有望な前途が奪われた女性による型破りな復讐が描かれる『プロミシング・ヤング・ウーマン』がいよいよ劇場公開!
(C)2020 PROMISING WOMAN, LLC All Rights Reserved.
女性蔑視の男性に制裁を加え続けている女が、ある同級生の男と再会したことで巻き起こす、愛と復讐劇をブラックユーモアたっぷりに描く『プロミシング・ヤング・ウーマン』が7月16日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、ある事件によって医大を中退した女性を主人公とする復讐エンタテインメント。ごく平凡な生活を送っているかに見える女性キャシー。実はとてつもなく切れ者でクレバーな彼女には、周囲の知らないもうひとつの顔があり、夜ごと外出する謎めいた行動の裏には、ある目的があった。明るい未来を約束された若い女性(=プロミシング・ヤング・ウーマン)だと誰もが信じていた主人公キャシーが、ある不可解な事件によって約束された未来をふいに奪われたことから、復讐を企てる姿を描く。
本作は、Netflixオリジナルシリーズ「ザ・クラウン」でチャールズ皇太子の妻カミラ夫人役を演じ、テレビシリーズ「キリング・イヴ Killing Eve」では製作総指揮や脚本を担当するなど、俳優・クリエイターとして幅広く活躍するエメラルド・フェネルが、自身のオリジナル脚本でメガホンをとった長編映画監督デビュー作。主人公キャシーを『17歳の肖像』『華麗なるギャツビー』のキャリー・マリガンが演じ、『スキャンダル』『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』や『スーサイド・スクワッド』で知られる女優マーゴット・ロビーが製作を務めている。2021年の第93回アカデミー賞で作品、監督、主演女優など5部門にノミネートされ、脚本賞を受賞した。
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映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、7月16日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条、神戸・三宮の神戸国際松竹や兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OS等で公開。なお、現在、TOHOシネマズ梅田で先行公開中。
タイトルの『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、前途有望な若い女性といった意味を表す。本作の主人公キャシーは、幼い頃から優秀で、医大にも入学したのだから、真面目に生きていれば、医者への道も開かれている。まさにタイトルのごとく前途有望だった。だが、とある事件により医大を中退。平凡でパッとしない日々を送らざると得なくなってしまった…と思いきや、沸々と復讐を行っていた…と聞くとスリラー映画の様相を想像するが、皮肉たっぷりのブラック・ユーモアがたっぷりと盛り込まれていくコメディでもある。決して単純に笑ってはいけない出来事が起きていくが、おかしみがあるように思える不思議な感覚に陥ってしまう。さらにはホラー映画を見せられているような感覚にもなってしまい、一筋縄ではいかぬアクロバティックなストーリー展開であり、興味深い。
また、作中に流れる音楽は、作品の細部まで十分に踏まえた上で選曲が施されている。エメラルド・フェネル監督がサウンドトラックのエグゼクティブ・プロデューサーまで担っており、用意周到な拘りに納得してしまう。特に印象的に残るのが、ブリトニー・スピアーズによる2004年の楽曲「TOXIC」だ。恋愛は時に中毒性があり人の心を奪っていく、といった内容の歌詞がある。人が集まった場所を切り裂いていくような鋭角的なメロディにのせられてしまった歌詞は相手へと矛先を向かっていく。キャシーの復讐を端的に表しているかのようた。
なお、キャリーの復讐劇はいくところまでいってしまう。所謂クライマックスシーンでは衝撃的な展開になってしまう。これ以上はどうしたらいいのか、と呆然としながらスクリーンを見てしまったが、単純には終わらない。ラストシーンまで迎えてしまうと、そんな手段があったのか、と驚かされてしまった。とことん用意周到な復讐エンターテイメントとして仕上がっている。近年、最終的に女性が活躍して爽快に観終えられる作品をチラホラ観るようになったが、こんなエンディングはあまり無いように思えた。監督が本作に込めたメッセージは徹頭徹尾貫かれている。これから観る方と存分に語り合いたい。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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