夫殺害の容疑をかけられた女と視覚障害を持つ息子が道徳的ジレンマに直面する『落下の解剖学』がいよいよ劇場公開！
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雪山の山荘で転落死した男性と殺人容疑をかけられた妻の疑惑に、視覚障碍を持つ息子が真相に迫る『落下の解剖学』が２月２３日（金）より全国の劇場で公開される。
映画『落下の解剖学』は、視覚障碍をもつ少年以外は誰も居合わせていなかった雪山の山荘で起きた転落事故を引き金に、死亡した夫と夫殺しの疑惑をかけられた妻の間の秘密や嘘が暴かれていき、登場人物の数だけ真実が表れていく様を描いたヒューマンサスペンス。人里離れた雪山の山荘で、視覚障碍をもつ１１歳の少年が血を流して倒れていた父親を発見し、悲鳴を聞いた母親が救助を要請するが、父親は既に息絶えていた。当初は転落死と思われたが、その死には不審な点も多く、前日に夫婦喧嘩をしていたこと等から、妻であるベストセラー作家のサンドラに夫殺しの疑いがかけられていく。息子に対して必死に自らの無罪を主張するサンドラだったが、事件の真相が明らかになっていく中で、仲睦まじいと思われていた家族像とは裏腹の、夫婦の間に隠された秘密や嘘が露わになっていく。
本作が長編４作目となるフランスのジュスティーヌ・トリエ監督が手がけ、２０２３年の第７６回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で女性監督による史上３作目のカンヌ国際映画祭最高賞パルムドール受賞作。主人公サンドラ役は『さようなら、トニー・エルドマン』等で知られるドイツ出身のサンドラ・ヒュラー。第９６回アカデミー賞でも作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞の５部門にノミネートされた。
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映画『落下の解剖学』は、２月２３日（金）より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のＴＯＨＯシネマズ梅田や難波のＴＯＨＯシネマズなんば、京都・二条のＴＯＨＯシネマズ二条や烏丸の京都シネマ、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸等で公開。
どこか癖が強そうでコミュニケーションをとるには難しそうな父親が、ある日突然に転落死。視覚障碍を持つ息子が発見となれば、真相はなかなか掴めずじまい。ならば、自然と容疑を駆けられてしまうのは、母親。事故から事件へと切り換わり、容疑者となった母親は如何にして窮地を脱しようとするか…といった展開ならば従来のサスペンス映画である。だが、本作の場合、山荘で過ごしていた家族という限定された状況において、視覚障碍を持つ息子をさせまいするべく、通常の事件とは異なる対応がなされ、物議を醸していく。そして、舞台は法廷へと突入。母親が殺人犯であると確信する検事は、あらぬ疑惑を以て執拗に追い込んでいく。真摯に無罪であること主張する母親。そして、裁判長から十分な配慮を受けながらも、辛い事実に直面する可能性があることも理解した上で目の前で行われている裁判を見つめる息子。緊迫感あるシーンがいくつも続き、観客としては息が詰まりそうだ。夫婦喧嘩までもが事件に影響してしまい、陪審員裁判はどのような判決に至るのか。真実をどう捉えるのか、観客の理解に委ねられることも多く、鑑賞後の議論を大いに楽しみたい。『落下の解剖学』というタイトルも秀逸だ。解剖学とは、生物の正常な形態や構造を研究する学問。本作では、事件について、フィジカルではなく、メンタルからじっくりと解剖していくような展開になっており、見事なタイトル付けではなかろうか。
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- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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