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理髪店主人が病気の常連客のもとへ向かう『本日公休』がいよいよ劇場公開!

2024年9月17日

©2023 Bole Film Co., Ltd. ASOBI Production Co., Ltd. All Rights Reserved

 

40年間常連客に支えられて理髪店を営んできた女性が、遠方から通っていた男性客が床に伏したと知り、散髪に向かう『本日公休』が9月20日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『本日公休』…

台中にある昔ながらの理髪店。店主アールイは40年にわたってこの店に立ち続け、常連客を相手にハサミの音を響かせている。彼女がひとりで育て上げた3人の子どもたちは既に独立しており、頼りになるのは近所で自動車修理店を営む次女の元夫チュアンだけ。ある日、離れた町から通い続けてくれる常連客の“先生”が病に倒れたことを知ったアールイは、店に「本日公休」の札を掲げ、古びた愛車に乗り込んで先生のもとへ向かう。

 

本作は、作家やミュージックビデオ監督としても活躍する台湾の俊英フー・ティエンユー監督が、自身の母親をモデルに執筆した脚本をもとに、実家の理髪店で撮影を敢行して完成させたヒューマンドラマ。『客途秋恨』で知られる名優ルー・シャオフェンが24年ぶりにスクリーン復帰して主人公アールイを演じ、2023年の第25回台北電影奨で主演女優賞、第18回大阪アジアン映画祭で薬師真珠賞(俳優賞)を受賞。チュアン役で『返校 言葉が消えた日』のフー・モンボーが共演し、『藍色夏恋』のチェン・ボーリン、『僕と幽霊が家族になった件』のリン・ボーホンが特別出演している。

 

©2023 Bole Film Co., Ltd. ASOBI Production Co., Ltd. All Rights Reserved

 

映画『本日公休』は、9月20日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田や心斎橋のシネマート心斎橋、京都・烏丸の京都シネマ、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。

中学校入学から高校卒業まで通っていた理髪店がある。いわゆるどこにでもある町の理髪店で祖父、父、自分と親子3代でお世話になったお店だ。いつも気さくで明るいおじちゃんとおばちゃん、人懐っこい大型犬がいつも出迎えてくれていたのを覚えている。自分はしばらく行っていないが、父は今でもそのお店で髪を切ってもらっているらしい。

 

今作に登場する理髪店もまた誰かの思い出に刻まれていたり、変わらない日々の生活の中に組み込まれていたりする場所なのだろう。台中の下町にある理髪店には子どもからおじいちゃんまで様々な人々がやってくる。女店主の巧みなハサミ捌きに身を委ね、常連たちは他愛のない世間話を楽しむ。まるで我が家にいるような安心感。人の温かみが感じられる場所がまだ残っていたなんて。

 

しかし、時代は変わっていく。女店主の子供たちはどこか余裕がなく、先の見えない人生を歩んでいくので精一杯。いつも来ていたはずの常連も病気になってしまい、店に来ることができなくなってしまった。世の中はめまぐるしく変わり、時の流れはどんどん早くなる。いつかこの理髪店もなくなってしまうのだろうか。

 

それでも人の優しさは変わらない。女店主は常連のために出張散髪へ出向くし、娘と離婚した夫は代金が払えない相手でも車の修理をするし、かつて理髪店に通っていた青年は立往生してしまった女店主を助ける。利益や効率を追い求めがちな時代だからこそ、ちょっとした思いやりや慈しみがとても尊い。誰かの肌や髪に触れるということ、丁寧な仕事をするということ、そして縁を大切にするということ。

 

常連たちが集う町の理髪店の温かな雰囲気や人情味あふれる人々の営み、そして時間の流れに思いを馳せる心地よいひと時。久しぶりに「この時間がもっと続けばいい」と思える映画だった。

fromマリオン

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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