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お客さんの予想を裏切っていきたい…!『シャルロット すさび』岩名雅記監督を迎え舞台挨拶開催!

2019年3月23日

ある男の過去に関係のあった女たちとの時空を超えた交接と、パリから東日本大震災後の福島に至る放浪のさまを、アーティスティックかつエロティックに描き出す衝撃作『シャルロット すさび』が、3月23日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォで公開。初日には、岩名雅記監督を迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『シャルロット すさび』は、舞踏家の岩名雅記さんが独自のイマジネーションで、パリから福島へと至る放浪を描いたロードムービー。アート活動に深くのめり込んだことにより、前妻スイコを失った日本人パフォーマーのカミムラ(K)は、かつてのようにシンバルを用いたパフォーマンスができずにいた。公演で用いる板ガラスを買うためにパリ13区にあるガラス店を訪れたKは、なぜかほろ酔いの女主人・朝子と出会う。同じ日に突然の雨を避けるために入り込んだメトロの構内でKが目にしたのは、フリークスの美しいイタリア人女性シャルロットだった。シャルロットから「夢の中で逢いましょう」と告げられたKは、その晩ある夢を見る…

 

上映後、岩名雅記監督が登壇。お客様と共に175分もある本作を鑑賞した岩名監督は「毎回観ながら、長時間なので作った方がハラハラしています」と告白する。

 

岩名監督の本業は舞踏家。40年の芸歴があり、現在も舞台で踊っており「昭和の最期の年にフランスに移住し、自称”平成の不在者”と云っています」と自身について話す。2004年から映画を作り始めたが「他の映画監督のような映画の専門家やシネフィルのように知識や技術は持ち合わせておりません」と正直だ。あくまで映画ファンであり「自分の実演者としての感覚と昔からの映画ファンとして日本映画を沢山観てきました。それが技術的に結びつくかは置いといて、ちょっとしたきっかけで映画を作るようになりました」と率直に話す。キャスティングにあたり、日本映画の世界を全く知らず、今回が4作目でも俳優の探し方がはっきりと分からない中で、撮影前に「舞踏家である自分が何故俳優を探す必要があるのか」と気づき、舞踏家にオファーしていった。「演技は上手くないが、存在感に魅力がある舞踏家をキャスティングした」と話しており、純粋の俳優はほぼいない。

 

水が入ったコップの上のガラス板が置かれた印象的なシーンが登場するが「自分の踊りに対する感じ方で大事なことがある」と話す。「非常に危険なことをやることで、体をシャープにしていくことが自分のテーマだった」だと述べ「ガラスの上での踊りはかつて私が取り組んでおり、怪我をしてまでも踊ることを批判されたこともあるが、次第に、自分はどういうことが踊りで大切なことかを確かめてきた。それが映画の中の台詞にも表れている」と解説する。また「現代社会が危機的な状態を迎えており、一見平和なようだが実はガラス板の上のようで、ガラスはコップで支えられており、一寸先は闇であることと暗示させたかった」ともう一つの意図を明かした。撮影現場では、撮影監督と毎日論争する日々。初日から「勝手に撮るな」と叫びながら、折り合いをつけていた。「時間が多くないなかで、彼が撮影方法を変えてしまうのは分からなくもない」と理解を示しており「普通の映画はベースになるショットを撮り、その後にインサートカットを撮る。僕はその知識があったが、先ずは好きなカットを撮りたかった。毎日論争した総決算が本作です」と太鼓判を押す。

 

岩名監督は、1950年代末の”悪あがき新東宝”の洗礼を受け、その後、高校生になってから、フランスや北欧の作家作品を輸入上映したATGを意識的に観るようになった。なお、本作を作るにあたり、完成尺を計算しないで撮っており、最初は240分の映画になってしまった。そこで、いつ・どこで・なぜの3要素を全部カットした。「あまり考えないで、ものづくりをしているが、潜在的には考えていると思う。僕が踊る時、約50分を一人で踊るのですが、前半は静謐な動かない踊りをしているが、後半は滅茶苦茶に動く」と映画との相似性を解説するが「いい加減にやっているわけではない。最初から脚本は綿密に作っているが、お客様の予想を裏切っていくことも大きな狙い」と、どこまでも意欲的だ。

 

映画『シャルロット すさび』は、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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