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一人息子を亡くした夫婦の30年を描く『在りし日の歌』が関西の劇場でもいよいよ公開!

2020年5月22日

(C)Dongchun Films Production

 

改革開放後から2000年代までの激動の中国を背景に、ひとり息子を亡くした夫婦の葛藤を緻密な脚本と美しい映像美で描く『在りし日の歌』が、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う休業要請の緩和により、5月29日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『在りし日の歌』は、1980年代から2000年代の激動の中国を背景に、喜びと悲しみ、出会いと別れを繰り返しながらも共に生きていく夫婦の姿を映し出すヒューマンドラマ。国有企業の工場に勤めるヤオジュンとリーユン夫婦は、中国の地方都市で幸せに暮らしていたが、大切なひとり息子シンシンを事故で亡くしてしまう。悲しみに暮れるふたりは住み慣れた故郷を捨て、親しい友人とも距離を置き、誰も自分たちのことを知らない町へと移り住む。そして時は流れ……

 

本作は、『北京の自転車』『我らが愛にゆれる時』で知られる中国第6世代の名匠ワン・シャオシュアイが、『薄氷の殺人』のワン・ジンチュンと『黒衣の刺客』のヨン・メイを主演に迎えて描き、第69回ベルリン国際映画祭で最優秀男優賞と最優秀女優賞をダブル受賞した。

 

(C)Dongchun Films Production

 

映画『在りし日の歌』は、関西では5月29日(金)より、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、京都・烏丸の京都シネマで公開。また、6月5日(金)より、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸でも近日公開。

上映時間3時間、と聞いて正直しり込みしていたが、心配無用。時代を行き来する構成をじっと見守っている間に、短い体感時間で終わってしまった。文化大革命後に始まる激動の中国が歩んだ半世紀、夫婦で寄り添いながら生き抜いた夫婦の物語だけでなく、さらに踏み込んだ泥臭さのある話である。だが、後味は決して悪くない。

 

時系列が交錯して進む物語であり、最初は戸惑ってしまう。されど、夫婦の時を重ねた様子、深めていく老いの描写が絶妙であり、今はどの辺りの時代か自然と分かる。予備知識なく観ても素直に理解でき、先に粗筋を読んでおけば物語に入りやすくなるだろう。

 

劇中の印象的な場面でたびたび流れる「蛍の光」は、本来はスコットランド民謡。諸外国に伝わり、各国の言葉に歌詞がローカライズされた。「蛍雪の功」にちなんだ苦学に励む内容へと変換された日本語版と比べ、中国版の歌詞は原曲の意を深く汲んでおり、旧友を懐かしむ歌詞になっている。さらに、本作ではこれ以外の音楽が登場せず、楽曲の印象を一層強めている。

 

邦題では『在りし日の歌』、原題では『地久天長(天地のごとく永久に変わらない)』。どちらも物語を良く表現したタイトルである。そして英語題はあえて調べずに鑑賞し、そのタイトルが映し出される場面で涙してほしい。この3つを合わせて、ひとつの題名が完成するかのようだ。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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