両親の復縁を願う少女の切なる思いを描く『にじいろトリップ~少女は虹を渡る~』が関西の劇場でもいよいよ公開!
(C)国映株式会社
雨降るキャンプ場を舞台に、両親の復縁を願う少女の切なる思いを描いたミュージカル仕立ての短編作品『にじいろトリップ~少女は虹を渡る~』が10月2日(土)より関西の劇場でも公開される。
映画『にじいろトリップ~少女は虹を渡る~』は、雨のキャンプ場を舞台に、両親の復縁を願う少女の気持ちを歌にのせて描いたミュージカル仕立ての作品。小学5年生の晴花は両親とキャンプ場にやってくるが、離婚間近の両親は険悪な雰囲気になってしまう。願い事がかなうという滝を目指し、ひとり森に出かけた晴花は、途中で出会った同い年の男の子・大地の道案内で滝にたどり着き、両親の仲直りを願う。その後、森の中で腹痛に襲われた晴花は倒れているところを発見されるが、そのことでまた両親が言い争いを始めてしまう。その様子を目にした晴花は、思わずその場を逃げ出すが…
本作は、『れいこいるか』が「映画芸術」の選ぶ2020年日本映画ベストテン1位に選出されるなど高い評価を得たいまおかしんじ監督が手掛けた短編作品。主人公の晴花を、テレビ東京系「THE カラオケ★バトル」に出場してその歌声が注目を集め、ミニアルバムもリリースしている櫻井佑音さんが演じた。
(C)国映株式会社
映画『にじいろトリップ~少女は虹を渡る~』は、関西では、10月2日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォ、10月8日(金)から京都・出町柳の出町座、10月16日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。
ピンク映画界では「ピンク七福神」の一人に数えられる、いまおか しんじ監督。昨年公開された一般作品『れいこいるか』では、阪神淡路大震災を題材に夫婦の23年間の葛藤と絆を描いたヒューマンドラマを制作し、簡単に言葉では表現できないような切なさがある胸にグッとくるさくひんだった印象が残っている。批評家の評判も良いことが納得できる一作であった。本作は、39分の短編作品ではあるが、その手腕を発揮している。
離婚目前の両親との最後の思い出づくりにキャンプに出掛けた家族の一人娘である晴花が主人公。心の内に抱えている複雑な感情をミュージカル仕立てに表現していく。これは、子どもだからこそ、子どもの気持ちを持っている者だけが出来る表現として描いている。つまり、まだ子どもの心を持っている大人であるならば表現もできるというシチュエーションだろうか。ならば、子どもの心が消えてしまった大人ならば、歌をうたうことすら切なさを伴って表現せざるを得ない、とも説いているかもしれない。劇中で母親が歌った唄には切なさが込められ、胸にグッとくるものがあった。そして、本作が初主演となる櫻井佑音さんの堂々たる演技力に圧巻。思春期を迎えようとしている少女を存分に演じきっていた。とある家族に起こった一泊旅行での出来事を最後の最後まで味わってもらえたら、きっといいことが起こるかな。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!