突然恋人にフラれた図書館員が、元カレの今カノに“ある秘密”の共犯関係を持ち掛けることで展開していく『恋のいばら』がいよいよ劇場公開!
(C)2023「恋のいばら」製作委員会
元恋人がSNSに載せている元カレの写真から今の彼女に興味を持ち、とある事情から共犯関係を結ぶ様を描く『恋のいばら』が1月6日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『恋のいばら』は、1人の男性とその元恋人と現在の恋人のいびつな三角関係を通し、誰もが抱く嫉妬や恋心を繊細かつエキセントリックに描いた恋愛ドラマ。図書館に勤める富田桃は、自分を振った元恋人・湯川健太朗のSNSを見て、彼に真島莉子という新しい恋人がいることを知る。自分とは正反対の洗練された莉子に興味を抱いた桃は本人を特定し、ある理由から彼女に直接会いに行く。桃は莉子に、健太朗が撮った自分との秘密の写真データを取り返したいと話し、桃と莉子は秘密の共犯関係に陥っていく。
本作は、『アルプススタンドのはしの方』の城定秀夫監督がてがけ、松本穂香さんが桃、玉城ティナさんが莉子を演じ、『ブラックナイトパレード』『鋼の錬金術師 完結編』の渡邊圭祐さんが健太朗役を務めた。『愛がなんだ』等の脚本家である澤井香織さんが城定監督と共同で脚本を担当している。
(C)2023「恋のいばら」製作委員会
映画『恋のいばら』は、1月6日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や七条のT・ジョイ京都、兵庫・西宮のTOHOシネマズ西宮OSや神戸・三宮のシネ・リーブル神戸等で公開。
2022年を振り返ってみると、城定秀夫監督の多才さが光る年だった。一般劇場公開に絞ってみても、監督として『愛なのに』や『女子高生に殺されたい』、『ビリーバーズ』、『夜、鳥たちが啼く』を手掛け、脚本として『猫は逃げた』や『よだかの片想い』を担当している。職業監督的にジャンルを問わず、早撮りで見事な映画を作り上げてしまう彼の手腕が、いよいよ邦画界になくてはならない存在だと広く認知されたといっていいのではないだろうか。そして、城定秀夫監督の快進撃は2023年も続く。先陣を切るのが『恋のいばら』である。
普通、元カノと今カノが交わることはそうそうない。お互いに触れたくもないし、忘れたい存在だ。しかし、どうしても気になってしまう。自分が傷ついたり、相手に幻滅するだけなのは目に見えている。それでも好きな人のすべてを知りたいと思ってしまう。しかも、リベンジポルノという考えたくもない疑念があればなおさらだ。一度気になってしまったら、もう止まらない。今作で描かれる元カノと今カノの邂逅は恋愛関係で生じる嫉妬や欲望、ジレンマを刺激する。好きな人の過去を知りたい、好きだからといってすべて知りたくないというせめぎ合いは、きっと多くの人が身に覚えを感じるのではないだろうか。
しかし、今作は思いもよらない方向へと進んでいく。ドロドロとした恋愛関係を巡る話を起点にして、連帯を描き出すのだ。思えば倒錯した関係や欲望を描いていると思ったら、いつしか強固な連帯こそが重要になるのは『女子高生に殺されたい』とも近しいものがある。奇妙な三角関係は一体どこへ向かうのか。いばらのようにチクチクする恋愛模様をぜひ劇場で堪能してほしい。
fromマリオン
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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