祖国を脱出したシリア人家族を待っていた過酷な運命を描く『人間の境界』がいよいよ劇場公開!
©2023 Metro Lato Sp. z o.o., Blick Productions SAS, Marlene Film Production s.r.o., Beluga Tree SA, Canal+ Polska S.A., dFlights Sp. z o.o., Ceska televize, Mazovia Institute of Culture
EUを混乱させようとしたベラルーシ政府の策に翻弄されたシリア難民を描く『人間の境界』が5月3日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『人間の境界』は、ポーランドとベラルーシの国境で“人間の兵器”として扱われる難民家族の過酷な運命を、スリリングな展開と美しいモノクロ映像で描いた人間ドラマ。ベラルーシ政府がEUに混乱を引き起こす目的で大勢の難民をポーランド国境に移送する“人間兵器”の策略に翻弄される人々の姿を、難民家族、支援活動家、国境警備隊など複数の視点から映し出す。「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることができる」という情報を信じ、幼い子どもを連れて祖国シリアを脱出した家族。やっとのことで国境の森にたどり着いたものの、武装した国境警備隊から非人道的な扱いを受けた末にベラルーシへ送り返され、さらにそこから再びポーランドへ強制移送されることに。一家は暴力と迫害に満ちた過酷な状況のなか、地獄のような日々を強いられる。
本作では、『ソハの地下水道』等で知られるポーランドの名匠アグニエシュカ・ホランド監督が手掛け、キャストには実際に難民だった過去や支援活動家の経験を持つ俳優たちを起用。2023年の第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で審査員特別賞を受賞した。
©2023 Metro Lato Sp. z o.o., Blick Productions SAS, Marlene Film Production s.r.o., Beluga Tree SA, Canal+ Polska S.A., dFlights Sp. z o.o., Ceska televize, Mazovia Institute of Culture
映画『人間の境界』は、5月3日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・烏丸の京都シネマ、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸等で公開。また、5月18日(土)からは大阪・十三の第七藝術劇場でも公開。
本作の中で起こっている出来事は、現実を基にして作られており、辛過ぎて如何ともし難い気分になってしまう。難民キャンプで過酷な日々を送っていた人々が可能な限り安全に亡命するため、「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることができる」という情報を信じ国境を超えようとしたら、国境警備隊に振り回され、どうすることも出来ない。少しでも勝手な行動をしようとするならば、より一層に危険な状態になってしまう。そんな異様な状態に対し、難民家族、国境警備隊、支援活動家ら各々の視点によって描かれていく。特に国境警備隊の幹部らは難民に対する考え方が酷すぎて憤りしかない。そんな状況下、支援活動家らが可能な範囲で困難な状況に追い込まれた難民を見つけ、手を差し伸べていくが、出来る事には限りがある。難民一家らが救われていったのか彼等は知る由もない。現実では、本作以上に過酷な事態に巻き込まれているようにも思え、”人間の境界”というものがどこにあるのか、観る者に突きつけられているような気分になった。世界で起きている戦争や紛争等々に巻き込まれてしまった人々がどのような事態に巻き込まれてしまっているのか、しっかりと考えないといけないと気づかされる一作である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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