水俣病の記録で知られる報道写真家である桑原史成さんの韓国ドキュメンタリー『100万カットの記憶』がいよいよ劇場公開!
©A SoomBe Production
60年以上活動を続けた報道写真家の桑原史成さんに迫るドキュメンタリー『100万カットの記憶』が9月5日(土)より全国の劇場で公開される。
映画『100万カットの記憶』は、水俣病の記録で知られる報道写真家である桑原史成さんの生きざまを追った、韓国発のドキュメンタリー。1962年に水俣を撮影した作品で報道写真家としてデビューした桑原史成は、水俣病の被害者たちに長期的に寄り添い、被写体と深い関係性を築きながら、人間の尊厳と記憶を写し出す仕事を60年以上にわたり続けてきた。政治、公害、分断といった主題に真正面から向き合い、2014年には土門拳賞を受賞。同時代の記録者として、後進に多大な影響を与えてきた。その活動は日本のみならず、日韓国交正常化前夜の1964年に韓国へ渡り、市井の人々の姿をとらえた写真群が、その後の代表作「水俣・韓国・ベトナム」などに結実。それ以降も、南北朝鮮の双方に足を運ぶという希有な経験を通して、分断国家の現実を一貫してカメラに収め続け、韓国においても彼の写真は重要な歴史的記録として高く評価されている。
本作では、桑原さんを長年にわたり支えるパートナーの和子さんら関係者のインタビューなどを通してその人物像に迫るとともに、高齢となった桑原さんが健康状態を心配されながらも、人生をかけて撮り続けた韓国を再訪しようとする姿を映し出す。監督は『ムルスム(水の息)』『プルスム(炎の息)』などを手がけた韓国のドキュメンタリー作家コ・ヒヨンが務めた。

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映画『100万カットの記憶』は、9月5日(土)より全国の劇場で公開。関西では、9月25日(金)より京都・烏丸の京都シネマ、9月26日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開。また、神戸・元町の元町映画館でも順次公開。
来月で卒寿を迎える桑原史成さん。本作では、報道写真家である桑原さんの長き活動を丁寧に追いかけていく。『週刊朝日』に掲載された小松恒夫さんの現地ルポ「水俣病を見よ」に衝撃を受け、水俣病の取材撮影を決意した桑原さんの真摯な姿や当時を振り返る様子を見ていると、水俣病の患者や家族に向けられたレンズには、決して暴力ではなく、寄り添い伝えていく意志が伝わったのではないか、と感じられた。その写真は話題となり、その後次々に写真家が水俣に患者の取材に訪れるようになり、その中には、あのユージン・スミスもいることを知ると、桑原さんの偉大さを感じずにはいられない。本作の前半では、その活動を中心に描かれていく。そして、後半では、1964年に韓国へ渡った以降の出来事、また、ベトナム戦争真っ只中に飛び込んだ様子を伝えていく。また、北朝鮮にもわたっていたことを話され、当時においてこういった活動が出来ていたことに驚くばかり。なお、その傍らで寄り添ってきた妻の和子さんとの関係性も描かれ、多少なりとも写真へと反映されているようにも感じられた。桑原さんが被写体や写真を見詰める様子を見ていると、怖くて厳しい方かな、と思ってしまう時があるが、それは真剣な姿勢を体現しているからであるが、やはり、真摯さと優しさを併せ持つ写真家である、と気づかされていく。卒寿を迎えるが、命ある限り現役の報道写真家として活動していくのだろう、と思わずにはいられない。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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