凄い高みまで登ることが出来た作品をもう少しだけ皆さんのそばに置いてください…!『侍タイムスリッパー』日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞記念御礼舞台挨拶開催!

時代劇の撮影所にタイムスリップした幕末の侍が、斬られ役として第2の人生を歩もうとする姿をコメディタッチで描く『侍タイムスリッパー』が現在全国の劇場で公開中並びに各種配信サイトで見放題・レンタル中。今回、3月30日(日)に大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田で、日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞記念御礼舞台挨拶IN関西が開催された。
映画『侍タイムスリッパー』は、現代の時代劇撮影所にタイムスリップした幕末の侍が時代劇の斬られ役として奮闘する姿を描いた時代劇コメディ。幕末の京都、会津藩士の高坂新左衛門は家老から長州藩士を討つよう密命を受けるが、標的の男と刃を交えた瞬間、落雷によって気を失ってしまう。目を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所だった。新左衛門は行く先々で騒動を起こしながら、江戸幕府が140年前に滅んだことを知り、がく然とする。一度は死を覚悟する新左衛門だったが、心優しい人たちに助けられ、生きる気力を取り戻していく。やがて彼は磨き上げた剣の腕だけを頼りに撮影所の門を叩き、斬られ役として生きていくことを決意する。テレビドラマ「剣客商売」シリーズなど数々の時代劇に出演してきた山口馬木也さんが主演を務め、冨家ノリマサさん、沙倉ゆうのさんが共演。『ごはん』『拳銃と目玉焼』の安田淳一さんが監督・脚本を手がけ、自主制作作品でありながら東映京都撮影所の特別協力によって完成させた。
2024年8月17日に池袋シネマ・ロサの一館のみで封切られ(8月30日からは川崎チネチッタでシーンを追加した「デラックス版」が上映スタート)、口コミで話題が広まったことから9月13日からはギャガが共同配給につき、新宿ピカデリー、TOHOシネマズ日比谷ほか全国100館以上で順次拡大公開。インディペンデント映画として異例の大ヒットを記録したうえ、第48回日本アカデミー賞では最優秀作品賞と最優秀編集賞を受賞する快挙となった。
上映後、山口馬木也さん、冨家ノリマサさん、沙倉ゆうのさん、峰蘭太郎さん、田村ツトムさん、福田善晴さん、紅萬子さん、山本拓平さん、楠瀬アキさん、結月舞さん、吉永真也さん、安田淳一監督が登壇。日本アカデミー賞での最優秀作品賞と最優秀編集賞の受賞を受け、お客様への最大限の感謝の気持ちを伝える舞台挨拶が繰り広げられた。
今回、安田監督が司会のごとく、出演者による挨拶のマイクリレーを取り仕切っていく。まず、山口さんは「みんなの賞が獲れました。皆さんが応援してくださって、こんなところにまで辿りついてしまいました。この賞、ホント嬉しいですけど、何よりもまた皆さんと喜びを分かち合えることが何より嬉しいです」と感謝の気持ちを伝えると共に「昔は、街を歩いていて”あ、俳優さんですよね”で終わっていたんですけど、最近は”あ、山口さんですよね”と言われるのが5割、あとは”あ、お侍さんですよね”…そんな声をかけてもらうようになったのがホントに皆さんの応援があってだと思います」と報告。
冨家さんは、日本アカデミー賞最優秀編集賞のトロフィーを便宜上携えながら「最初は1館も決まっていなかった映画がこうやって2つも日本アカデミー賞の最高賞を獲れる作品になるなんて撮影中も夢にも思っていませんでした。ここまで来たのは、この作品を支えてくれるファミリーの皆様のおかげだと思っております」と伝えた。
沙倉さんは「8月17日の池袋シネマ・ロサでの公開から7ヶ月経ちました。今でもこうして皆さんが劇場に観に来てくださったり、配信でも楽しんでくださったり、両方で楽しんでいただけていることが凄く嬉しくて毎日SNSで皆さんの感想を見ています。こんなにも沢山の方に応援してもらえて、自分の映画のように、自分が出ているかのように皆さんがこの作品のことを大切に思って下さっているのを日々感じています」と感謝の気持ちを表していく。
峰さんは「亡き福本清三先輩の代役として監督に見つけていただいて、本当に嬉しく思いました。先輩の後を継いで頑張ってやってまいりましたが、監督に見つけていただいたことが…先輩が言っていました。”頑張って努力していたら、きっといつかどこかで誰かが見ていてくれるよ”と…本当にその通りでございました。そして、映画ができたら、今度は、こんなに沢山の人が観てくださいました。そして、ついにアカデミー賞最優秀作品賞まで…そして、監督も最優秀編集賞まで獲られました。俳優として60年やってきまして、こんなに素敵な映画に出させていただいたことを本当に感謝しております。これもひとえに皆様方が応援してくださったおかげと思っております。本日は皆さんとこの喜びを分かち合いたいと思います」と長年の芸歴が物語る挨拶をした。
紅さんは「ホンマにアホほど長いこと上映していただき…ホンマにクソ長いご支援ありがとうございます。ホントに皆喜んでおります。”舞台挨拶、えぇかげんにせぇ”と思いながら、100回を超えたらしいです。その100回、経費を捻出したんは監督ですよ。エラい!新聞の広告を見た時、ビックリこきました。どこで金使とんのか思いました。今後も舞台挨拶、来てくれるよね」と愛あるツッコミをいれながら「このお二人もようやく陽の当たるところへ出た、と仰っています。私ら、まだ地下室におりますんで、どうぞ地下室の役者もご支援いただけますようにお願いをいたします」とへりくだりながらも挨拶していく。
田村さんは「8月17日から池袋シネマ・ロサ1館から始まりました。この映画、なんと現段階で映画館で133館で上映していただいております。こんなことないんじゃないかと思っております。しかも、いろんなところで映画の情報を調べますと、只今上映中、そして、見放題配信中と書かれている映画ってないんだと思います。珍しいことで。ここまでこの映画を盛り上げてくれたのは全て皆さんのおかげだと思っております。今日は賞を獲ったことを皆さんで分かち合いましょう」と呼びかけた。
福田さんは「思い起こしますと、初めて舞台挨拶をさせていただいたのは、2023年ですね。一昨年、よしもと祇園花月で初めての舞台挨拶させていただきました。エラい雨でした。お客さん来はるんかな、と心配していたんですけど、けっこう入っていただいた。凄く反応が良かったんです。こちらが感激するぐらい拍手があったり、声を出して笑われたりして、あれぇ?と思いながら雨に濡れて帰ったんです。その後、9月で東京で、とっても反響が良いですよ、と冨家さんからもメールを頂いた。凄いんやな、ひょっとしたら、ひょっとするなぁ、と思っていたんですが、ここに寄せていただくのは3回目なんです、実は。それまで毎回満員になるぐらいお客さんが集まってくださって…凄い映画に出たんやなぁ。手伝わせてもらったんだなぁ、とその度に感謝しているんですけども」と謙遜し続ける。
山本さんは「ホントにこんなことになるとは思っていなくて…賞を獲らはったんを僕が知ったんは、Barで呑んだくれている時やったんですよね。獲ったんかぁ、と思って…そこから、こんな舞台挨拶にも呼んでいただけるようになって…果たしてどれくらいの方が認識していらっしゃるのか、よく分からないんですけれどもね。世間で”推し”という言葉がはやっていますけども、言語学的に解釈しますと”推され”ということになるわけでして。ちょっとしか映ってへんカメラマンにも名指しで推してくださるお客さんも増えまして…それというのもこの作品に呼んでいただいて、出さしていただいて、映らさせていただいて…という経緯があったから、なんでね。ホントにこればっかりは縁という言葉しか理解が及ばない。僕の力ではない、何かの縁があって偶々そこに僕がポンッとそこにおって、こんなことになってんねやなぁ、と思ったら、今日ここに立っててもよぉ分からんのですわぁ。ホントにお客さんの顔が晴々していらっしゃって、本当にありがたいと思います。みなさんのおかげで、監督のおかげで、今日ここに立たせていただいています」と感謝の言葉を伝えていく。
楠瀬さんは「アカデミー賞を1人で家でビールを吞みながら見てまして…はぁ獲ったわぁ、と号泣しながら拍手してたんですけど…今観てくださるお客様とご一緒できて、めっちゃ感動して泣きそうになっています。おかげさまだと思います」と涙ながらに伝えた。
結月さんは「私がこの作品に携わらせていただいのは、監督との奇跡的な御縁ある出会いからで…このような素晴らしい作品に出させていただいて、そして、アカデミー賞まで受賞して…私も受賞式の時は、呑んだくれておりまして…お店のTVで”コレ出てんねん”って言って見てて…皆で”きゃあぁ”って言って一緒に喜びました」と当時を思い返す。
吉永さんは「この映画、コロナ禍前に私はオーディションで採用いただきました。コロナ禍中も監督から事務所を通してメールをいただいて、どうなるのかな、やるのかやらないのかな、と思ってすごしたんですが、まさかこんなことになって…いつも客席側からこのスクリーンを観ていたんですけども、舞台に立たせてもらえることになって本当に光栄で感謝しております」と伝えていった。
登壇者各々の挨拶を経て、現在の山口さんは「この映画に出会って様々な賞を頂いて…いまいち実感が湧かなくて…俳優としてなにかを評価された感覚がまるでないんです」と告白。「賞を獲ったのは、高坂新左衛門であり、風見恭一郎であり…役それぞれのキャラクターに与えられた賞という思いが凄くしていて…どんどんどんどん映画が大きくなって、皆様の声援が熱くなる度に、ちょっと寂しいんです。離れていっているような感覚があって、ホントにアレをやっていたのは僕なんだろうか、と思うぐらい遠くにいっちゃって…凄く喜ばしいことなんですけど、そういう風な目線で見た時にひょっとしたら、お客様もそういった目線でこの映画を僕と同じようにスクリーンに映るあのキャラクター達を見てくださっていたのかなぁ、と思うと…」とまで漏らしながらも「また改めて…感動が押し寄せます。本当にこの映画を通して目に見えない力や感動や夢みたいなものが本当に皆さんのおかげで僕の中で凄くハッキリクッキリした重さのあるものになりました。本当に感謝しています。これからそれを糧にして俳優を続けていけたらなぁと思っております」と感謝の思いを伝えていく。冨家さんは、舞台挨拶までの道中で山口さんとクライマックスのシーンについて語っており「監督も『最後の立ち回りは、この作品の肝です』『刀の重さ、武士としての矜持をしっかりと出さなければいけない』と言っていて、三日間かけて深夜ずっと撮っていたんです。その時の心の思いをマッキー(山口さん)とずっと喋っていた時、当時の撮影シナリオのことを思い出されて、なんとも懐かしく思っておりました」と感慨深げになりながら「まだまだ『侍タイムスリッパー』、劇場でも公開されていますし、Amazon Prime Videoでも沢山の人に観てもらえるようになって、どこまで『侍タイムスリッパー』が行くんだろう、と思うと…ビックリして…これも皆さんファミリーのおかげだと思っています。この壇上に並んでいる俳優陣、これからまだまだ一生懸命に頑張りますので、これからTVや舞台やラジオでも、芸能の世界で壇上のメンバーを見かけたら、是非是非応援してください」とエールを送ることをお願いしていく。
そして、劇中内の作品で心配無用ノ介を演じた田村さんが、今回で40回目の”世直し侍 心配無用ノ介”の口上を披露。さらには、ラストシーンの再現を、今回は山口さんの代わりに、挙手にて選ばれたお客さんが壇上に上がり、沙倉さんと共演し披露した。さらには、観客席フロアを俳優達が練り歩く”お練りの時間”が設けられていく。その傍らでは、安田監督が日本アカデミー賞授賞式でのエピソード等を語っていく。最後に、安田監督が「この映画、皆さんのおかげで凄い高みまで登ることが出来ました。何回も何回も映画館に足を運んでくださる皆様、本当にありがとうございます。7ヶ月間こうやって連れてきていただいたことが僕達は本当に幸せに感じております。ところが、もうちょっと公開が続きそうなので…」と想定以上の事態に驚きながら、山口さんと共に「もう少しだけ皆さんのそばに置いてください」と伝え、部隊挨拶を締め括った。
映画『侍タイムスリッパー』が現在全国の劇場で公開中並びに各種配信サイトで見放題・レンタル中。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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