父の三十三回忌を目前に生き別れた異母妹から手紙が届いたことで兄弟の日常が動き出す『犬ころたちの唄』がいよいよ関西の劇場でも公開！
（C）2021Donuts FIlms
三者三様の人生を歩み、父の法事の時だけ集まる兄弟が、音信不通だった異母妹の連絡を受け、共に人生の転換期を乗り越えていく姿を描く『犬ころたちの唄』が７月２９日（金）より関西の劇場でも公開される。
映画『犬ころたちの唄』…
音楽という共通点を持ちながら、音楽に対する姿勢はそれぞれバラバラな山尾家の３兄弟。３０歳半ばを過ぎ、それぞれの人生を歩む彼らは、ときどき長男の森男の部屋に集まっては飲んで歌っている。約３０年前に亡くした父の法事のため、集まって歌う３人。それは彼ら唯一の家族行事だ。ある日、森男のもとに約３０年にわたって音信不通だった異母兄弟の葉月から手紙が届く。そして、三男の三樹の携帯に人生の選択を必要とする一報が入る。思いがけない便りをきっかけに、弔いあげとなる父の三十三回忌を目前に控えた山尾家の日々が動き出す。
本作は、広島を拠点に俳優、監督として活動する前田多美さんが、広島のボーカル音楽ユニット「深夜兄弟」のミカカ、Jacky、のっこんの３人を主演に描く。
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映画『犬ころたちの唄』、関西では、７月２９日（金）より京都・出町柳の出町座、８月６日（土）より神戸・元町の元町映画館、８月１３日（土）より大阪・十三のシアターセブンで公開。
サブスク全盛期の昨今、気になる音楽がありゃ、パパッと調べて、サクッと聴くことができる。気に入ったなら、ダウンロードするもよし、CDショップに行って、CDを買い揃えれば、もう、立派な音楽好きだろう。しかし、レコード店で買えるものだけが、サイコーな音楽とは限らない。ライブハウスといかずとも、小さなバーの片隅で、ギター爪弾くおじさんが、案外サイコーな音楽なこともある。友達が組んでいるバンドの対バンが、カッコよくて、友達そっちのけで、ファンになることもあるだろう。そう言う経験は、今では少ないのかもしれない。人によっては、懐かしく。人によっては、新鮮な。そんな”アナログな音楽との出会い”が、この映画では味わえる。
地元での知名度も、彼らが普段、どんな場所で唄い、どんなMCをするのかも。なにも知らず。サブスクやネットでパパッと調べても、そう簡単には出てこないこともある。けれども、それでいい。だからこそ、良いんだ。彼らそれぞれの独特な節回し、奏でる音楽と、横川の街の雰囲気、そして、どこまでも不器用な兄弟達。愛すべきポイントは、山ほどある。完璧な映画とは、言わない。だが、どこか欠けていて、そこが愛おしくてたまらないんだ。
今後、”深夜兄弟”に出会った時、この物語の続きなのだと、きっと思い込んでしまうだろう。そして、そう感じた時、自分も映画の中に居たのでは？と錯覚してしまうかも。『犬ころたちの唄』は、そんな不思議な力を持った作品なのではないだろうか。きっともう、彼らとは”遠くの友達”になっているにちがいない！
from関西キネマ倶楽部
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- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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