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第16回大阪アジアン映画祭開幕!オープニング作品『映画をつづける』が日本初上映!

2021年3月5日

優れたアジア映画の新作を毎年いち早く鑑賞できる大阪アジアン映画祭が3月5日(金)より開幕!今年度で16回目を迎え、「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」をテーマに、より豊かで質の高いアジア映画が上映される。オープニング作品として、香港映画界の巨匠であるアン・ホイ監督の素顔を通して、生きることの力を描いたドキュメンタリー『映画をつづける』が日本初上映された。

 

映画『映画をつづける』は、香港映画界の代表的存在であるアン・ホイの70年に及ぶ彼女の人生を豊富な映像資料と家族や映画界の錚々たる面々へのインタビューで振り返り、彼女の素顔を通して生きることの力を描き出す。キャリアの中で多くの浮き沈みを経験してきたアン・ホイだが映画への愛と信念は変わらない。常に市場の人々と同じ目線でいるアン・ホイは、これからも香港の人々のため“映画をつづける”と決意を語る。

 

本作の監督を務めるのは、ベテランの美術監督・衣装デザイナーとして、ツイ・ハーク、スタンリー・クワン(關錦鵬)、シルビア・チャン、パン・ホーチョン(彭浩翔)などの作品に参加してきたマン・リムチョン。アン・ホイ監督とは『黄金時代』を含めた3作で2002年からタッグを組み、本作で監督デビューを果たした。音楽には大友良英さんも名を連ねる。またインタビューでは、ツイ・ハーク、ホウ・シャオシェン、フルーツ・チャン、ティエン・チュアンチュアン、ジャ・ジャンクーなど中華映画界の重鎮のほか、シルヴィア・チャン、アンディ・ラウなどアン・ホイの作品には初期から出演し、彼女と親交の深い俳優が登場。

 

映画『映画をつづける』は、3月11日(木)12:55よりABCホールでも上映。

近年では、『桃さんのしあわせ』が日本で劇場公開されたり、『黄金時代』や『第一炉香』が東京国際映画祭で上映されたりしているアン・ホイ監督。本作を鑑賞し、改めてこれまでの歩みを知った。1947年、中国人の父、日本人の母のもと中国東北地方で生まれ、祖父母の住むマカオで幼少時代を過ごしたアン・ホイさん。10代の頃には、反日教育の影響を受けながら、母親が日本人であることを知った時は、どれだけ悩んだことだろう。徐々に和解していったことが少しずつ分かっていき、現在は香港で母親と2人で暮らしていることが微笑ましい。

 

中国武侠映画監督のキン・フーのアシスタントを経た後、監督作品を次々に手掛けていくが、自らの経験をベースにした作品を世に送り出していく。母親の故郷を2人で旅した経験や、介護施設のお世話になることについて考察、自らの老いを感じながら如何にして現代を生きていくか、といったことを反映していった。自身の経験があるからこそリアリティが伴い、観る者にとっても印象的な作品に仕上げている。監督自身は、社会情勢に対して何らかの主張をしたり問題提起をしたりすることは不得手のようだが、あくまで映画表現に徹していることも好ましい。それは「人間性の追求」という自分らしさを出せる分野に気づいたからこそ70歳を超えても監督業が出来るのだろうか。徹頭徹尾、エッジの効いた映画監督であることが伝わってくるドキュメンタリーである。日本の劇場や映画祭で今後も作品が上映されることを大いに期待したい。

 

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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