春画の魅力を説く研究者と弟子の“春画愛”を綴る『春画先生』がいよいよ劇場公開!
©2023「春画先生」製作委員会
浮世離れした春画の研究者と、彼を慕う弟子を描く『春画先生』が10月13日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『春画先生』は、江戸文化の裏の華である春画に魅せられた型破りな師弟コンビが織りなす春画愛を描いたコメディドラマ。肉筆や木版画で人間の性的な交わりを描いた「春画」の研究者である「春画先生」こと芳賀一郎は、妻に先立たれて以来、世捨て人のように研究に没頭する日々を過ごしていた。そんな芳賀から春画鑑賞を学ぶ春野弓子は、春画の奥深い魅力にのめり込んでいくと同時に、芳賀に恋心を抱くように。やがて、芳賀が執筆している「春画大全」の完成を急ぐ編集者の辻村や、芳賀の亡き妻の姉である一葉の登場により、大きな波乱が巻き起こる。
本作では、『きのう何食べた?』の内野聖陽さんが芳賀、アニメ映画『ペンギン・ハイウェイ』やNHK大河ドラマ「どうする家康」の北香那さんが弓子を演じ、柄本佑さん、白川和子さん、安達祐実さんが共演。『黄泉がえり』『月光の囁き』の塩田明彦さんが原作・脚本・監督を務めた。映倫審査ではR15+に指定され、商業映画としては日本映画史上初めて無修正の浮世絵春画がスクリーン上映される作品となった。
©2023「春画先生」製作委員会
映画『春画先生』は、10月6日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際等で公開。
2016年に京都の細見美術館で『春画展』が開催された時には気になっていた「春画」。東京では2015年に開催されており、その開催までの道のりは『春画と日本人』というドキュメンタリーが製作されている。改めて、「春画」という芸術の見方が知りたかった。本作では、まず春画の味わい方を知ることが出来る。物理的にどうなっているのか不可解な箇所に目が向かいがちだが、その周りにある画について改めて注目してみると、細部に神が宿っている、と思わざるを得ない技巧が込められている、と気づかされた。本作は、そんな春画を追い求める人を描いた”いとおかし”な物語である。春画先生と呼ばれる研究家の芳賀一郎が追い求める春画に対する執念は凄まじい。そんな先生と春画に魅了された春野弓子の感情の揺れ動きには不思議な魅力が詰まっていた。本作を観ていると、春画の魅力が伝わってくると共に、2人の春画を求める姿に魅了されていく。だが、気づけば、何を見せられているか分からない世界に連れていかれていた。なんとも滑稽でおもしろい作品を観ていたようだ。春画への偏愛、或る種の狂気の世界を存分に楽しめる一作となっている。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!