オーストリア皇妃エリザベートの40歳の1年間にフォーカスした『エリザベート 1878』がいよいよ劇場公開!
©2022 FILM AG – SAMSA FILM – KOMPLIZEN FILM – KAZAK PRODUCTIONS – ORF FILM/FERNSEH-ABKOMMEN – ZDF/ARTE – ARTE FRANCE CINEMA
美しきオーストリア皇妃エリザベートが、自由を求め旅する『エリザベート 1878』が8月25日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『エリザベート 1878』は、ヨーロッパ宮廷一の美貌と称されたエリザベートの40歳の1年間にスポットを当て、若さや美しさという基準のみで存在価値を測られてきた彼女の知られざる素顔を大胆な解釈で描き出す。1877年のクリスマスイブに40歳の誕生日を迎えたエリザベートは、世間のイメージを維持するために奮闘を続けながらも、厳格で形式的な公務に窮屈さを感じていた。人生に対する情熱や知識への渇望、若き日のような刺激を求める彼女は、イングランドやバイエルンを旅して旧友や元恋人を訪ねる中で、誇張されたイメージを打ち破ってプライドを取り戻すべく、ある計画を思いつく。
本作では、『ファントム・スレッド』のビッキー・クリープスが19世紀オーストリアの皇妃エリザベートを演じ、2022年の第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で最優秀演技賞に輝いた。オーストリアの気鋭マリー・クロイツァーが監督・脚本を手がけている。
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映画『エリザベート 1878』は、8月25日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・烏丸の京都シネマ、兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OSや神戸・三宮のシネ・リーブル神戸等で公開。
オーストリア皇妃として、あくまで国の象徴としてのみの存在として扱われたエリザベート。周辺国の状況を鑑みようとしても口を出すことすら許されない。本作冒頭から頻出するコルセットを締めるシーンからは、拷問を受けているようにしか見えなくなってくるが、耐えようとさらに強く締めることを求める姿だけでもエリザベートの確固たる意志が伝わってくる。だが、今作は、シーン毎に丁寧で細やかな演出がされており、心の内に秘めた思いを体現しているかのようだ。40歳という人生の節目に当たる一年を本作では描いており、女性の立場に固執せず、一人の人間として自らの人生を生きようとする歩みが描かれていた。なお、1878年には絶対に存在していない楽曲がハープの演奏で挿入されるシーンもあり、マリー・クロイツァー監督独自の視点を以て、現代にも訴えかけるメッセージ性も感じられる。その後のエリザベートの行く末を知ってみると、如何にして自らのアイデンティティを重んじ強く生きられるようになったか、と気づかされる一作であった。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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