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僕が一番窮屈なんですよ…一種のディストピアだ…『激怒』川瀬陽太さん、松浦祐也さん、松㟢翔平さん、高橋ヨシキ監督を迎え舞台挨拶開催!

2022年9月3日

怒りをコントロールする精神治療のために海外にいた刑事が、久しぶりに帰国し、馴染みの街を変えてしまった元凶を探る様を描く『激怒』が全国の劇場で公開中。9月3日(土)には、大阪・梅田のテアトル梅田に、川瀬陽太さん、松浦祐也さん、松㟢翔平さん、高橋ヨシキ監督を迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『激怒』は、アートディレクター、映画ライターの高橋ヨシキさんが企画・脚本・監督を務めたバイオレンス映画。激怒すると見境なく暴力を振るってしまう悪癖を持つ刑事の深間は、度重なる不祥事により、海外の医療機関で怒りを抑える治療を受けることに。数年後、治療半ばで日本に呼び戻された彼は、街の雰囲気が以前とは一変していることに気づく。行きつけだった猥雑な店はなくなり、飲み仲間や面倒を見ていた不良たちの姿もない。そして町内会の自警団が「安全・安心」のスローガンを掲げて高圧的なパトロールを繰り返していた。やがて、深間の中にずっと眠っていた怒りの感情がよみがえる。『ローリング』の川瀬陽太さんが主演を務め、『横須賀奇譚』の小林竜樹さん、『SR サイタマノラッパー』シリーズの奥野瑛太さんらが共演した。

 

上映後、川瀬陽太さん、松浦祐也さん、松㟢翔平さん、高橋ヨシキ監督。川瀬さんが司会役も担い、自由で笑い溢れる舞台挨拶が繰り広げられた。

 

「本当に何もないところから始まった映画です」とヨシキさんは「思い返せば、2017年に川ちゃんを呼び出して『どうしても映画やりたいんだけど』と言ったものが映画になったこと。それが今日も沢山のお客さんに届けられた。完成して皆さんに観て頂ける状態になったこと。万感の思いですね」と緊張の面持ち。また「晴れがましい舞台に僕は縁のない人生で…」と話しながら、最後に表彰されたという、カゴメ・ケチャップの作文コンクールに関するエピソードを披露していく。本作は、川瀬さんの人脈によってキャスティングが成されており「皆の持てる力が合わさったことで巨大なうねりとなってグイグイくるような映画になったことが嬉しい」と感謝の気持ちと共に伝えていく。

 

登壇した松浦さんについて「衣装合わせの時、『何が何でも白いブリーフを履きたい』と云うから『それは川俣軍司過ぎるから止めてくれ、深川通り魔殺人事件になっちゃうから、違う風にしましょう』と云ってやっていた」と振り返り、松㟢さんについては「衣装合わせの時、ヒップホップよりの若者像しようかな、と思っていたけど、彼のアイデアで、お洒落な方が良いんじゃないか、と」と提案を受けており、様々な人からアイデアを出して頂いた。また、キャッチコピーの「俺は、お前らを殺す」は「リハーサルをしている時、川瀬さんが『ここは、もう一言ないと俺は戦いに入れない』と。そうやって生まれた台詞だった」と披露。これを受け、川瀬さんは「あそこで、殺すことを決めた、という風にしたかった」とフォローしていく。また、終盤のエピソードに関して、プロデューサー的視点で述べ「非常に気分が良かったです」と漏らしていく。

 

キャスティングに関して、松浦さんは「新橋で水澤紳吾と呑んでた時、川瀬陽太さんから連絡がきた」と話し始め、嘘を混じらせながらエピソードを話していく。川瀬さんからツッコミを受けながらも、松浦さんは「ヨシキさんとやるという話を聞いて『是非やらせて下さい』というのがきっかけで僕らを呼んで頂いた」と振り返る。松㟢さんも川瀬さんから声をかけられており「渋谷をお昼に歩いている時でした」と話し始め「大学生の時、学生映画に川瀬さんに出て頂いた。僕は助監督だった。撮影が終わった時、衣装の回収のため、渋谷で待ち合わせた。川瀬さんに『役者をやりたいんですけど、どうやったら売れますか』と聞いたんですよ。『そんなの分かってたら、俺やってるよ』と云われた。でも『続ければ、いいんじゃない』と云われた。続けていたら川瀬さんに電話頂いた」と思い返していく。今回、プロデューサーでもある川瀬さんにヨシキさんがキャスティングを任せており、川瀬さんは「非常にやりやすい人達、『やって』と云われたら自分なりに考えて演じてくれる人達に頼んだのが大きかった」と感じている。ヨシキさんは「それがなかったら、撮影終わってないですね。現場へ行ったら役が出来ている。僕からお願いすることなんかほとんどなくて。素晴らしかったですね」と感謝せざるを得ない。さらに、松浦さんが面白エピソードを明かし、川瀬さんは「面白珍獣に囲まれていた。困ることがなかった」と云いながらも「ヨシキに云われて、作ることになった。ストーリーには、ろくでもない人達が沢山出てくる。すると、役者さんには頼みづらい。損になる役しかない。『激怒』というより『謝罪』。皆に詫びながら出てもらった。でも、呼ばれないと、怒ってくる。俳優ってバカだなぁ」と漏らしてしまう。とはいえ「ヨシキには、助けにはなったんじゃないかなぁ」と察していた。

 

ストーリーに関して、川瀬さんは「世の中、窮屈な感じがあるよね」とヨシキさんと話しており、また「刑事ものが良いんじゃない」と云っていたら、ヨシキさんは「一番最初は、奥さんがドラッグ中毒で、警察の証拠保管庫からドラッグをくすねている刑事がいて、新種のドラッグにハマって『エンター・ザ・ボイド』みたいな世界に入って大変…」と構想。だが「実現不可能じゃねぇか、コレって…」と最初の案は捨てて、再考。「ポスターに出てくるような自警団みたいな人が身の回りに凄くいて、俺が絶対に不審者だ、と思われる。職質もされる。僕が一番窮屈なんですよ。それって、ある種のディストピアだね」と考え「これまで、企画で出したけど通らなかったアイデア。例えば、新宿の使われなくなった地下鉄の駅にホームレスが暮らす地下世界があり、最後に残った地底都市がやられる」と構想し、様々なアイデアを練っていったことを明かす。ここで、撮影で実際に使用された血糊付きの自警団ベストが抽選でプレゼントされ、大盛り上がりの中、舞台挨拶が締め括られた。

 

映画『激怒』は、全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田、京都・九条の京都みなみ会館、神戸・元町の元町映画館で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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