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愛知県三河の繊維産業に切り込む『わたのまち、応答セヨ』がいよいよ関西の劇場でも公開!

2025年5月13日

©ゴンテンツ

 

かつては繊維産業が盛んだった愛知県蒲郡市で、種から育てたわたで糸を紡ぐ80歳の職人の、ものづくりへの情熱が海を越えて人々の心を揺らす様を描く『わたのまち、応答セヨ』が5月16日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『わたのまち、応答セヨ』は、『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』の岩間玄監督と、バラエティ番組「電波少年」シリーズのプロデューサーである土屋敏男さんがタッグを組み、繊維産業の街として知られる愛知県三河の蒲郡市にスポットをあてたドキュメンタリー。1200年前、日本に初めて綿花がもたらされた街である蒲郡市。戦後、衣類が不足するなかで空前の好景気が訪れ、街の至るところで織機の音が鳴り響いていたが、いつしかその活気は失われてしまった。蒲郡市から「街の繊維産業に光を当てる映画を作ってほしい」と依頼され現地を訪れた岩間監督は、街の構造的な問題と人々の諦めムードを目の当たりにする。映画制作が難航を極めるなか、わたを種から育て紡ぐ80歳の職人との出会いをきっかけに、奇跡のような展開が訪れる。舞台は蒲郡市からロンドンへと移り、日本のモノ作りの本気が海を越えて人々の心をつかんでいく。『ケイコ 目を澄ませて』等の俳優である岸井ゆきのさんが語りを担当した。

 

©ゴンテンツ

 

映画『わたのまち、応答セヨ』は、関西では、5月16日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都、5月24日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開。

蒲郡市から「街の繊維産業に光を当てる映画を作ってほしい」と依頼されて製作したドキュメンタリー…と聞くと、伝統産業についてどれだけ美しく伝えている作品なんだろうか、と思っていたら、想像していた内容とは一切違っていた。その裏側にある思惑でさえも打ち明けてしまうような作品だ。プロデューサーである土屋敏男さんも安請け合いしたものではないだろうが、改めて街の実体を知った時には、困惑したのではないだろうか。とはいえ、まるで、街の産業を再生する、といった宿命を請け負ったかのような心持ちで、様々なプロジェクトを追いかけていく。遠からず近からず繊維産業に携わる若手達が一大プロジェクトの下で一緒になっていくが、明確な方向性が定まらない中で、各々の思惑があるなかで進んでいくことの危うささえも伝わってきた。それでも、プロジェクトを最後まで成し遂げようとする姿には背中を押したくなる。そして、わたを種から育て紡ぐ80歳の職人との出会いが大きかった。繊維産業の基本と大切にしながら、革新的な技術を見い出し、世界と繋がっていく姿には驚くばかり。最終的に、このような1本の作品として纏め上げた手腕には拍手を送りたい。他の伝統産業にもエールを送る作品となることを願うばかりだ。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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