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かなり低予算のスプラッター作品だけど『サザエさん』みたいな映画!『悪魔がはらわたでいけにえで私』宇賀那健一監督と詩歩さんと平井早紀さん迎え舞台挨拶開催!

2024年2月25日

過去の名作ホラー作品のオマージュと、ホラー界の巨匠へのリスペクトを交えて、音信不通のバンドメンバーを訪れた仲間たちが、様子のおかしいメンバーと別世界への扉を見つける『悪魔がはらわたでいけにえで私』が2月23日(金)より全国の劇場で公開中。2月25日(日)には、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田に宇賀那健一監督と詩歩さんと平井早紀さんを迎え舞台挨拶が開催された。

 

映画『悪魔がはらわたでいけにえで私』は、『異物』シリーズなど独自の世界観とユーモアでジャンルにとらわれない作品づくりを続ける宇賀那健一監督が、世界各地の映画祭で注目を集めた自身の短編映画『往訪』に新たな登場人物と展開を加えて長編映画として完成させたバイオレンスホラー。ハルカ、ナナ、タカノリは、突然連絡が取れなくなったバンドメンバーのソウタの家を訪ねる。ソウタの家は窓ガラス一面に新聞紙が貼られており、彼の様子もどこかおかしい。不思議な力に導かれたナナが部屋の奥に貼られている不気味なお札を剥がすと、別の世界への扉が開かれてしまう。数カ月後、音楽プロデューサーのコウスケが目を覚ますと、彼は見覚えのないバーの店内に縛られていた。近くには見知らぬ男レンが横たわっており、コウスケは必死に彼に呼びかけるが…
キャストには『啄む嘴』の詩歩さん、『テン・ストーリーズ』の野村啓介さん、『ある職場』の平井早紀さんのほか、『悪魔の毒々モンスター』等で知られるロイド・カウフマン監督も出演した。

 

上映後、宇賀那健一監督と詩歩さんと平井早紀さんが登壇。撮影現場の楽しさが伝わってくる舞台挨拶が繰り広げられた。

 

コロナ禍を迎えた頃、もし罹患者が出てしまったら撮影が止まる、といったリスクがある中で、実現可能であった短編作品として制作された『往訪』がある。そもそも宇賀那監督の母がスプラッター作品が大好きで「幼稚園の頃は、”好きなVHSを借りていいよ”と言われたら、『アンパンマン』を借りて観ていた。すると、その後は無条件で顔が吹っ飛ぶスプラッターシーンを見せられる毎日を送っていた幼少期でした」と明かす。次第にスプラッター映画が大好きになったが、作品として撮らせてもらう機会はなかった。そこで、この機会に、勢いだけで数日間だけで超低予算のスプラッター映画を撮影し『往訪』が完成。映画祭に出品していく中で、大きな規模のファンタスティック系の映画祭で上映してもらった。そこで、プロデューサー陣から長編作品のリクエストがあり、本作の製作に至っている。

 

 

短編作品『往訪』の台本を受け取った詩歩さんと平井さんは口を揃えて「意味分かんなかったですね」と漏らす。「ギャギャギャギャ」という台詞だけのシーンもあり、詩歩さんは即興演技でこなし、役者同士の意思疎通にも対応していった。意味不明にも思えるシーンではあるが、外国の映画祭では、移民問題のメタファーして捉え議論が湧いたこともあるようで、宇賀那監督としては「見た目や言語を超えて、意見していく映画」といった意図も含めている。映画祭の現場を訪れた詩歩さんは「上映後、お客さんが”ギャ”だけで会話してくれるのが嬉しかった。言葉が分からなくても通じ合える。”ギャ”は世界を超える」と実感。本作の台本を読んだ平井さんは「私、”ギャ”しか台詞がないな」と察する。『往訪』の続きが描かれるので「私は存在するのかな」と心配したが「普通にいた。しかも、衣装はカーディガン1枚増えていた。さらにIQが下がって…」と驚いてしまう。撮影現場では「”遊び”がいくらでもOKでした。ズレていなければ、遊べば遊ぶ程に宇賀那監督が喜んでOKしてくれる」と楽しんだ。これを受け、宇賀那監督は「僕は現場ではモニターを見てニコニコしているだけ」と振り返る。詩歩さんは、本作について「ずっとクライマックス!みたいな映画」と評しながらも「畑を耕しているシーンでは、自分が耕運機のようになって演じている。親が撮影現場を見に来ており”こんなので良いのかな”と不思議な気持ちになっていました」と告白した。

 

 

各シーンの劇伴楽曲は、ALIの今村怜央さんが手掛けている。他にも、音響効果には数々のハリウッド大作を手掛けている小川高松さん、音響スーパーアドバイザーとしてスタジオジブリ作品全般を手掛けている大川正義さんが携わっていながらも、超低予算映画として製作されていることには驚くばかり。だが、メイク部はいなくとも特殊メイク部があったり、美術部はいなくとも特殊造形部があったりと一部には拘っており、宇賀那監督は「謎のバランスで出来た映画でしたね」と思い返す。著名な方々が気に入って携わって頂いたことに感謝しており「素晴らしい上映環境がある映画館で上映して頂き、凄い嬉しい。本来備わっている映画のポテンシャルを最大限に発揮してくれている」と感慨深げだ。

 

様々な作品へのオマージュを取り入れている本作。劇場公開日は、『死霊のはらわた』の日本での公開日から39年後であり「参考作品として『死霊のはらわた』は見ておいて、と伝えた。悪魔のビジュアルは『エクソシスト』を意識している。後半部分は『グレムリン2』を見ておいて、と伝えた」と宇賀那監督は話す。なお、本作の説明を求められた際には「『サザエさん』みたいな映画です」と応えており、ファミリー作品であることを強調。役者それぞれが個性的な悪魔を演じることを意識しており、思い思いに演じたようだ。最終パートについて、手足共にチェーンソーであるキャラクターを考えたが「思い描いてみたものの、実現方法が分からなくて…」と皆が困惑。各々のシーンについて、アナログな手法で可能な限り撮影していった。作中では、平井さんが歌うシーンがあり「映画で歌うのが夢だったんです。でも、指定された曲がオペラだった。ホイッスルみたいな声を出さないといけなかったけど…」と困惑しながらも、練習に励み、充足感に満ちている。

 

 

劇場公開を迎え、満席となる上映回も出ており、宇賀那監督は「この波をこれだけで終わらせたくない」という思いは強い。だが、今作のタイトルについて「いろんなオマージュを詰め込んでいるんですが、どうしても間違えられてしまうんですよね」とSNSでのエゴサーチには苦しんでおり「#あくわた」と提案。様々な感想を楽しみにしている。なお、パンフレットは詩歩さんがデザインしており、様々なオマージュが散りばめられているようだ。

 

 

映画『悪魔がはらわたでいけにえで私』は、2月23日(金)より全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や心斎橋のシネマート心斎橋、京都・烏丸御池のアップリンク京都や桂川のイオンシネマ京都桂川で公開中。また、3月16日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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