街ゆく人に尋ねながら「日本」や「日本人」の姿を浮かび上がらせようとする『日の丸~寺山修司40年目の挑発~』がいよいよ劇場公開!
(C)TBS テレビ
1967年に放送し問題作とされた、劇作家の寺山修司さんが日本について問うTBSドキュメンタリー『日の丸』を、寺山さん没後40年を迎える2023年にリブートしたドキュメンタリー『日の丸~寺山修司40年目の挑発~』が2月24日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『日の丸~寺山修司40年目の挑発~』は、寺山修司さんが構成を手がけた1967年放送のTBSドキュメンタリー「日の丸」を現代によみがえらせたドキュメンタリー映画。街ゆく人々に「日の丸の赤は何を意味していますか?」「あなたに外国人の友達はいますか?」「もし戦争になったらその人と戦えますか?」といった本質に迫る挑発的な内容のインタビューを敢行した同番組は、放送直後から抗議が殺到し閣議でも問題視されるなど大きな反響を呼んだ。TBSのドラマ制作部所属で本作が初ドキュメンタリーとなる佐井大紀監督が、自ら街頭に立って1967年版と同様の質問を現代の人々に投げかける。ふたつの時代を対比させることで「日本」や「日本人」の姿を浮かび上がらせていく。
(C)TBS テレビ
映画『日の丸~寺山修司40年目の挑発~』は、2月24日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、京都・烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
街中を歩いていて、突然「日の丸の赤は何を意味していますか?」と尋ねられたら、ドキッとしてしまうだろう。「え、何なの!?」と動揺し、その場を立ち去ってしまうだろうか。冷静になって、真摯に応える余裕があるだろうか。その質問の裏に潜んでいる要素を考え込んだり、次に何を聞かれるか予想しながら答えていたりすることもあるかもしれない。作中で応えている方の映像は厳選しているだろうと思われるが、もっと様々な反応があったのではないか。東京でインタビューしており、あえて無機質に訪ねているが、東京圏以外の地方都市でも同じ現象が起こるかも気になる。東京は地方から集まった人が多くいると考えると、あまり変わらないかもしれない。1967年に寺山修司さんによる構成で制作されたことが興味深いが、2020年代の現在に同じことをやってみようと思いついたことにも驚かされる。街中で無機質にインタビューするだけでなく、他の空間でも同様のことが出来るのではないか、という意欲的な姿勢も興味津々だ。国を揺るがすような出来事が起こっている最中ではない時にこそ街頭インタビューを行い、日本人の価値観を確かめてみることに対して意義深く感じると共に、また数年後或いは数十年後に同じ番組を制作したらどうなるか楽しみにしたい。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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