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今悩んでいる10代に、この映画が届きますように…『ブルーを笑えるその日まで』角心菜さんと武田かりん監督を迎え舞台挨拶開催!

2024年2月10日

学校になじめない中学生の少女が、屋上で出会った謎の少女と過ごした夏休みを描く『ブルーを笑えるその日まで』が2月10日(土)より関西の劇場で公開中。2月10日(土)には、大阪・十三のシアターセブンに角心菜さんと武田かりん監督を迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『ブルーを笑えるその日まで』は、学校になじめない中学生の少女のひと夏を描いた青春ファンタジー。周囲になじめず、いつもひとりぼっちな女子中学生の安藤絢子(アン)は、ある日、「なんでも屋」という不思議な店で魔法の万華鏡をもらう。翌日、学校でその万華鏡を覗くと立入禁止の扉が開き、その先の屋上で同じ万華鏡を持った生徒の佐田愛菜(アイナ)と出会う。1年前から別室登校をしているというアイナは、アンと同じようにひとりぼっちで、2人はすぐに打ち解ける。屋上にはかつて飛び降り自殺した生徒の幽霊が出るという噂があり、アンはアイナがその幽霊なのではないかと疑いながらも、楽しい夏休みを過ごす。やがて新学期が近づき憂鬱な気持ちになるアンに、アイナはある提案をする。
本作は、初監督作の短編『そして私はパンダやシマウマに色を塗るのだ。』がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭ほか複数の映画祭で受賞やノミネートを果たした新鋭の武田かりん監督のオリジナル長編作品。アン役はスターダストプロモーションの「第1回スター☆オーディション」でグランプリを受賞した渡邉心結さん、アイナ役は「ミスセブンティーン2021」ファイナリストの角心菜さんが務め、いずれも今作で映画初主演を果たした。

 

上映後、角心菜さんと武田かりん監督が登壇。満員御礼状態の中で作品に懸ける思いが伝わってくる舞台挨拶が繰り広げられた。

 

大阪での公開初日を満員御礼にて迎え、武田監督は「東京での上映が応援して下さる皆様のおかげで、2週間のはずが9週間も上映して頂きました。今回、関西進出ということで、大阪出身の角さんは、ずっと関西に映画と一緒に来ることを目標にしていたので、こうして角さんと一緒に舞台に立たせて頂けていることが本当に嬉しいです」と感激の心地。角さんは「ずっと監督とも話していました。ようやくこの日を迎えることができ、夢みたいに嬉しいです」と喜びながら、満席のお客様を前に緊張の面持ちだ。

 

本作を制作する経緯について、武田監督は「私が1人で企画を立ち上げた小さな自主映画が始まりでした」と明かし「大学を卒業した春、10代の方で亡くなる原因で一番多いのが自殺、というショックな記事を読みました。私はずっと誰にも言えず秘密にしていたけど、中学校3年間学校に行けず、高校の時に自殺未遂をしたことが甦ってきました。そういう私の経験は、誰にも言えない秘密として隠して生きていこう、と思っていました」と告白。その記事を読んで「大人になった今では分かるけど、当時は分からなかった”生きていれば、いつかきっと…”というメッセージを言葉では伝えられなくても、映画の力を借りたら届けられるんじゃないか。あの頃の私のように悩んでいる子に届けたい」と決意したことを振り返る。

 

映画初主演となった角さんは「アイナ役が決まって撮影に入るまで1年半程度の時間があったので、役について監督や主演の心結ちゃんとも話す機会が多く、日が経つにつれて作品への思いが強くなり、思い入れのある大好きな作品になりました」と思い返す。2年前にオーディションを行ったうえでキャスティングしており、武田監督は「角さんは部屋に入ってきた瞬間に一目惚れですね。アイナがいた!と思った。アイナは、自分の憧れを詰め込んだキャラクターでした。私にとってはファンタジーな存在だった。現実にそんな子がいるのかな?と思いながらオーディションに挑んでいました」と打ち明け「すると、角さんがイメージにピッタリでした。現実離れした、妖精みたいな雰囲気があり、見た目に惹かれて角さんを選ばせて頂きました」と告白する。オーディションから撮影に入るまでの期間では角さんとよく話しており「角さんの内面を知っていくうちに、なんて心が綺麗で優しい女の子なんだろう、と思った。アンに心の底から寄り添ってあげられる優しいアイナを演じられるのは角さんだったな、と思えた。本当に出会えて良かった。角さんでなければアイナが出来上がらなかったな」と確信できた。アイナについて、角さんは「普段からよく笑う女の子なんです。私も家族や友達の前では常にニコニコ笑うので、似ているなぁ」と共感している。

 

 

撮影では、9月1日の教室でのシーンを撮ったことが一番のお気に入りの武田監督。どのシーンも大好きであるが「あのシーンは、現場が一つになって空気が違ったんです。映画の魔法がかかったシーンだな」と印象深く「いつも笑顔のアイナが涙を唯一見せるシーン。現場でいきなり作り上げるのは難しく、時間がない中で思うようにできず歯痒かった。でも、スタッフ達に相談し、5分だけ角さんと2人で話せる時間を頂けた。そこで、廊下に出て角さんと話していたら、涙を流して聞いてくれた。これだ!と思って、そのまま直ぐに現場に戻り撮影しました。角さんの素晴らしさが出ていた。角さんと一緒に作れてよかったな」と感慨深げだ。角さん自身も苦労したことへの思いがあり「撮影直前まで悩んでいたんです。監督が実際にいじめられていた時の感情を伝えて下さった。私自身もアイナになれた気がした。役に入り切れたシーンだな」と印象深い。角さんは、川での撮影したシーンが気に入っており「リハーサルを一番しました。何回も練習してイメージが出来ていたけど、実際に川の中に入って演じてみると、演技が違っていた。水の中だといつもと違う。心結ちゃんと何回もやって、良いシーンが撮れたかな」と満足している。武田監督は「川の中での撮影は体力が必要であり危険。日も落ちてきて限られた時間しかなかった。長回しで3回撮ってみたけども、1回目が一番良かった。川は大変だったけど、撮ることが出来て良かった。でも、危険にならないように、ロケハンでは私が最初に制服で飛び込んでチェックして2人に入ってもらいました」と十分に配慮したことを伝えた。

 

なお、キャスティングは2年前、その後にパイロット版を撮影した上で1年後に本作のクランクインをしている。角さんは、アイナ役が決まった時は俳優としての活動を始めた頃であり、本作が初めての映画であったことから、オーディションに受かったことを聞いた際には「嬉しかったけど…私に出来るのかな」と不安が大きかった。撮影までの1年間は、演技について勉強した上で臨み、撮影で褒めてもらう経験もあり「台本を覚えないといけない…!と考えていたら、ネガティブな時期もありました。この作品を通して演技することが大好きになりました。楽しめるようになりました」と充実した気持ちになっている。そんな角さんの変化について、武田監督は「パイロット版を撮り、1年後に必ず会いましょう、と約束した。私は、アンとアイナのことをずっと考えながら脚本を直し続けた。でも、角さんと再会し彼女の演技を見て、角さんも同じだったんだ、とすぐに分かった。必ず作ることを信じて、一緒に1年を歩いてきたんだな」と感じられ、嬉しさに満ちていた。

 

 

最後に、角さんは「沢山の人に届いていくことを実感できた幸せな1日になりました。SNSに書いて頂いた感想が、一人でも多く作品を必要としている方に届いてくれたら」とメッセージ。武田監督は「私は、あの頃の経験を乗り越えたのかな、と公開後も考えることがありました。あの頃を思い出すと、今でも辛くなってしまう時もあります。だけど、それでも生きていて良かったな、と思います。あの時に死んでいたら、この映画を作ることもなかった。この映画を作っていなかったら、スタッフや素敵な役者の皆さんと出会うことがなかった人生なんだな、と思ったら、私は生きていて良かったな。そんな風に思わせてくれる出会いは私だけの特別なものではなく、生きていれば必ず皆にあるんです」と思いを込め「『ブルーを笑えるその日まで』は、それぞれのその日が来るまで一緒に歩んでくれる映画です。現実にアンのような子にアイナのような出会いがなかったとしても、アイナは皆にあります。それは、自分の好きなものをアイナにして、この映画をアイナにしてくれたら嬉しいです。この映画を必要としてくれている人がきっとまだ今もどこかで待っています。もし近くに悩んでいる10代の方がいたら、この映画を紹介して頂けたら嬉しいです。SNSで感想を書いて、この映画を広めて、10代の今悩んでいる子に届けるお手伝いをして頂けたら」と願い、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『ブルーを笑えるその日まで』は、2月10日(土)より大阪・十三のシアターセブンと神戸・元町の元町映画館で公開中。また、3月1日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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