仏大統領を務めたジャック・シラクの夫人として親しまれたベルナデット・シラクの実人生を脚色したコメディ『ベルナデット 最強のファーストレディ』がいよいよ劇場公開!
©2023 Kare Productions – France 3 Cinema – Marvelous Productions – Umedia
メディア向きではないと、広報アシスタントを務める娘に突き放された大統領夫人が、メディアの最重要人物になるべく奔走する『ベルナデット 最強のファーストレディ』が11月8日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ベルナデット 最強のファーストレディ』は、シラク大統領夫人としても親しまれた元政治家ベルナデット・シラクの知られざる姿を、ユーモアを交えながら描いたドラマ。ベルナデット・シラクは夫ジャックを大統領にするため、常に影で働いてきた。ようやく大統領府エリゼ宮にたどり着いたものの、夫やその側近、そして夫の広報アシスタントを務める娘クロードから「時代遅れ」「メディアに向いていない」と軽視され、大統領夫人としての仕事すら与えられない日々を過ごすことに。そこで彼女は、かつて知事を夢見ていたエリゼ宮の職員ベルナール・ニケを参謀に、「メディアの最重要人物」を目指してひたすら任務に励む。時代に寄り添いながらポジティブに変化し発信を続ける彼女の姿に、国民は熱い視線を寄せ始める。
本作では、フランスを代表する名優カトリーヌ・ドヌーブが主演を務め、『12か月の未来図』のドゥニ・ポダリデスが参謀ベルナール、『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』のサラ・ジロドーが娘クロードを演じた。監督は、本作が長編劇映画デビューとなるレア・ドムナックが務めている。
©2023 Kare Productions – France 3 Cinema – Marvelous Productions – Umedia
映画『ベルナデット 最強のファーストレディ』は、11月8日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際等で公開。
ジャック・シラクがフランス大統領を務めていたのは、 1995年5月17日から2007年5月16日。1995年の核実験強行に始まり、2001年のアメリカ同時多発テロがあり、2005年には欧州統合政策が行き詰まり、パリ郊外暴動事件が起こり戒厳令を発するまでに至る、という大変な期間ではあった。その裏では、娘の1人であるクロード・シラクが大統領の広報担当アシスタントを長年務めていた。そういった状況下、妻のベルナデットがどのような活動をしていたか、事実に対して自由な脚色をまじえながら、カトリーヌ・ドヌーブが演じている。
”大統領夫人”と聞いて、パッと思い浮かぶ人が何人いるだろうか。世界の政治に関心がなければ、メディアへの露出が多くないと、そんなに多くを思い出さないかもしれない。ベルナデットの場合、地元の議員としての活動をしていたが、公約の実現は難しく思うようには動けていなかった。有能な娘から「時代遅れ」「メディアに向いていない」と軽視され、大統領夫人としての仕事ができていなかったようだ。そこで、大統領官邸職員であるベルナール・ニケが参謀となり、真に自立した女性になるべく奮闘していく。大統領は国内外に向けて政治をしていくため、時代の遺物だと思っていた妻を相手にしていない。その裏で、自身の自立を証明するべく、国民の真意に寄り添いながら発信することを心掛け、国民からの支持を少しずつ得ていくようになっていった。そういったことを考えると、シラク大統領の動向には考えさせられるものがある。といった難しいことを考えずとも、エンパワーメント・ムービーとしておもしろく、本国フランスでもヒットしたことが頷ける一作であった。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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