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少女が極北への航海に挑む冒険アニメーション!『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』が関西の劇場で公開中!

2019年10月3日

(C)2015 SACREBLEU PRODUCTIONS / MAYBE MOVIES / 2 MINUTES / FRANCE 3 CINEMA / NORLUM

 

19世紀のロシアを舞台に、北極探検の途中で消息を絶った祖父を探し出すべく旅に出る、ひとりの少女の姿を描き出す『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』が京都・出町柳の出町座で公開中。10月5日(土)からは、大阪・十三の第七藝術劇場でも公開される。

 

映画『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』は、行方不明の祖父を捜すため北極点を目指す旅に出た少女の冒険を描いたフランス・デンマーク合作による長編アニメーション。19世紀ロシア、サンクトペテルブルグで暮らす14歳の貴族の子女サーシャ。大好きな祖父は1年前に北極航路の探検に出たきり行方不明となり、捜索船は出たものの、いまだに見つからずにいた。祖父と家族の名誉は失われ、祖父の名を冠する予定だった科学アカデミーの図書館も開館が危ぶまれている。そんな状況の中でローマ大使の道を模索するロシア高官の父は、社交界デビューをするサーシャが皇帝の甥であるトムスキー王子に気に入られるしかないと考えていた。しかし、社交界デビューの日、サーシャは祖父の部屋で航路のメモを発見し、それをもとに祖父の再捜索を王子に懇願したことで、不興を買ってしまう。父からも叱責を受けたサーシャは、自ら祖父の居場所を突き止めることを決意。数々の困難を乗り越えてようやく北方行きの船に乗り込み、“地球のてっぺん”を目指すが……

 

本作は、レミ・シャイエが監督を務め、黎明期の日本アニメを彷彿とさせ、シンプルな画風の持つ大胆な表現力が非常に魅力的な作品。アヌシー国際アニメーション映画祭で観客賞、TAAF(東京アニメアワードフェスティバル)2016でグランプリを受賞した。

 

(C)2015 SACREBLEU PRODUCTIONS / MAYBE MOVIES / 2 MINUTES / FRANCE 3 CINEMA / NORLUM

 

映画『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』は、京都・出町柳の出町座で公開中。10月5日(土)からは、大阪・十三の第七藝術劇場で、11月30日(土)からは、神戸・元町の元町映画館で公開。

キービジュアルを観て、心惹かれた人は間違いなく満足できる。本作のアニメーション技術は各方面で絶賛されている通りの出来栄え。ベタ塗りに見えるシーンでも細く色調を使い分け、見事なコントラストで表現の難しい白銀の世界を描いてみせた。

 

現代アニメーションが3DCGを突き進める中で、本作は別の角度からのアプローチで〝アニメ〟というジャンルの無限の可能性に気づかせてくれる珠玉の一作。絵ばかりが注目されがちだが、物語も秀逸。遭難した祖父を探しに行くという一見単調に見える構成が逆に功を成し、周りとの掛け合いでの心情変化や人物の背景も濃密に描けている。全体的にわかりやすく、老若男女問わずオススメできる作品として仕上がった。

fromねむひら

 

絵が、動いている。じっくりと眺めていたいくらい美しい絵本。途切れなく動いていることが不思議で仕方ない。どこまでも細かく書き込まれた昨今のアニメ作品とは正反対、洗練せれたシンプルな作画。何一つ無駄がなく、色彩のセンスがずば抜けている。海を、朝日を、降り積もる雪を美しいとひたすら眺めたことがあっただろうか。各々のキャラクターから滲み出す感情の機微も痛い程に伝わってきた。

 

ストーリーもシンプル。非常にシンプルな少女の冒険譚。だが、いつの間にか、彼女は私の心を掴んで離さない。可愛い子には旅をさせよとはよく言った。懸命に前に進む彼女の姿は頼もしく、息を呑む程に美しい。

fromナカオカ

 

祖父の威厳のため、自らダバイ号を探しに行くことを決意するサーシャ。その行動は年相応の、考えの足りない子供ながらも、貴族である一族の名前を背負う娘として気高い女性だと感じさせた。

 

実写映画では感じることの出来ないようなアニメーション独自の美しさが全面に出ており、彩度を抑えた色合いや北極の景色から思わず寒さを感じてしまう。北極という自然は優しくはなく、次々と想像を超える事態がサーシャを待ち受けている。また、人間の極限状態をリアルに描写する様は目を背けたくなった。

 

地球儀を回すサーシャ、髪の毛をすくう手や、揺れるスカートの柔らかさなど普段ならば気にもとめないような動きが、フラットなアニメーションで意識的に表現されることにより、仕草一つ一つが主人公の機微を捉えている。とても美しく、色彩に優れていた。ファンタジーと共に北の国ロシアの雰囲気を味わえるのではないか。

 

『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』、『The Swallows of Kabul』(原題)、『J’AI PERDU MON CORPS』(原題)等、今フランス・アニメーションがとても盛り上がっており、より多くのフランスアニメーションが日本で公開されることを期待している。

from君山

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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