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『サマータイムマシン・ブルース』と『四畳半神話大系』が合体したおもしろい作品!劇場版『四畳半タイムマシンブルース』特別上映会in京都開催!

2022年9月18日

©2022 森⾒登美彦・上⽥誠・KADOKAWA/「」製作委員会

 

夏のある日、動かなくなったエアコンに困った学生たちが、タイムマシンを使ったことに端を発する騒動を描く『四畳半タイムマシンブルース』が9月30日(金)より全国の劇場で3週間限定全国ロードショー公開される。9月18日(日)には、京都のT・ジョイ京都で特別上映会を開催。浅沼晋太郎さん、森見登美彦さん、上田誠さん、夏目真悟さん、中村佑介さんを迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『四畳半タイムマシンブルース』は、森見登美彦さんのベストセラー小説「四畳半神話大系」と劇団ヨーロッパ企画の人気舞台「サマータイムマシン・ブルース」がコラボレーションした小説「」をアニメ化。大学生の「私」が暮らす、京都・左京区の古びた下宿「下鴨幽水荘」。ある夏の日、下鴨幽水荘で唯一のエアコンが使えなくなってしまう。悪友の小津が昨晩、エアコンを水没させてしまったのだ。「私」が映画サークル「みそぎ」の明石さんと対策を協議していると、田村という名の見知らぬ男子学生が現れる。田村は25年後の未来からタイムマシンに乗ってやってきたという。その話を聞いた「私」は、タイムマシンで昨日の夜に戻り、壊れる前のリモコンを持ってこようと考える。しかし、小津たちが勝手気ままに過去を改変してしまい…
「私」役の浅沼晋太郎さん、明石さん役の坂本真綾さん、小津役の吉野裕行さんら、2010年に放送されたテレビアニメ版「四畳半神話大系」のキャストが再結集。森見さん原作の『夜は短し歩けよ乙女』も手がけたサイエンスSARUがアニメーション制作を担当した。[配給:KADOKAWA/アスミック・エース]

 

上映後、「私」役の浅沼晋太郎さん、原作の森見登美彦さん、原案・脚本の上田誠さん、監督の夏目真悟さん、キャラクター原案の中村佑介さんが登壇。関西では初披露の機会となり、貴重で豪華な舞台挨拶となった。

 

本作の原作小説が生まれた経緯について、森見さんは「上田さんとは2008年頃からお付き合いがあり、これまで度々僕の原作小説を上田さんに脚本化して頂いている関係性があります」と振り返りながら「これまで十二分にお世話になっているので、偶には、上田さんの舞台を僕が小説にすることを挑んでみたい、と思って上田さんにお願いしました」と明かす。そして、小説化にあたり「『四畳半神話大系』のキャラクターを使ってやってみよう、が始まり。原作は上田さんなので」と謙遜。依頼を受けた上田さんは「喜び過ぎても、森見さんのプレッシャーになるんじゃないか」と思い巡らし「そぉっとしたリアクションをした気がします」と思い返す。正式なお仕事として素進んでいる、と聞いて「本当にコレ走っているんだぁ」と驚愕。しかし、森見さんは「僕が動かないから、編集者の方が上田さんにお願いして、具体的に進めましょう、と尻を叩かれた」と告白。上田さんは「いつもとは逆の立場。僕はいつも森見さんの原作を脚本化するんですけど、今回は僕が待たせてもらう立場でしたね」と謙遜した。そして、アニメ化にあたり脚本を上田さんが書くことになるが「元々の『サマータイムマシン・ブルース』の戯曲を僕が書いていて、『四畳半神話大系』もある時期に作品に没頭して脚本を書いた。両方とも自分がかつて通った作品が姿を変えて小説になっている。その脚本化は凄いスムーズにできました」と意外な展開に。通常、原作を予習して作っており、今作では「その向こうには自分の原案があり、『四畳半神話大系』のキャラクター達と再び出会った。予習ゼロでパソコンに向かい作業したような、ぐらいスムーズに出来た脚本でした。あまり緊張せずにやりました」と話す程に苦労話もなかった。

©2022 森⾒登美彦・上⽥誠・KADOKAWA/「」製作委員会

 

アニメ化にあたって、夏目さんに監督のオファーが届き「率直に嬉しかった」と正直に話す。TVシリーズでも演出として参加しており「『四畳半』は、やってて凄く楽しい作品だったので、終わらないでほしい、と思ってずっとやっていて終わったので、寂しいなぁ、と思っていた。今回、監督としてオファー頂けたので、またあの楽しい感じを再現できるんだぁ」とワクワクしていた。監督の立場としては「自分もすんなり入れた。ストーリーの骨格がしっかりしていた。『四畳半』のハッキリしたキャラクターがいたので、苦労せずにストレートに出来た作品」と受けとめ、楽しんだ。

©2022 森⾒登美彦・上⽥誠・KADOKAWA/「」製作委員会

 

『四畳半神話大系』から12年の歳月の中で、中村さんは浅沼さんと時々話しており「浅沼さんともう一度作品で出会える。自分の書いたキャラクターで浅沼さんが声を合わせてくれるのは、無茶苦茶嬉しかったですね」と感慨深げ。浅沼さんは「12年ぶりに関わるのは嬉しい、と同時に恐怖みたいな。アスリートならば、あの時の記録を超えなければいけない」とプレッシャーに押し潰れたそうな時もあった。収録に関して「最初にやった時、監督が示した尺より早く終わっちゃった。早過ぎです、と言われた。12年も年を食った浅沼はしょうがないんだな、も嫌ですし」と困惑しながらも「今回のナレーションは状況説明やSF解説が含まれているから、このぐらい丁寧でいいんだ」と納得できている。

©2022 森⾒登美彦・上⽥誠・KADOKAWA/「」製作委員会

 

「私」の成長について、森見さんは「大元の『四畳半神話大系』の世界を再現できないですから。大学院生の時に書いた『四畳半神話大系』の世界を今再現することは出来ない」と書く時から諦めており「『四畳半神話大系』の続編をやるのではなく、ヨーロッパ企画『サマータイムマシン・ブルース』の舞台をどうやったら小説に出来るだろうか」とチャレンジだと認識。「無理して『四畳半』に寄せるのは止めよう」と考え直し「キャラクターを動きやすくして、成長したように見える。大元の『四畳半』は主人公の頭の中で物事が進む。今回はキャラクター達が外で動いて話を進めていく」と説く。これを受け、夏目監督は「12年間の時間の感覚を以て、新しい雰囲気で出来たらな」と準備し「映像やキャラクターに関してはシリーズを踏襲しつつ、変化を見せられたらなぁ」と取り組んでいた。そこで、浅沼さんは「お芝居をする職業がありますが、声優だけはテクニックをつけてしまうとけなされることもある職業」と説き「テクニックをつけて上手くなると『上手くなっちゃった』と云われる唯一の職業」だと言及。12年ぶりに演じることはあまりないが「アニメの世界では、新作が出た時、10年も経つと声帯が変わる。マイクやスタジオ等の録音技術が変わる」と挙げ「物凄く耳の良い方だと、半音下がったことに気づく。『上手くなっちゃった』『変わっちゃった』と言われる」といった経験も多くしている。ということから「変わりたくない、という気持ちも凄く強かった。思い入れがあるキャラクターだったので、成長してほしくない」と願っていた。「私」は「私」のままでいてほしく「愚かで、どこまでも不毛で、黒髪の乙女には何も言えない。誰かのせいにしてずっと生きていてほしい」という歪んだ感情が生まれ「明石さんと対話している時、ディレクションを受けて、成長し過ぎじゃないですか」と指摘。そこで、夏目監督と音響監督と時間を作り、ディスカッションをして「実は成長しているんだよ。成長に対する恐怖が無くなり、録り直して丁寧に作って頂いて、納得がいく作品になりました」と自負がある。

©2022 森⾒登美彦・上⽥誠・KADOKAWA/「」製作委員会

 

キャラクターデザインに関して、中村さんは「単行本が先に出た時、ある程度パラレルの時間軸の中で様々な人生が同じキャラクターで存在する設定があった。大枠を変えなければ、明石さんはどんなワンピースを着ていても、セーラーのカラーがついていたら、明石さんに見えるだろうな」と考えていた。「誠実に今見せる映画として『四畳半』を作り直す感覚で進めると、以前の風貌ではない」と受けとめ「変えていった中で、明石さんが上手くいったなぁ。変えても違和感がない。時代に合わせて自然に変えていけたな」と自信がある。城ヶ崎先輩に関しては「意識高い系の2010年代と2020年代は違う。2020年代は筋トレするし、仮想通貨のマルチビジネスにハマっていると思う。そんなシーンはないけど、大学生の先輩で”スマホ一つで副収入”に騙されて誘いそうなエピソードが一本作れそうな感じにしたかった。実際はやっていないですよ」と独自のエピソードを語っていき「一枚の服装や程よい筋トレ具合や髪型で上手く描けたな」とお気に入り。

©2022 森⾒登美彦・上⽥誠・KADOKAWA/「」製作委員会

 

アフレコにあたり、夏目監督は、浅沼さんと「私」が「私」であるためのやり取りが印象に残っており「ものを作っている。昨今、直に会って打ち合わせする機会が少なく、顔合わせて話しているのが楽しくて、何回も録り直しましたよね。2周ぐらい録って、或る時にピタッとくる瞬間が生まれる」と思い返し「突き詰めて何回もトライして作品に落ち着いていく工程は、良いものが出来ているなぁ」と感じ、印象深い。思い入れのある台詞について、上田さんは「辻褄合わせがずっと続く話なんですけど」と前置き「辻褄合わせが終わり切った後の、アフターのブルース部分が好き。打ち上げの場面で、ビールと炒飯で中華屋に行く。川を渡っていくのは普段出来る事なのに感動的で、やりたくなること」と挙げていく。さらに「くるりの曲を聞いてジンジャーエールが飲みたくなる派なんですけど、中華屋に行きたくなる」と加えた。なお、初めてのアフレコを経験しており「僕の普段は脚本家。声の仕事をやったことがない」と明かし「隣が劇団員だった。それが最悪で。やっぱり上手くないね、と言われたりしながら、演技指導されながらやる。一生の思い出になりました。二度とやらないです」と率直に話す。夏目監督は「田村君が可愛いなぁ」とずっと思っており「田村君の登場シーンが愛おしくてたまらない」と嬉しそうだ。浅沼さんは「『四畳半神話大系』って毎話リセットされる」と告げ「肩書や出会い方は、今回はずっと皆同じ関係性のまま最後まで続いていく。皆で銭湯行っているシーンは良いなぁ、大学生感を感じたのは」と添えられた。また、明石さんに話す前に息を思いっきり吸って喋ろうとしており「気を遣って考えながら、何回もやり直しましたね。台詞よりも台詞じゃないところ、例えば喋り出しのところの思いは気を遣ったかもしれない」と振り返っていく。

 

最後に、中村さんは「完成版を観た時、僕の中でパズルが全て揃った感覚があった。もうアニメはいいや、と思っていたぐらいの作品」と満足していることを伝える。夏目監督は「作っていて手応えのある作品は少ないんですが、原作の持つ空気感を上手く表現できたんじゃないかな。夏の終わりにピッタリの映画。憧れの森見さんと上田さんと仕事出来て刺激的で、中村さんともデザインに関してディスカッション出来て、浅沼さんと演技に対してプラスになった大きな作品でした」と達成感を伝えていく。上田さんは「京都が良く見える作品だなぁ。『サマータイムマシン・ブルース』は大学生の頃に当時の大学生活を書いたような感じだった。そんなに美しいものじゃなかった。森見さんの腐れ学生シリーズの書きぶりで、京都はむっちゃ面白いんだな、と小説を読んで思います。アニメ化は色や風景の綺麗さがあり、自分の住んでいるところはこんな感じだっけ、と錯覚するぐらい京都が描かれているものだなぁ。アニメーションの力だなぁ。京都でご覧頂けたことは嬉しいことです。その目で京都を歩いてみて下さい」とメッセージ。森見さんは「僕も京都で大学生時代を過ごしており、『サマータイムマシン・ブルース』と『四畳半神話大系』も別々に書かれているけれども、同じような土壌から生まれてきた、と感じられた。20年ぐらいの時を経て、今くっついた。考えてみれば壮大。別々に同じような土壌で生きていた大学生が作っていたものが今一つのものに合体しておもしろいものだと思いました。10回ぐらい観ていますが全然飽きない」とリピーターをオススメ。浅沼さんは「このメンツで京都で皆さんの前に立っていることが信じられない。数年前に『夜は短し歩けよ乙女』でちょっとだけ寂しい思いをしたので、タイムマシンに乗って『大丈夫だよ!もうちょっと待てよ』って言ってやりたいです」と伝えると共に、ヨーロッパ企画の公演を紹介しながら『四畳半タイムマシン・ワンスモア』への期待を込めながら舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『四畳半タイムマシンブルース』は、9月30日(金)より全国の劇場で3週間限定全国ロードショー。関西では、大阪・梅田の梅田ブルク7や難波のなんばパークスシネマ、京都・七条のT・ジョイ京都、神戸・岩屋の109シネマズHAT神戸等で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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