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140人が暮らす離島に未来のヒントがありました…『島にて』が公開!

2020年5月6日

(C)『島にて』製作委員会

 

日本海沖にある山形県唯一の有人離島、飛島で暮らす人々を記録したドキュメンタリー『島にて』が5月8日(金)より公開される。

 

映画『島にて』は、日本海の沖合に浮かぶ、山形県の離島・飛島(とびしま)に暮らす人びとを追ったドキュメンタリー。山形県の酒田港からの定期船で75分の場所に位置する山形県唯一の有人離島である飛島。豊かな自然を誇り、島の全域は国定公園に指定されている。かつては日本海側の海の交通の要所として栄え、島民の多くは漁業や農業で生計を立ててきた。しかし、過疎と高齢化が進み、現在は140人ほどが暮らしている。この島に生まれ、漁業を営む老夫婦、高校進学のために島を出て行く中学生、かつて島から出た人や、都会から島に来た人など、飛島にやって来た若い人たちなど、平成最期の1年間に記録した飛島の人びとの暮らしを通して、社会を営み、生きていくために本当に必要なものとは何かを問いかけていく。

 

本作の監督は、介護福祉現場を追ったドキュメンタリー『ただいま それぞれの居場所』の大宮浩一さんと単身高齢者たちを追ったドキュメンタリー『桜の樹の下』の田中圭さん。高齢化が進む中、島内に新たな雇用を生み出そうとするUターン組の若い世代を通し、島の人々の営みを映し出す。

 

(C)『島にて』製作委員会

 

映画『島にて』は、5月8日(金)午前10時より「仮設の映画館」で公開。また、大阪・十三の第七藝術劇場、京都・烏丸の京都シネマ、神戸・元町の元町映画館含め近日より全国の劇場でも公開予定。

島でただ一人の中学生が最期の一年を過ごしていく様子を撮っていくことが印象に残る。小中学校の中で唯一の生徒になった彼が、数少ない先生と共に何を考えているのか興味深かった。授業では特にノートをとっていないけども、広い世界の中にある一つの小さな島で過ごしながら将来について考えている姿が頼もしい。彼は、アメリカに行って英語をもっと学びたい、と話す。中学生らしい夢ではあるけれど、母親は「最終的に島に戻ってきてほしい」と願っている。果たして大人になった彼は如何にして島を思い出すのだろうか。

 

翻って、UターンやIターンで島に来た若者が映し出される。島内に雇用を生み出そうと合同会社を立ち上げた。彼らは、親から「仕事がないから島には帰ってくるな」とか「猟師にだけはなるな」と言われながら育っていた。この言葉、規模は違えど、同じく島で生まれ育ち、島を出た私も同じように言われた。正直言えば、私は島に帰りたいと思ったことは一切ない。仕事は探せばいくらでもあるだろうけど、田舎独特の卑しさが嫌でしがらみでしかない。だけど、彼等は戻ってきた。下手に都会化しようとせず、この飛島だからこそ住みたいと思える魅力があり、会社を立ち上げるに至ったのだ。

 

島国と云われるには日本には、飛島のような島がいくらでもあるだろう。それぞれの島にしか魅力がいくらでもあるのではないか。視野を広げてみれば、飛島で起きているような出来事は、都市部を離れた田舎エリアに十分にある。日本の何処にでもある、とある一年を本作は飛島にカメラを置いて撮り続けた。ありふれた光景の中に将来を生きていくヒントがいくらでも散らばっている。一つの可能性として存在している地域の未来を疑似体験してみてはいかがでしょうか。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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