信頼と不信というテーマを軸に、看護師の半径0.5mで起こる出来事が綴られる『なまず』がいよいよ関西の劇場でも公開!
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信頼と不信というテーマを軸に、主人公ユニョンの半径0.5mで起こるハプニング、恋愛、決断といったエピソードがテンポよくつながっていく近距離恋愛群像劇『なまず』が8月12日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『なまず』は、ある女性看護師の周囲で起こる奇妙な人間模様をポップな映像でブラックユーモアたっぷりに描いた恋愛群像劇。ソウル郊外の病院で、1枚の恥ずかしいレントゲン写真が流出する騒ぎが起こる。看護師のユニョンは、その写真が自分と恋人ソンウォンを写したものだと誤解。イ副院長は写真の主をユニョンと決めつけ、彼女に自宅待機を命じる。同じ頃、韓国各地で巨大な穴が出現する怪現象が発生。無職だったソンウォンは埋め戻し工事の職を得るが、仕事中に大切な指輪を紛失してしまう。ソンウォンは同僚を疑い、ユニョンはソンウォンが嘘をついているのではないかと考える。病院の水槽では、そんなゴタゴタを1匹のなまずが見つめていた。
本作は、韓国インディーズ映画界で注目を集める新鋭イ・オクソプの長編初監督作。ドラマ『梨泰院クラス』のイ・ジュヨンが看護師ユニョン、本作では製作・脚本・編集も務めるク・ギョファンが恋人ソンウォン、『オアシス』のムン・ソリが病院の副院長を演じる。
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映画『なまず』は、関西では、8月12日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、8月19日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都で公開。また、神戸・元町の元町映画館でも近日公開。
レントゲン室に書かれている「X-ray」の文字。「X線」という名称は、絵に見えない不思議な光を定義するために「未知」を意味する「X」を用いてレントゲン博士が命名した。彼の名前にちなんで、X線検査のことをレントゲン検査と呼ばれるのは周知の通り。本作は、レントゲン室から始まる、とても奇妙なのに、どこか親近感を感じる不思議な物語だ。
「宇宙船に乗らずに宇宙に行く方法は?」「カモメは人の顔を認識すると思う?」…エキセントリックな会話は、哲学的なテーマの深い問いなのか、ただ単に変な人たちの戯言なのか。何だかよくわからないけれど聞いているだけで楽しい。X線が人の目には見えないものを映し出すように、我々が普段感じていない心の内側にある何かをつつかれるような、なんとも奇妙な距離感の弛緩した心地よさだ。
2019年の第14回大阪アジアン映画祭、クロージングセレモニーでグランプリ作品が発表された瞬間、会場がどよめいた光景も印象的だった。「いや。。。私はおもしろかったし好きだけど、他の方もおもしろいと思ってたんだ!?」と云うかのような、観客の間に広がる安堵の混じった困惑した空気だ。その後、なかなか一般公開が決まらずに映画ファンが諦めかけていたタイミングで満を持しての上映である。ストーリーを説明するのが難しい世界観だが、オリジナリティに溢れる秀逸な作品を鑑賞する満足感が得られることは保証するので、自信をもってオススメしたい。
fromNZ2.0@エヌゼット
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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