コロナ禍で“人と仕事”の現状を伝えるドキュメンタリー『人と仕事』がいよいよ劇場公開!
(C)2021『人と仕事』製作委員会
コロナ禍で働き方が変わってしまったさまざまな職業の人々の元を訪れ、現代社会の陰影を映しだす『人と仕事』が10月8日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『人と仕事』は、有村架純さんと志尊淳さんが、コロナ禍の日本でさまざまな仕事に従事する人たちの現状をレポートするドキュメンタリー。2020年、有村さんと志尊さんが出演する劇映画の制作が進められていたが、新型コロナウイルス感染症拡大により、緊急事態宣言が発出されたことで撮影協力を得ることができず、クランクイン1カ月前で中止せざるを得ない状況となった。しかし、『新聞記者』や『パンケーキを毒見する』を手がけた河村光庸プロデューサーのアイデアにより、コロナ禍での人びとの声を聞く、ドキュメンタリー企画が始動した。看護学生の女性、シングルマザーとして奮闘する母親、児童相談所の職員、農家、エッセンシャルワーカーと呼ばれる保育士や介護福祉士といった人びとを相手に、有村と志尊がインタビューを敢行し、時にはその仕事を体験する。コロナ禍で生きる人びとの声を聞き、働く人びとの姿を通じて、2人は俳優業という自分たちの仕事についても改めて見つめなおしていく。監督は『さんかく窓の外側は夜』の森ガキ侑大さん。
(C)2021『人と仕事』製作委員会
映画『人と仕事』は、10月8日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮の神戸国際松竹などで公開。
有村架純さんと志尊淳さんが出演、森ガキ侑大監督による劇映画の制作が緊急事態宣言を受け中止に…同様の出来事が昨年以降は多く起こっていただろう。されど、空いてしまった時間を活かして、ドキュメンタリーを制作するという方針転換は興味深い。制作しようとしていた作品の内容に準え、人と切っても切れない仕事に着目した内容は意義深いといえよう。コロナ禍により改めて認識されるようになったエッセンシャルワーカーと呼ばれる人達。この方々のおかげで以下に私達の生活が成立していたかと実感させられる。環境が完全に整っていない中でリモートワークが導入されたが、最初の緊急事態宣言が解除されて以降は、通常の勤務に戻した企業も、継続した企業もあり、世の中にある分断も様々。しかし、エッセンシャルワーカーの状況は変わらない、いや、過酷になっている労働環境もあろうか。そこで、ドキュメンタリー映画制作の為とはいえ、カメラを向け、俳優や監督が実際に伺うのは、これまでありそうでなかったプロセスだと感じる。
カメラは夜の街と呼ばれた場所にも向けられていく。報道によっては、印象が悪くなるような捉え方がされてきたが、本作では真摯に向き合っている。俳優が向かうには難しい現場については森ガキ監督自らが向かっていく。そこには世間のイメージとは一線を画す現実があった。それらを知るだけでも十分に意義深い作品である。さらには、これからエッセンシャルワーカーと呼ばれる人達が多くいるであろう現場で働き出そうとする人達にも注目していく。もはや、コロナ禍におけるお仕事を描くだけのドキュメンタリーだけには収まらない作品になっている。まさにタイトル通り「人と仕事」について描いた一作として完成していた。今こそ、そしてこれからも十分に観るべき意義深いドキュメンタリー作品である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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