作品を試写し、タイトルロゴで日本語が現れて驚いたが「作品自体がおもしろく、詳細を調べるほど、なんだこれは!と衝撃が走った」と話す。イタリア版ポスターにも日本語タイトルが記載されており「長年、イタリア映画を観てきているが、初めての体験」だとも明かす。

本作は、ガブリエーレ・マイネッティ監督(制作当時30代)の長編デビュー作であるが、いきなりイタリア版アカデミー賞であるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞に14部門ノミネートし、7部門を受賞。昨年のイタリア映画祭2016で上映されたり、マイネッティ監督が来日した際には『鋼鉄ジーグ』の原作者である永井豪さんとも対面したりしている。ようやく日本でも劇場公開になり、野村さんも感慨深い。イタリアでヒーロー映画は珍しいが、野村さんは「イタリア映画史上、いわゆるジャンル映画は世界的に有名な作品として『マカロニ・ウェスタン』や『サスペリア』があるが、実は、イタリアではB級映画の類が量産されてきた。’70年代から’80年代にかけては、ヒーロー映画は撮られていたが、日本に多くは入って来ず、忘れられていた」と述べる。マイネッティ監督にインタビューした野村さんは「マイネッティ監督は相当な映画オタクで、日本の作品はもちろん、イタリアの古い映画をたくさん観ている。イタリアのヒーロー映画も観ており、B級だけど造形がおもしろいものを記憶し、今作で蘇らせた」と解説。

今回、『鋼鉄ジーグ』をモチーフにしたが「イタリアでは、少し前の日本アニメを驚くほど再放送し続けている。『鋼鉄ジーグ』はイタリアで日本のアニメを放送し始めた初期に放映された作品として、国民的な作品の一つとして浸透している」と野村さんは述べ、ルノーのイタリア版TV CMでは『鋼鉄ジーグ』のパロディが撮られていることも明かす。「過去のアニメだけど、世代を問わず誰もが分かるレジェンド作品として、『鋼鉄ジーグ』はイタリアに生きている。マイネッティ監督の懐古趣味として作品を作ったのではない」と分析する。

 

本作の舞台はイタリアのローマ郊外にある再開発地区のトル・ベッラ・モナカ。その設定の背景について、野村さんは「イタリア映画は、フェリーニやパゾリーニといった巨匠たちが都市部の周縁を撮り続けてきた経緯がある。首都ローマがドーナツ化していくなかで、周縁部には街で生きるのが大変な人たちが固まって住んでいる。そこには貧者のドラマがある。マイネッティ監督は、そのドラマとヒーロー映画の系譜を踏まえ結び付けた」と述べる。さらに「’70年代以降に生まれているマイネッティ監督の世代が日本アニメを吸収してきたからこそ、撮ることができた作品。それらの発想を掛け合わせたのがヒットの要因」であると野村さんは考えている。

最後に、野村さんはイタリア映画について「多くの作品に触れてほしい。ジーグをきっかけにして、イタリア映画全体の人気を底上げしたい。ジーグはイタリア映画をも救う」と熱い想いを伝え、トークイベントは締め括られた。

映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』は、シネ・リーブル梅田シネマート心斎橋で5月20日(土)から公開。シネ・リーブル梅田では、5月26日(金)までは11時50分~、14時25分~、18時40分~、20時45分~の上映。5月27日(土)からは6月2日(金)までは10時20分~、14時35分~、16時55分~、19時15分~の上映となっている。シネマート心斎橋では、5月26日(金)までは19時~の上映。5月27日(土)からは6月2日(金)までは18時40分~の上映となっている。なお、6月10日(土)からは元町映画館、7月15日(土)からは京都シネマでも上映が予定されている。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する
映画好き。映画ライター講座を受講し
関西の映画情報サイトを中心に執筆