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人が自然について考える壮大な世界観になっている…『唄う六人の女』アオイヤマダさんと桃果さんに聞く!

2023年10月25日

事故をきっかけに深い森の中で六人の女性たちに囚われた、正反対の二人の男性を描く『唄う六人の女』が10月27日(金)より全国の劇場で公開される。今回、アオイヤマダさんと桃果さんにインタビューを行った。

 

映画『唄う六人の女』は、竹野内豊さんと山田孝之さんがダブル主演を務め、美しく奇妙な六人の女に監禁された二人の男の運命を描いたサスペンススリラー。父の訃報を受けて帰郷した萱島と、萱島の父が所有していた土地を譲り受ける予定の宇和島は、車で山道を走る途中で事故に遭い気を失ってしまう。目を覚ますと、二人は謎めいた六人の女たちによって森の奥深くの屋敷に監禁されていた。竹野内さんが萱島、山田さんが宇和島を演じ、二人を監禁する六人の女には、クールな雰囲気の“刺す女”役に水川あさみさん、妖艶な“濡れる女”役にアオイヤマダさん、神秘的な雰囲気の“撒き散らす女”役に服部樹咲さん、好戦的な“牙を剥く女”役に萩原みのりさん、純粋な雰囲気を持つ“見つめる女”役に桃果さん、優しい雰囲気の“包み込む女”役に武田玲奈さんを起用。『ミロクローゼ』「オー!マイキー」シリーズの石橋義正監督がメガホンをとった。

 

謎めいた六人の女たちは、皆何も喋らない設定だ。桃果さんは「台詞がないとは、どういうことなんだろう」と困惑したが、実際に台本を読んで「こういう物語なんだ」と納得。「私達は本当に台詞がなく、2人しか話さない状態で物語が成立するのかな」と期待と不安があり「台詞がないからこそ、自分も表情などで伝えなきゃ」と緊張していた。アオイさんは、以前から石橋義正監督の作品が大好きで、TV番組『バミリオン・プレジャー・ナイト』内のコーナー「唄う六人の女」が持つ世界観を気に入っており「今の地上波ではアウトな毒っ気や反骨精神があり、人間が本来持っている欲を常に映している作品が多かった。音楽とも相まって世界観がとても好きだった。これが映画化されるなんて一体どういうことですか」と本作へのオファーに応じている。ダンサーであるため台詞がないことに抵抗は無かったが、水の中で泳ぐシーンがあることを知り「好きな監督の作品に出させて頂くだけではなく、自分にとっての壁を超えたいと思いました」と明かす。水中での演技に慣れている方にオファーするべきであることを察しながらも「私は、この役をどうしても演じさせて頂きたいんです。特訓させてください」と懇願。専門のコーチをつけてもらい、練習に励んでいく。水中での動きは自身で決めており「重力が無いから何でもできるけど、物理的に呼吸ができない。陸上で踊る時は呼吸を大事にしないと体が固まるけど、水中で呼吸を止めながらノビノビと動くことは難しい。死ぬかもしれない、と常に考えながら動くことで、生きたい意思に繋がる。生と死の間の中で踊ることは、貴重な経験だったな」と感慨深げだ。

 

自身が演じた役のキャラクター作りについて、桃果さんは「セリフがない役が初めてだったんです。感情をどのくらい持っているのかな」と迷いがあり、石橋監督と事前に相談。撮影現場では、山田さんのセリフに反応しそうになった。「とにかく見つめて、と言われていた。純粋無垢な少女として、相手に興味を持っているけど、細やかな感情は持たないようにしよう。瞬きも堪えよう」と臨んでいった。山田さんとの共演シーンは事前に打ち合わせをしていないが「山田さん自身から、乱暴するのは嫌だ、と聞いていた。私自身は平気なので、容赦なく、かかってきてほしかった」と自信があったようだ。山田さんが本番では容赦なく挑んでくれたことが嬉しかった。「私も本気だったので、演じやすかった。感情的には辛かったんですけど、自分の中では良い経験だったな。楽しかったな」と印象に残っている。アオイさんは、人間でありながら、人間とは離れた感覚とはどのようなものなんだろう。と現場で考えていた時、急にバッタが手に止まり「虫は、人間に対して距離感ないんだな」と発見。現場で竹野内さんと会って初めて撮影に臨み「上に乗っかる時は、バッタになればいいんだな」と生き物からインスピレーションが湧き「人間として考えると、絶対わからない。普通に生活していたらタブーだとされてきたものは一度取っ払い、どういう風にアクション起こしたらいいのか」と集中していった。ダンサーとしてのインスピレーションもあり「私が好きで踊っている時は、地位とか権威とか肩書きが全て外れる瞬間。空間だけが移動している。私は踊ることに魅力を感じているからこそ、演じられたのかな」と受けとめている。なお、役作りに関連して、石橋監督に女性に対する関心のルーツについて尋ねたことがあり「あ、僕は3歳です。3歳から女性に興味がありました」と応えられ「石橋監督は以前から女性を艶っぽく描く。女性を3歳から俯瞰して見ていたんだな」と監督の世界観を納得して理解できた。

 

難しい役を演じる上で、桃果さんは自然からの影響が大きく「メンタルにも自然は良い。自然があるから自分達も生きられている。自然の現場にいると癒されました」と振り返りながら「撮影は大変なことも多いですが、期間中は楽しかったんです。ストレスもなかった」と実感。「自然があるからこそ人間が生きられている。人間がいるから自然もある」と認識し「虫が苦手だったんですが、私は生き物だから、という気持ちで虫と向き合うようにしていたら、最終的には苦手意識が減りました」と自身を変えられた。長野県に生まれ、幼少期は自然の中で育ったアオイさんは「自宅の近くには川が流れている環境だったけど、15歳で上京してからは他人事になっていた。自分自身のことだけで一生懸命になってしまっていた」と思い返し「撮影現場では、自然と元気になって、やる気も出ていた」と自身でも驚いている。「前向きな気持ちにさせられたのは何故だろう」と考え「やっぱり自然の力だ。周囲の環境に目を向けられるようになると、周りの人にも目を向けられるし、優しい気持ちになる」と自然を大事にするようになった。

 

完成した作品を鑑賞した桃果さんは「皆が夫々に違う綺麗な妖艶さや女性らしさがあり、神秘的に美を描いている」と衝撃を受けてしまう。アオイさんは「鑑賞後、素直に自然と向き合える時間になっている。好きだった石橋義正ワールドとは違いますが、人が自然について考える壮大な世界観になっている」と今までとは別物として気に入っており「自然対人間という二者択一ではなく、思いやりがあれば、自然とも人間ともコミュニケーションを続けられる。尖った作品を作る石橋さんだけど、思いやりがある人の作品の世界なのかもしれない」と受けとめている。

 

映画『唄う六人の女』は、10月27日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や烏丸の京都シネマ、兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OSや神戸のOSシネマズ神戸ハーバーランド等で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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