植物と対話する13歳の少年アルシンの成長を静かに見つめる詩的な物語『ボタニスト 植物を愛する少年』がいよいよ劇場公開!
©2025 MONOLOGUE FILMS ALL RIGHTS RESERVED / ReallyLikeFilms
新疆ウイグル自治区にある辺境の村を舞台に、植物と触れ合い心を癒す少年が、ある少女との出会いと別れを経て成長していく『ボタニスト 植物を愛する少年』が5月15日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ボタニスト 植物を愛する少年』は、新疆ウイグル自治区の辺境の村を舞台に、植物と対話する少年の成長を詩的な映像美でつづったドラマ。新疆北部の草原地帯にある小さな村。祖母と暮らすカザフ族の少年アルシンは、植物を観察し記録することに多くの時間を費やしており、周囲からは”植物学者(ボタニスト)”と呼ばれている。彼にとって植物は単なる自然ではなく、失踪した叔父に教わった世界観そのものだった。ある日、漢民族の少女メイユーが村にやって来る。明るく自由な彼女の存在はアルシンの静かな日常に変化をもたらすが、やがてメイユーは上海へ引っ越すことになり、アルシンは再び孤独と向き合うことになる。現実と幻想が交錯していくなか、アルシンは自分が何を探しているのかを少しずつ知りはじめる。
本作では、新疆ウイグル自治区出身のジン・イー監督が長編初メガホンをとり、自身の幼少期の記憶を出発点に、マジカルリアリズムを織り交ぜた独自の映像世界で描き出す。主人公アルシン役のイェスル・ジャセレをはじめ、キャストには演技経験のない素人俳優たちを起用。国際的に活躍するイランの作曲家ペイマン・ヤズダニアンが音楽を手がけた。2025年の第75回ベルリン国際映画祭ジェネレーションKplus部門にて国際審査員グランプリを受賞している。

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映画『ボタニスト 植物を愛する少年』は、5月15日(金)より全国の劇場で公開。関西では、5月15日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田や兵庫・神戸のシネ・リーブル神戸、5月22日(金)より京都・烏丸の京都シネマで公開。また、兵庫・宝塚の宝塚シネ・ピピアでも近日公開予定。
中国西北部に位置する新疆出身のジン・イー監督の長編デビュー作。新疆の草原地帯に住むカザフ族の少年アルシンは周囲と一定の距離を置きながら、植物を観察・採集・記録し、時に植物と一体になったかのように横たわりながら、溶け込み・体感しながら毎日を過ごす。そんな彼の村に漢民族の少女メイユーがやってくる。一緒に植物を観察しながら遊ぶ中、アルシンの心は少しずつ開いていく。
主人公のアルシンは植物から悠久の時が循環していることを感じ、孤独な時間も、誰かと過ごすことも巡るように移ろうことを何となく認識する。一瞬一瞬に一喜一憂してしまうけど、仕方のないことであり、惑わされずに巡る時間に身を任せることも大切なのかもしれない。本作では、雄大な自然や小さくも逞しく生きる植物がたくさん映される。映画の舞台や背景としての素晴らしさは勿論だが、圧倒的な存在感を持って画面の中に収められており、観る者の目を奪う。心を無にして自然の中に溶け込むような時間を用意するのは、追い立てられるように生きる現代人には難しいかもしれない。そんな世の中だからこそ、この映画を見てほしい。日々のストレスを刺激的な作品で吹き飛ばすのも一つだが、この映画を観て癒すことをお勧めしたい。
fromブライトマン
目を閉じて、十数えた後に目を開けると、丘の向こうから好きな女の子が歩いてくるのが見える。
実際にこのまま同じ体験をしたことはなくとも、この映像を見た時に心の奥をくすぐられるような気持ちは、沢山の人が共感できるだろう。まだ幼さが残る少年少女の交流がとても自然で当たり前のものとしてあり、観ている私も自分の年齢を忘れて、その場に一緒にいるかのような気がしていた。これほど没入感が得られるのは、この風景の空気や植物たちの息づかいが丁寧に繊細に撮られているからだ。13歳のアルシンが暮らす新疆ウイグル地区の村周辺は、見渡す限りの広い草原や高原、深い森とせせらぐ川に囲まれていて、生息する植物たちの声が聞き取れそうなほどに、じっくりと映し出される映像に目を奪われる。
メイユーが去ってしまう先の学校がある上海の位置をスマホの地図アプリを見ながら、遠いなぁ…と途方に暮れているアルシンの姿が切ない。「4792Km」は確かに遠く、新大阪~東京間の約10倍だ。おそらく彼の人生ではこの先も訪れることのない、遥かな地なのだろう。だけど、アルシンはスマホを持っていたようなので、だったらメイユーとSNSのアカウントを交換すればよいのに…と思う。中国ではX等の欧米でメジャーなアプリは通信がブロックされているため接続できないことが多いが、WeChatなら無料で使えるはずだ。ねえアルシン、メイユーが行っちゃう前に一緒にアカウント作ろうって誘いなよ、と伝えたくなる。もしそうしていたとしても、二人は結局疎遠になっていくのかもしれないのだけれど。
伯父さんは「村を出た人間は、弧を描くように戻ってくる」と言っていた、という。だけど、メイユーは上海で進学して、素敵な恋人にめぐり合って、都市部で就職して家庭をもって、そしてアルシンの住む村には二度と帰って来ないのかもしれない。それは全く悪い事ではないし、村に残ることが負け組の人生なわけでもない。しかし、あのラストシーンを観ると、もしかすると、この物語は実は年老いたアルシンの回想なのではないだろうか、とも思えてしまう。そんな風に感じて、寂しさに胸が少し苦しくなった。
fromNZ2.0@エヌゼット
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!






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