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1990年代の台湾を舞台に、ベトナム移民の女性と地元の人々の姿を描く『徘徊年代』が第17回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門で日本初上映!

2022年3月13日

1990年代の台湾を舞台に、ベトナム移民の女性と地元の人々の姿を2部構成で描く『徘徊年代』が第17回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門で世界初上映された。

 

映画『徘徊年代』…

結婚斡旋業者の仲介で、台湾の地方都市に嫁いできたベトナム人女性ヴァン・トゥエ。外国人妻に偏見のある義母に日々監視の目を向けられ、寡黙な夫とのコミュニケーションも不足気味のトゥエにとって、日々の息抜きは在台ベトナム人の友人との他愛ないおしゃべりであった。そんなある日、仕事のトラブルで情緒不安定となった夫に暴力を振るわれたトゥエは、家を脱出して女性保護シェルターに身を寄せることに。そこでの生活を経て、夫との離婚を決意したトゥエは、台湾での自立を目指すのだが…

 

本作が長編デビューとなるチャン・タンユエン監督は、出世作となった短編『焉知水粉(原題)』(2010)でも新移民をテーマとした作品を手掛けている。物語前半の主役アニー・グエンは自身も新移民で、嘉義新麗美歌劇団に所属する舞台女優であり、後半の主役グエン・トゥ・ハンは人気YouTuberである。義母役のチェン・シューファンは2020年の金馬奨を総なめにしたベテラン女優だ。

 

映画『徘徊年代』は、3月16日(水)17:10よりABCホールでも上映。

1990年代に台湾中南部で深刻な嫁不足を解消するためにベトナムやインドネシアから嫁いでくる外国人妻を積極的に受け入れていた事実を改めて知った。歓迎されるものなのか、と思えば、不信を抱く人間もいるわけで、その間に立たされた”新移民”の方々は、どれだけ苦しい思いをしただろうか。とはいえ、台湾の中で共に生きていかないといけない運命共同体ではある。よって、本作では、まずベトナム人の女性からの視点を以て描き、後半では、地元台湾側の視点から描かれていく。1990年代の台湾におけるグローバル化の中で顕示されていく問題に対して、他の台湾映画ではあまりみかけない雰囲気のある映像を以て壮大な抒情詩として描かれた作品である。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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