詐欺師が社会活動家として立ち上がる姿を描く『カッティ 刃物と水道管』がいよいよ劇場公開!
©Lyca Productions
脱獄した逃亡中の詐欺師が、自分とよく似た社会活動家と入れ替わり、多国籍企業から農民達の生活を守るため、活動家に代わって企業のトップと対決する『カッティ 刃物と水道管』が11月1日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『カッティ 刃物と水道管』…
コルカタの刑務所から脱獄した詐欺師の通称「カッティ(刃物)」ことカディルは、海外への逃亡を企てるが、空港で出会った女性アンキタに一目ぼれし、出国を止めてしまう。その夜、街を歩いていたカディルは、自分と瓜二つのジーヴァという男と出会う。悪知恵を働かせたカディルは、シーヴァを自分の身代わりにして追手に捕まえさせる。自由の身になったカディルだったが、ジーヴァが地方の農民が直面する問題に取り組んでいたことを知ると、次第に心に変化が起き、ジーヴァの活動を引き継いで農民たちの先頭に立って大企業と対峙していく。
本作では、『マスター 先生が来る!』等で日本でも注目を集めるインド・タミル語映画界のスター、ビジャイが主演を務めた2014年の作品。詐欺師と社会活動家という全く異なる2人の人物を、ビジャイが1人2役で演じた。監督は、本作の後、2018年に『サルカール 1票の革命』でもビジャイとタッグを組んだA・R・ムルガダース。『マッキー』『ランガスタラム』のサマンタ、『プレーム兄貴、王になる』のニール・ニティン・ムケーシュらが共演している。
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映画『カッティ 刃物と水道管』は、11月1日(金)より全国の劇場で公開。関西では、11月1日(金)より大阪・難波のなんばパークスシネマや堺のMOVIX堺、兵庫・尼崎のMOVIXあまがさきや塚口サンサン劇場、11月8日(金)より京都・出町柳の出町座、11月29日(金)より大阪・心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋、12月13日(金)より神戸・三宮のkino cinema 神戸国際で公開。
2018年にビジャイとタッグを組んだA・R・ムルガダース監督は、『サルカール 1票の革命』において、何者かが主人公に成りすまして投票を終えていたことから始まり、政治家達の腐敗に立ち向かっていく姿を描いていった。今作では、主人公が脱獄した詐欺師で、自身と瓜二つの社会活動家に成りすましていく設定だ。だが、あくまで詐欺師であり、表向きは社会活動家の姿を見せながら、いずれは大金を獲得して逃げようとする姿を描いていく。このベクトルの変え方は趣向を凝らしており、おもしろいストーリーテリングを展開していった。とはいえ、あくまでタミル語映画界のスターであるビジャイが単純なキャラクターを演じるわけがない。社会活動家として振舞うだけでなく、自分事として民の為に活動していくようになっていくかが見どころ。まさに、詐欺師と社会活動家は紙一重の違い、とも云えようか。私欲を公にむけた団結心に変えていく有様をたっぷりと堪能できる作品だ。勿論、インド映画ならでは求愛の気持ち込めたダンスありのミュージカルシーンもしっかりとあるので、喜怒哀楽がしっかりとしたエンターテインメント作品であることは揺るがない。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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