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台北駅前に実在する予備校街を舞台に、突然消えてしまった恋人を探す青年を描く『狼が羊に恋をするとき』がいよいよ劇場公開!

2024年6月11日

©2012 Strawberry Time Films ALL RIGHTS RESERVED

 

台北駅前に実在する予備校街を舞台に、消えた恋人を捜してコピー屋で働く青年の日常を描く『狼が羊に恋をするとき』が6月14日(金)より東京・下北沢の下北沢トリウッドで公開される。

 

映画『狼が羊に恋をするとき』は、実写にコマ撮りアニメーションを取り入れた世界観で描いた台湾のロマンティックコメディ。突然消えてしまった恋人を探すため、予備校が集まる台北の南陽街にやってきた青年タンは、コピー店で働き始める。試験用紙をひたすら印刷する退屈な日々を過ごしていたある日、一枚の試験用紙の裏に描かれた羊のイラストを見つけ…

 

本作が長編2作目となる台湾の新鋭ホウ・チーラン監督が手がけ、映画初出演作『あの頃、君を追いかけた』でブレイクし、歌手としても活躍するクー・チェンドンが主演を務めた。台湾で2012年に製作・公開された後、日本では2013年のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭の長編コンペティション部門に出品され、2014年には「カリコレ2014/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2014」で上映された。それから10年を経た2024年に単独で劇場公開。

 

©2012 Strawberry Time Films ALL RIGHTS RESERVED

 

映画『狼が羊に恋をするとき』は、6月14日(金)より東京・下北沢の下北沢トリウッドで公開。

「予備校に行ってくるね」という言葉を残し、そのまま消えてしまった恋人。
台北の学生街、林立する予備校が並ぶ街並みを舞台に、主人公の青年タンと少女シャオヤンの可愛らしくてもどかしい、青春ボーイミーツガールの世界にすっかり魅せられてしまった。印刷されたテスト用紙や壁に貼られた付箋に書かれた言葉。SNSのつながりとは違う、アナログな文字と絵を伝え合い、ゆったりした時間の流れる世界がとても心地よい。

 

原題にある「南方小羊牧場」は、台北の架空の予備校の名称である。台北駅の南側は実際に学生街で、南陽街と呼ばれるエリアは本当に予備校が多い。そのため学生向けの安い屋台なども多く、物価が安く雑然として活気のある様は、劇中の雰囲気のまま…だったのだが、この映画の公開当時の2012年に比べると少し様子は変わってしまったようだ。予備校の数も減少し、円安傾向も相まっているため、この映画にハマった後に日本人が聖地巡礼で屋台巡りをするには少しイメージが異なっているかもしれない。

 

劇中で何度も登場する数字「1314」の発音は「イーサンイース」。これは「一生一世」の発音と同じなので、「一生あなたを愛する」という意味になる。一瞬、昔の日本のポケベル文化のメッセージのようなものかとも思えるが、中国語の発音の語呂合わせなので2020年代の現在でも有効だ。また、私見では台湾の人はマナーが良い印象だが、歩道沿いのバイクの止め方はバラバラで散らかっていることもある、という小ネタを知っておくと、中盤はちょっと感慨深い景色が見られるだろう。

 

テスト用紙の上で交わされるイラストとメッセージに、予備校街の受験生達も次第に次の展開を心待ちにするようになる。そして、クライマックスにミラクルが起きる瞬間へと収束していく。観ている側も涙が溜まるこのシーンは、台湾映画のファンタジックな演出が本領発揮された名場面だ。シャオヤンの描くイラストがなんとも愛らしく、物語を動かしていく原動力となっていく。そして、終盤には「そういうことだったのか!もう一回最初から観させて!」となるので、羊と狼のイラストたちは是非注意して観察しながら本作を鑑賞して頂きたい。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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