紳士服一筋の仕立て屋がウェディングドレス作りに挑戦し変化していく姿を描く『テーラー 人生の仕立て屋』がいよいよ劇場公開!
(C)2020 Argonauts S.A. Elemag Pictures Made in Germany Iota Production ERT S.A.
手作り屋台で“移動式テーラー”を営む男の運命が、ウェディングドレスの注文を受けたことで大きく変わっていく様を描く『テーラー 人生の仕立て屋』が9月3日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『テーラー 人生の仕立て屋』は、移動式のスーツの仕立屋を営む主人公が、初めてのウェディングドレス作りに奮闘する姿を通して、人と人とのつながりや人生の希望を描いたドラマ。アテネで36年間、高級スーツの仕立て屋店を父と営んできた寡黙なニコス。そんな中、不況がギリシャを襲い、店は銀行に差し押さえられ、ショックで父は倒れてしまう。途方に暮れたニコスは、手作り屋台で、移動式の仕立て屋を始めることを思いつく。しかし、道端で高級スーツはまったく売れなかった。そんなある日、ウェディングドレスの注文がニコスに飛び込んでくる。紳士服一筋だったニコスは、隣人の母子に手伝ってもらい、女性服の仕立てを学びながら、人生初めてのウェディングドレス作りに挑むことになるが…
本作では、ギリシャのベテラン俳優であるディミトリス・イメロスが主演。今作が長編初作品となるソニア・リザ・ケンターマンが監督を務めた。ギリシャ最大規模のテッサロニキ国際映画祭では、ギリシャ国営放送協会賞、青年審査員賞、国際映画批評家連盟賞の3冠に輝いている。
(C)2020 Argonauts S.A. Elemag Pictures Made in Germany Iota Production ERT S.A.
映画『テーラー 人生の仕立て屋』は、9月3日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮の神戸国際松竹で公開。
2009年に発覚して以来10年近く続いたギリシャ危機。首都アテネで36年間も高級スーツの仕立て屋さんを経営してきても、長らく続く不況に耐えられなかったのは切ない。だが、店というものが差し押さえられても、移動式の仕立て屋なら可能なのでは??という発想が興味深い。だが、今までにない斬新過ぎるアイデアと高級スーツとの相性が悪かったのか、早々簡単に上手くいかないのが人生だろうか。偶然にもウェディングドレスのオーダーを受け、初挑戦。女性服の仕立てを学びはじめ、主人公に光が射していくプロセスが微笑ましい。
主人公である50歳のニコスを演じたのは、ギリシャの演劇界では有名なベテラン俳優のディミトリス・イメロス。言葉数は少なくとも、コミカルな表情が愛らしく、ベテラン俳優ならではのタイミングに配慮した台詞の話し方をしており、ずっと観ていたくなる俳優である。こんな風に落ち着きのある、まさに”紳士”な大人になってみたいものだ。
1年の中で360日は晴れると云われる太陽の国ギリシャ。不況の中でも変化することを受け入れ、皆の理解を得ながら前向きに生きていくこと。日本においても同様のことは当てはまるだろうか。まだまだ先の見えない人生の中を生きていく中でヒントがもらえるかもしれない希望の物語を最後まで存分に楽しんでもらえれたらいいな。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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