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NG一切ナシの赤井さんが絶好調で素晴らしかった…!『ねばぎば 新世界』上西雄大監督と赤井英和さんに聞く!

2021年7月17日

かつて大阪新世界でヤクザの組を潰しまわっていた男ふたりが、宗教団体に洗脳された恩師の娘を救うべく、義理と人情だけで再び立ち上がる姿を描く『ねばぎば 新世界』が7月16日(金)より関西の劇場でも公開。今回、上西雄大監督と赤井英和さんにインタビューを行った。

 

映画『ねばぎば 新世界』は、俳優兼脚本家兼監督として活躍する『ひとくず』の上西雄大さんが、大阪の西成を舞台に描いたアクションドラマ。上西がメガホンをとったほか、赤井英和とともに主演を務めた。大阪新世界。かつてヤクザの組を潰しまわっていた村上勝太郎(通称 勝吉)は、ボクシングジムを営んでいたが、ジムで練習生が覚醒剤取引をして逮捕されたことからジムを畳み、幼なじみの経営する串カツ店で働いていた。ある日、新世界を逃げる少年の徳永武に出会い、勝吉は声をかけるが武は逃げてしまう。また別の日、刑務所の慰問に誘われた勝吉は、かつてともにヤクザを潰してまわった弟分の神木雄司(通称 コオロギ)と再会。その後、釈放されたコオロギは勝吉とともに串カツ屋で働き始める。そして、武が悪徳宗教団体に捕まっていることを知った勝吉は、コオロギとともに悪徳宗教団体へ乗り込んでいくが、そこで2人の前に立ちはだかる女幹部のチャマリは、かつて勝吉をボクシングの道へ導いた元チャンプの娘である琴音だった。

 

「串かつだるま」を経営している株式会社一門会の代表取締役である上山勝也さんから「新世界を舞台にして映画を作れないか」と依頼を受けた上西さん。勝新太郎さんと田宮二郎さんによるの任侠アクション映画である『悪名』シリーズが以前から好きだったこともあり『悪名』を彷彿とさせるような本作を企画。赤井さんも同シリーズが好きで、快くオファーに応じ、台本を受け取り読み込んでみると「心が震えました。ぜひぜひやってみたい」と前のめりに。

 

勝吉とコオロギというキャラクターを作るにあたり、オマージュを捧げたのは勿論『悪名』シリーズにおける勝新太郎さんと田宮二郎さん。上西さんが営む劇団テンアンツでは、田宮二郎さんをモデルにした「コオロギからの手紙」という舞台作品を作ったことがあり「そのコオロギをベースにして本作のキャラクターを構築して、2人のバディものにしました」と話す。昔の日本映画をイメージしており「アクションシーンも昔のアクション映画のように見えるように撮ろう」とチャレンジしており「赤井さんは殺陣の動きを分かっているので、手持ちのカメラで追いかけながらキレのある動きをします。カメラマンがついていくのが大変でテイクを重ねました」と苦労を重ねた。だが、赤井さんのアクションは年齢を感じさせず「キレが落ちない。息も上がらない。全く同じペースでやられる。凄いな」と感服。赤井さんは「パーソナルジムでウェイトトレーニングを偶にやっています」と明かし、上西さんは「赤井さんは本物。勿論です」と敬意を表す。

 

撮影においても、赤井さんはNGを一切出しておらず、毎日の撮影時間が3時間も短くなる日々だった。上西さんは「赤井さんが絶好調で素晴らしかった。何の苦労もないです」と称え「僕は監督である前に俳優。赤井さんを親分と呼んでお芝居をさせて頂けるのは無上の喜び。最初から最後まで夢のような時間でした」と振り返る。翻って、赤井さんは上西さんについて「子分を演じていますが、監督でいらっしゃる。書いて頂いた脚本には納得が出来る台詞と共に勝吉のキャラクターを書いてくださった。素晴らしい作品に参加させてもらえた」と感謝していた。上西さんは、人間を表現することを大事にしており「周りのキャラクターをしっかり立体的なものにすることで勝吉を表現しようとしている。そこには人間の本質的な考え方がある」と説く。

 

また、新世界を逃げる少年の徳永武が追われている悪徳宗教団体について、上西さんはオウム真理教に関する様々な情報を取り入れ、架空の新興宗教を作り出している。赤井さんは彼らが唱えている謎の呪文の由来に興味津々だったが、上西さんは「PCのキーボードを適当に叩いて出来上がった言葉」だと明かし「皆さん、あの言葉を様々な手段を以て調べたみたいなんですが、分かるわけないですね」と苦笑い。前作『ひとくず』でも子供を大事に描いており「子供は犠牲になりやすい存在。自力で逃げることも難しい」と述べ「だからこそ勝吉が傍にいるべき。いびつな敵に向かうことで、シンプルにまっすぐな正義を以て拳で戦う勝吉がクローズアップされる」と、物語に自身の思いを語った。

 

なお、本作には飛田新地でのシーンがある。通常、撮影自体がNGの場所であるが、赤井さんは「徳永武君が隠れていた場所は私の実家なんですよ。飛田の遊郭にカメラが入るのはNGなんですが、私の実家の前で撮っていますので。『どついたるねん』も私の実家で撮っています」と打ち明けた。上西さんも「赤井さん主演作品なので、皆さんが協力的でした」と感謝している。また、本作冒頭での赤井さんがサンドバッグを殴っているシーンを気に入っており「赤井さんがサンドバッグを殴っているのは『どついたるねん』以来。このシーンこそ、まず観るべきシーン。劇中、赤井さんが話す大阪弁の台詞には全て真っ直ぐな心が宿っているので、皆さんが受け取ってくれたら」と願っていた。赤井さんは殴り込みに行く前に2人で焼き肉を食いに行くシーンがお気に入りで「お前のことを本当に弟やと思とんねん」という台詞が印象に残っている。上西さんは、本作が公開を迎え「僕ら関西人には、赤井さんにシンクロした思い出やイメージがある。僕らの世代は映画を観て赤井さんを感じてほしい。昔観た映画のように懐かしさを抱いてほしい」と期待。赤井さんは「若い人にも観て頂きたい」と願っており「昭和、平成、令和となった中で、まさに昭和の空気を感じられる作品になっていますので、若い人にも当時の空気感を知ってもらいたいな」と望んでいる。さらに、上西さんは、本作のシリーズ化を計画しており「是非、皆さんに今作を観て頂いて『続 ねばぎば 新世界』につなげたい」と闘志を燃やしていた。

 

映画『ねばぎば 新世界』は、7月16日(金)より大阪・難波のなんばパークスシネマや堺のMOVIX堺や京都・九条の京都みなみ会館、7月17日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場、8月7日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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