香港で活躍する7人の監督が1950年代から未来までの“美しい瞬間”を捉える『七人樂隊』がいよいよ関西の劇場でも公開!
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1950年代から未来を舞台に展開していく7つの物語が、35mmのフィルムで撮影され、映しだされていく『七人樂隊』が10月14日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『七人樂隊』は、ジョニー・トーのプロデュースの下、香港で活躍する7人の監督が1950年代から未来まで様々な年代の香港をつづった7作で構成されたオムニバス。1950年代、必死にカンフーの稽古に励んだ幼い自分と仲間を描く、サモ・ハン監督の自伝的エピソード「稽古」。教育に生涯を捧げる校長先生と、彼を慕う同僚の女性教師とかつての教え子たちを描いたアン・ホイ監督の「校長先生」。移住を控えた恋人たちの別れをスタイリッシュな映像で描いた、パトリック・タム監督の「別れの夜」。ユエン・ウーピン監督が、香港を離れる孫と香港に残る祖父のユーモラスで温かな交流を描いた「回帰」。香港の飲食店を舞台に大儲けを夢見る一般市民が株価に右往左往する姿を、ジョニー・トー監督が描いた「ぼろ儲け」。香港の変わり様に翻弄される男を描き、本作が遺作となったリンゴ・ラム監督の「道に迷う」。病棟を舞台に、たたみかけるセリフ群が展開する、ツイ・ハ―ク監督の「深い会話」。
本作では、7作全てが、フィルム時代に敬意を表し、全編35ミリフィルムで撮影された。2020年の第73回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション作品。日本では2020年の第21回東京フィルメックスの特別招待作品として上映され、観客賞を受賞した(映画祭上映時タイトルは「七人楽隊」)。
映画『七人樂隊』は、関西では、10月14日(金)より大阪・心斎橋のシネマート心斎橋、京都・烏丸の京都シネマ、兵庫・尼崎の塚口サンサン劇場で公開。
ジョニー・トーのプロデュースの下、サモ・ハン、アン・ホイ、パトリック・タム、ユエン・ウーピン、ジョニー・トー、リンゴ・ラム、ツイ・ハ―クといった香港映画を代表する映画監督達が集結。日本国内での公開規模や本数は様々であるが、本作を日本の劇場で観られるのは有難い限り。1950年代の古き良き香港を描きながら、未来に向けた物語を描いている。単純に、あの頃は良かった…ということを伝えたいだけのストーリーが展開されているだけではない。普遍的な人間のコミュニケーションは良きものとして残し、悪しき風習は無くしていく、といった香港がこうであってほしい、という願いがたっぷりと込められている。時に考えさせられながらも、じんわりとあったかい気持ちになれる作品も存分に詰まっていた。危うく移ろいゆく現代の香港に対して、各々の監督が伝えたいことがぎっしりと詰め込まれた充実の作品である。
- キネ坊主
- 映画ライター
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