女子高生となったベラが周囲を狂わせていく…!『妖怪人間ベラ』がいよいよ劇場公開!
(C)2020映画「妖怪人間ベラ」製作委員会
妖怪人間ベラが女子高生という意表をついた設定で狂気のストーリーが展開していく『妖怪人間ベラ』が、9月11日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『妖怪人間ベラ』は、テレビアニメ「妖怪人間ベム」に登場するキャラクターの妖怪人間ベラに焦点を当て、女子高生という新たな設定で描く実写作品。広告代理店に勤める新田康介は、今やすっかり忘れ去られた「妖怪人間ベム」の特集のため、とある廃墟を訪れる。そこで偶然にも幻の最終回を目にした彼は、その衝撃の結末に正気を失いそうになる。同じ頃、街の高校に転校してきた少女ベラは周囲と明らかに異なる雰囲気を持ち、いつも1人で過ごしていた。そんなベラに興味を抱いた同級生の牧野沙織は仲良くなろうと近づくが、得体のしれない狂気に精神をむしばまれていく。執拗にベラを追う新田も狂気的な行動を繰り返すようになり、妻の鮎美は探偵の霧島に調査を依頼するが…
本作では、ベラに人生を狂わされていく主人公の新田を『レディ・プレイヤー1』の森崎ウィンさん、ベラをファッションモデルのemmaさんが演じる。共演に、堀田茜さん、吉田奏佑さん、吉田凜音さん、桜田ひよりさん、清水尋也さん、六角精児さんらも共演に名を連ねた。監督は『貞子3D』『賭ケグルイ』の英勉さんが務めた。
(C)2020映画「妖怪人間ベラ」製作委員会
映画『妖怪人間ベラ』は、9月11日(金)より、大阪・梅田のテアトル梅田(1週間限定上映)、難波のなんばパークスシネマ、京都のT・ジョイ京都、神戸の109シネマズHAT神戸をはじめ全国の劇場で公開。
『妖怪人間ベム』に幻の最終回が存在した…!
冒頭から謎めく本作、リブートの枠を超えたオリジナル作品であると同時に、様々な顔をもった異色のホラーとなっている。原作のアニメーションを知らずとも十分に楽しめるストーリーだが、『妖怪人間ベム』についての予備知識があれば尚良し。随所に散りばめられたファンへのサービス精神あふれる演出も必見の一本だ。
物語は、街に現れた転校生ベラを軸にしながら展開されていく。ベラを介して垣間見える登場人物の心の影を映し出す序盤、徐々に真相に迫りながらも転がり落ちるように事態が悪化する中盤へと続き、クライマックスでは、それまでの不穏なムードから一変して緊張感あふれる様相に。次々と表情が変わり、違ったテイストを味わうことができる。幻の最終回にまつわる謎解きや、思い切った残酷描写もさることながら、本作の見所は、何といっても人間の狂気。ベラに近づくクラスメイトの牧野を桜田ひよりさんが、妖怪人間に魅入られて正気を失っていく主人公の新田を森崎ウィンさんが怪演しており、気が狂った人間の怖さを、これでもかと云った迫力で見せ、珠玉のホラーに仕上がった。特にラストに至るまでの新田の変化には是非注目してほしい。キーとなるベラを演じたモデルのemmaさんは、妖艶かつミステリアスな雰囲気があり、見事に新しいベラを作り上げた。
「人間になんかなりたくない」と、ベラに言わしめてしまうものは何なのか。本作が伝える悲哀なテーマとは。彼らは今日も、闇に隠れて生きている。
fromマエダミアン
従来の人間に憧れる存在であった妖怪人間のベラに、「人間になんかなりたくない」と原作と真逆のキャッチコピーをつけることに興味をそそられる。脚本の筋立てが絶妙なバランスで構成されており、作中では「妖怪人間」がアニメーション(架空の存在)として登場するが、物語が進むにつれ現実との区別が曖昧になっていく様子が非常に興味深い。リアルがフィクションに侵食されていくような感覚、それも原作者の過去と関連しているおかげで自然に融合していく。妖怪人間に魅せられてしまった人が次々と狂っていく描写は、ファンタジーだとわかっていても血の気が引いた。彼女の存在自体が虚構(フィクション)なはずなのに、関わった者の”執着心”を剥き出しにさせ人生を掻き乱していく様は観客を魅了する。『レディー・プレイヤー・ワン』で瞬く間にスターの仲間入りを果たした、森崎ウィンさん演じる康介の存在が本作の肝である通り、前半と後半のギャップが演技の幅を改めて感じてしまう。康介の家庭にはDV(ドメスティック・バイオレンス)を内包する暴力的な描写が登場し、妻の鮎美が外部に助けを求められないような閉鎖感があまりにもリアルで心が締め付けられた。
from君山
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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