孤独な学校生活を送る高校生が1通の手紙と思いやりでついた嘘がきっかけで自分を見つめ直す『ディア・エヴァン・ハンセン』がいよいよ劇場公開!
(C) 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.
学校にも家にも居場所のないエヴァンが、一通の手紙と思いやりでついた嘘がきっかけで自分を見つめなおす様を描く『ディア・エヴァン・ハンセン』が11月26日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ディア・エヴァン・ハンセン』は、社交不安障害を抱える高校生エヴァン・ハンセンが、思いやりでついた嘘から始まるミュージカル。学校に友達もなく、家族にも心を開けずにいるエヴァン・ハンセンが自分宛に書いた「Dear Evan Hansen(親愛なるエヴァン・ハンセンへ)」から始まる手紙を、同級生のコナーに持ち去られてしまう。後日、コナーは自ら命を絶ち、手紙を見つけたコナーの両親は息子とエヴァンが親友だったと思い込む。悲しみに暮れるコナーの両親をこれ以上苦しめたくないと、エヴァンは話を合わせ、コナーとのありもしない思い出を語っていく。エヴァンの語ったエピソードが人々の心を打ち、SNSを通じて世界中に広がっていく。
本作は、トニー賞で6部門を受賞し、グラミー賞、エミー賞にも輝いたブロードウェイミュージカルを映画化。監督を『ワンダー 君は太陽』のスティーヴン・チョボスキーが務め、ミュージカル楽曲を『ラ・ラ・ランド』『グレイテスト・ショーマン』『アラジン』等の大ヒットミュージカル映画に携わってきたベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが担当。エヴァン役をミュージカル版でも主役を演じたベン・プラットが演じるほか、ケイトリン・デヴァー、ジュリアン・ムーア、エイミー・アダムスらが脇を固める。
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映画『ディア・エヴァン・ハンセン』は、11月26日(金)より全国の劇場で公開。
誰もが嘘を簡単に発信できる大SNS時代。誰かを守るため、或いは、自分を守るため、嘘は使い方によって取り返しがつかないところまで発展してしまう。目の前にいる人を助けるために取り繕った小さな行動も、インターネットを発端にして莫大な広がり方を見せていく。心の底にある「誰かに愛されたい」という1人の若者が抱いた願望を満たそうとするならば、現代の社会はあまりにも複雑で大規模だ。しかし、規模が大きいからこそ、1人の小さな声が周りに届いた時、良くも悪くも凄まじく広がってしまう。
コナーのことなど誰も知ろうとしていなかった序盤とは裏腹に、中盤以降は、人が変わったように周囲の人間はコナーの死を深く考え出すようになる。深い闇に襲われたとしても、社会の中で声を上げることの意義深さや希望を感じられる一幕でもあった。終盤までの過程だけなら、エヴァンの行動は死者を冒涜していると受け取られかねない。だが、第三者の誰が彼を責められるのだろうか。人々の心にエヴァンは間違いなく大きな光を灯した、強くて有意義で人との繋がりを感じさせる希望の光を。
本作のストーリーには、エヴァンだけでなく、様々なティーンの悩みや痛みも内包されている。本作自体が、孤独な若者が抱える心の暗闇に光を照らし、力尽きてしまいそうな命懸けの訴えに共鳴し、今を生きる力をくれる。現代に必要なミュージカルムービーとして、これ以上ない役割を伴って仕上げられた作品になっている。
fromねむひら
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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