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死体役ばかりの売れない俳優の生き方を通して、理想と現実に折り合いをつけることの難しさや“生きることと死ぬこと”を描く『死体の人』がいよいよ劇場公開!

2023年3月9日

©2022オフィスクレッシェンド

 

死体ばかりを演じ、死に方を追求する役者が、ある女性との出会いを機に変わっていく様を描く『死体の人』が3月17日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『死体の人』は、死体役ばかりの売れない役者に訪れた運命の出会いを通し、生きることと死ぬことをユーモアとペーソスを交えて描いた人間ドラマ。役者を志していたのに、気づけば死体役ばかり演じるようになっていた吉田広志。後輩俳優は要領よくテレビで活躍しているが彼にはそれができず、リアルな死体の演じ方を探求する日々を送っていた。ある日、彼はデリヘル嬢の加奈と運命的な出会いをする。明るく振る舞う加奈だったが、彼女もまた自分の人生に問題を抱えていた。そんな中、吉田のもとに母が入院するという報せが入る。

 

本作は、「まだ存在しない映画の予告編」を審査する映像コンテスト「未完成映画予告編大賞 MI-CAN3.5 復活祭」の最優秀作品を映画化。草苅勲さんが監督、『SR サイタマノラッパー』シリーズの奥野瑛太さんが主演を務め、『寝ても覚めても』の唐田えりかさんがヒロインの加奈を演じた。

 

©2022オフィスクレッシェンド

 

映画『死体の人』は、3月17日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や心斎橋のシネマート心斎橋、京都・烏丸御池のアップリンク京都で公開。

奥野瑛太さんといえば、威勢のいい役柄をよく演じているイメージがある。だが、本作では、生気をなくしたかのように、死体ばかりを演じ、死に方を追求する役者を演じていく。奥野瑛太さんが演じている、と言われなければ気づけない程の様変わりした役だ。実在する”死体の人”を演じ続けている人が自らを再現したようにも思える。”死体の人”について冷静に考えてみると、端役の中の端役といえようか。”死体”だから動かなくていい楽な演技と思っていたら、”死ぬ”前から丁寧に演じる必要があり、演技に拘らないと、”死ぬ”ことが具体的に伝わってこない。だからといって、拘り過ぎると、”死ぬ”ことが強調され過ぎて、違和感を感じてしまう。この微妙なバランスがあってこそ、”死体の人”が成立する。死ぬことをついて探求していくことで、生きることを探求していくことになる、ということが、奥野瑛太さん演じる吉田から伝わってきた。生きていく上で必要な欲求を満たすためには、何事も十分に確かめているようにも感じる。だからこそ、咄嗟に次の行動をとらなければならない時にも、冷静な判断を吉田は出来るのかな、と考えられた。最終的には、”死体の人”にも幸がある、と思えるユーモラスで絶妙なおかしみのある人間ドラマである。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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