能登半島地震に伴う輪島支援で特別上映!『幻の光』(デジタルリマスター版)がいよいよ関西の劇場でも公開!
©1995 TV MAN UNION
2024年1月1日に発生した能登半島地震で被害に遭った石川・輪島を支援するため特別上映される『幻の光』(デジタルリマスター版)が8月30日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『幻の光』(デジタルリマスター版)は、能登の雄大な自然を背景に、ひとりの女性の喪失と再生を描いたヒューマンドラマ。12歳の時に祖母が失踪したゆり子は、祖母を引き止められなかったことをずっと悔いていた。大人になり結婚し、息子の勇一を授かり、幸せに暮らしていたゆみ子だったが、ある日、動機がわからないまま夫の郁夫が突然自殺をしてしまう。再び愛する者を引き止められなかったゆみ子は、悔恨の思いを胸に秘めながら、日本海に面する奥能登の小さな村に住む民雄と再婚する。先妻に先立たれた民雄には友子という娘がいたが、勇一と友子も仲良くなり、ゆみ子は新しい家族と再び平穏な日々を過ごすが……。
本作は、独立系制作プロダクションであるテレビマンユニオンのドキュメンタリーディレクターとして活躍してきた是枝裕和さんの映画監督デビュー作で、原作は宮本輝さんの小説。第52回ベネチア国際映画祭で金のオゼッラ賞(撮影に対して)を受賞。本作が俳優デビューとなった江角マキコさんが主人公ゆみ子役を務め、第19回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞。郁夫役に浅野忠信さん、民雄役に内藤剛志さん。そのほか大杉漣さん、木内みどりさん、柄本明さんらが共演した。今回、今年1月に能登半島で起きた地震で大きな被害を受けた、本作の舞台でもある石川県輪島市を支援するため、デジタルリマスター版でリバイバル公開。
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映画『幻の光』(デジタルリマスター版)は、関西では、8月30日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田、9月6日(金)より京都・烏丸の京都シネマや神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
今年の元旦に発生した能登半島地震。当時、大阪の劇場で映画を観ていたので、不安な時間を過ごした。まさか、これ程までの地震が起きていたとは…1人の人間として募金等をすることが出来るが、映画好きなら本作を鑑賞することで支援することが出来るなら幸いだ。作品は、関西と輪島を舞台にしており、縁を感じずにはいられない。主人公は、夫と仲睦まじく日々を過ごしていた女性。そんなある日、突然に夫が自殺してしまう。宮本輝さんが原作の小説を書いた時には思わなかっただろうが、いつ起こるか分からない地震のようなもののメタファーでもあるかのように考えてしまう。何故、夫は自殺を選んでしまったのか。最後に会話を交わした際の顔からは伺える余地はあまりない。だからこそ、その表情の裏側にあったものを如何様にも想像するしかないのだ。失ってしまった人間を生き返らせることは出来ず、主人公自身が気持ちの復興を復興をするしかない。まるで導かれるかのように奥能登の小さな村に住む男性と再婚することに。悲しみを引きずることしかできないが、希望の光を見出すことが出来るのか。彼女の中に印象深く残っていた出来事について深く考えていきたい。1995年に公開された時は、このような事情を経てデジタルリマスター版が製作されるとは思っていなかっただろうが、今こそ新たな復興映画として見届けておくべき作品である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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