Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

  • facebook

森には五感で感じないと伝わらない感動がある…『唄う六人の女』山田孝之さんと石橋義正監督に聞く!

2023年10月25日

事故をきっかけに深い森の中で六人の女性たちに囚われた、正反対の二人の男性を描く『唄う六人の女』が10月27日(金)より全国の劇場で公開される。今回、山田孝之さんと石橋義正監督にインタビューを行った。

 

映画『唄う六人の女』は、竹野内豊さんと山田孝之さんがダブル主演を務め、美しく奇妙な六人の女に監禁された二人の男の運命を描いたサスペンススリラー。父の訃報を受けて帰郷した萱島と、萱島の父が所有していた土地を譲り受ける予定の宇和島は、車で山道を走る途中で事故に遭い気を失ってしまう。目を覚ますと、二人は謎めいた六人の女たちによって森の奥深くの屋敷に監禁されていた。竹野内さんが萱島、山田さんが宇和島を演じ、二人を監禁する六人の女には、クールな雰囲気の“刺す女”役に水川あさみさん、妖艶な“濡れる女”役にアオイヤマダさん、神秘的な雰囲気の“撒き散らす女”役に服部樹咲さん、好戦的な“牙を剥く女”役に萩原みのりさん、純粋な雰囲気を持つ“見つめる女”役に桃果さん、優しい雰囲気の“包み込む女”役に武田玲奈さんを起用。『ミロクローゼ』「オー!マイキー」シリーズの石橋義正監督がメガホンをとった。

 

10年ぶりの新作となる石橋監督。前作以降は、舞台や展覧会活動をしていたが、5年前から本作のシナリオに着手した。ある程度出来上がった段階で、山田孝之さんに見てもらい、1年ほどかけてシナリオを修正し、クランクインした。山田さんは石橋監督と久しぶりに会い「新作を山田さんと竹野内さんにお願いしたい」というオファーを受けた数日後に竹野内さんとバッタリ。「元々ご近所に住んでいたのにそれまで全くお会いすることなかった。これはご縁があるということなのかな」と思い、出演を正式に決め「人間の欲がとても強く出ている役で、欲を追いすぎるとこうなるという象徴にならなければいけなかった。人間の嫌な部分を際立たせ、そこを痛感してもらう必要がありました」と腹を括った。

 

プロデューサーについては山田さんも担当されており「撮影をしているときは芝居をするだけですが、映画が出来上がってから、どんなイベントをやるか、どういう打ち出し方をしているか、いつも通り監督と話し合いながらやっています。今回はロケ地である京都府南丹市の自然の中で上映しましたし、屋内で上映するときも自然を感じてほしいと思っていたところ、香りを使ってはどうかという提案をいただき、特別イベントとして現在進めているところです」と明かす。山田さんと10年ぶりにタッグを組み、石橋監督は「『ミロクローゼ』は全然違うキャラクターを一人三役で演じ分けてくださいました。演技だけでなく、多彩なパフォーマンスを要求される中で、殺陣のシーンも僕が思っていたイメージを超える動きをやってくれました。山田さんでなければ絶対に作れない作品でした。今回も、ファンタジーの中でリアリティーを持たせるためには、山田さんの鬼気迫る演技が活きているし、企画段階から本作が実現するように尽力頂いた」と感謝しており「普通にタッグを組むという部分だけでなく、オリジナルを作ることが難しい中で、それを実現できるように力を貸してくださっている。山田さんしかできなかったことだ」と感慨深げだ。

 

作品で描かれてことに関して、石橋監督は最初に山田さんへ説明しており「あとは自分で考えて役を作ってくださいました」とスムーズにでき「竹野内さんとは、時間をかけてこの映画のテーマをお話しさせて頂く時間を作りました。共感してい頂いたからこそ、一つ一つ萱島の心情や精神的な状態を説明しました。シナリオを読むだけでは分からないような、私の中で設定している裏テーマや様々なレイヤーがあるので、どのレイヤーを伝えると演者にとって良いのか、考えた上で竹野内さんに伝えました。撮影中も竹野内さんとやりとりを多く重ねましたね」と振り返る。

 

『唄う六人の女』というタイトルに関して、実は、作中に登場する女性は声を発していない。石橋監督は「声を全く発しない方が、逆に強いメッセージになり、伝わるのではないか」と着想。また「もう一つは本作を音楽劇にしたかったんです」と明かし「劇伴は40曲ほど作りました。夜の儀式のシーンでは、自分で劇伴を作り、編集をしたりと同時進行し、その後プロの方にアレンジしてもらう形をとりました。自分の記憶に残っている映画は音楽が非常に重要なので、今回の作品もそうしたい」と検討した。ファンタジーや寓話の要素があり「最初のプランを考えるときに、何か懐かしさがある昔話みたいな映画にしたいというアイデアはありました。『食わず女房』という昔話があるんですよ。よく働く女と結婚したのだけど、全然食べない。おかしいなと思って外出したふりをして天井裏から覗くと、女の頭が割れて、そこが口になってご飯を山盛り食べていた。そんな話なんだけど、見た目とのギャップという意味で、ひょっとしたらこの作品に影響しているかもしれませんね」と意外な着想があった。

 

原生林での撮影を行っており、自然に対する考え方も反映されている本作。石橋監督は「当初、東京でもそれっぽく撮れるのではと思いましたが、実際に芦生の森に入ってみると、そんな撮り方では絶対に伝わらない」と直感。芦生の森を訪れ「森に入ったときの感動や、気持ちを伝えて撮影をお願いしたときの感動が、すごく作品に影響している。そのことをスタッフと共有しなければいけない」と認識。現在、本作の漫画連載が行われており「著者にも丸一日芦生の森へ一緒に入ってもらい、いろんなところを回りました。やはり五感で感じないと分からないですから。森は空気がきれいで気持ちいい一方で、何が起こるか分からない緊張感がある。ヒルに噛まれるかもしれないし、そういうことも含めて生き物とともにいるのが森なんです」と述べた。

 

映画『唄う六人の女』は、10月27日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や烏丸の京都シネマ、兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OSや神戸のOSシネマズ神戸ハーバーランド等で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

Popular Posts