消せない過去の罪に苛まれ、未だ罰されぬ悪人への怒りを抱えるギャンブラーの姿を描いた『カード・カウンター』がいよいよ劇場公開!
©2021 Focus Features. A Comcast Company.
収容所で罪の意識に苛まれる元兵士が、過去に犯した罪に向き合おうとする姿をミステリアスな展開と共に描く『カード・カウンター』が6月16日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『カード・カウンター』は、孤独なギャンブラーの復讐と贖罪の行方を描いたスリラー。元上等兵ウィリアム・テルはアブグレイブ捕虜収容所における特殊作戦で罪を犯して投獄され、出所後はギャンブラーとして生計を立てている。罪の意識にさいなまれ続けてきた彼は、ついに自らの過去と向きあうことを決意するが…
本作は、『タクシードライバー』の脚本家ポール・シュレイダーが監督・脚本、マーティン・スコセッシが製作総指揮を手がけた。オスカー・アイザックが主演を務め、徐々に追い詰められ復讐へと駆り立てられていくミステリアスな男ウィリアムを演じる。ギャンブルブローカー役で『アンクル・ドリュー』のティファニー・ハディッシュ、ウィリアムと擬似父子のような関係を築く青年役で『レディ・プレイヤー1』のタイ・シェリダン、物語の鍵を握るウィリアムの元上司役でウィレム・デフォーが出演。2021年の第78回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品された。
©2021 Focus Features. A Comcast Company.
映画『カード・カウンター』は、6月16日(金)より全国の劇場で公開。関西では、6月16日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や心斎橋のシネマート心斎橋や京都・烏丸御池のアップリンク京都等、6月23日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
恥ずかしながらポール・シュレイダーが手がけた作品は『魂のゆくえ』しか見たことがないのだが、2作とも不条理や暴力、矛盾を押し付けられ、行き場を失った者たちの葛藤と息苦しさがある。罪を背負わされ、終わることのない罰を課し続ける男の悲哀と切実さを通じて、観客は残酷な世界の有様を思い知ることになるのだ。
10年間軍刑務所に服役し、出所後は各地のカジノを転々とするギャンブラーとしてひっそり暮らしている男。どこへ行くにも自分の存在を限りなく消し、他者との関わりも必要最低限。「小さく賭けて小さく勝つ」をモットーにし、カード・カウンティングを駆使してコツコツと小さな勝利を積み上げていく。しかし、彼には逃れられない過去と罪の意識が隠されている。ストイックに律し続けるのは、自分には人並みの生活や喜びを得る資格がないとどこかで思い込んでいるからかもしれない。
だが、一人の青年とギャンブラーの女と出会うことで、彼の人生は大きく変わる。少しずつ人生に彩りが生まれるのだ。しかし、過去の罪も同時に巨大なものとして立ちふさがることにもなる。自分なりのやり方で人生の舵を変えようとする中で、男はどこへ向かうのか。渋くてドライな大人の着地をオスカー・アイザックの色気とともにぜひ堪能してほしい。
fromマリオン
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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