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ナレーターはティルダ・スウィントン、作曲家ヨハン・ヨハンソンの監督作『最後にして最初の人類』がいよいよ劇場公開!

2021年7月22日

(C)2020 Zik Zak Filmworks / Johann Johannsson

 

オラフ・ステープルドンの同名小説を基に、20億年先の未来に生きる人類第18世代が、20世紀に生きる第1世代に語りかける姿を、未来世紀を表現した幻想的な映像美で描く『最後にして最初の人類』が7月23日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『最後にして最初の人類』は、『メッセージ』『ボーダーライン』『博士と彼女のセオリー』等の映画音楽を手がけたアイスランド出身の作曲家で、2018年に早世したヨハン・ヨハンソンが生前に取り組んだ最初で最後の長編監督作品。1930年に発行されたオラフ・ステープルドンのSF小説の古典を、アカデミー賞女優ティルダ・スウィントンのナレーション、全編16ミリフィルムで撮影された旧ユーゴスラビアに点在する巨大な戦争記念碑であるスポメニックの映像群、ヨハンソンが奏でるサウンドにより映像化。もともとはシネマコンサート形式で生演奏とともに上映されていた作品で、仲間たちの尽力により、ヨハンソン没後2年の時を経て1本の長編映画として完成された。

 

(C)2020 Zik Zak Filmworks / Johann Johannsson

 

映画『最後にして最初の人類』は、7月23日(金)より全国の劇場で公開。関西では、7月23日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田と京都・烏丸御池のアップリンク京都、8月6日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。

16ミリフィルムならではのざらつきを以て、20億年先の未来に生きる人類の1人をティルダ・スウィントンがナレーター代わりに我々に語りかけてくる本作。まずは、旧ユーゴスラビア連邦共和国の共産主義時代に建てられた、未来的かつ抽象的な石のモニュメント群であるスポメニックを象徴的に映し出し、視覚的に訴えかけてくる。第二次世界大戦の戦場や強制収容所での大虐殺が起こった場所に、不幸な歴史を語り継ぐために建てられたものであり、複雑で民族的かつ政治的な力学までも表現していく。いわゆる終末期の最果てには。このような現実しか残っておらず、ならば、あなた達には…と問われているようでもあった。

 

本作は、1930年にオラフ・ステープルドンが発表した小説がベースとなっている。丁寧な言葉を以て、学術的であり、人類学や歴史学について大いに論じていた。とはいえ、詩的な表現も多用されており、哲学の極みだと感じてしまう。語りかけてくるのが終末期の行く末に存在する最後の人間であるならば、我々がなんらかの施策を実践することで、新たな税所の人類になる可能性だってあるのかもしれない。そんな風にも捉えることも出来る本作のタイトルは秀逸である。

 

そして、なんといってもヨハン・ヨハンソンによる音楽。本作には映像と音楽のみで構成された長いセクションがいつくもあり、レクイエムとしての側面を与えていく。決して荒々しい劇伴が流れているのではなく、繊細な音が流れていくスピーカーの奥で流れているようでもある。気づくとじっと耳を傾けてしまう。鼓膜に響いてくる音は一つも漏らさず聞いていたくなった。これまで数多くの楽曲を生み出した作曲家ヨハン・ヨハンソンによる最初で最後の長編監督作品は是非とも可能な限り良い音を表現できる映画館のシアター内で存分に堪能したい。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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