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中国の強制労働施設における実態暴くドキュメンタリー『馬三家からの手紙』が関西の劇場でもいよいよ公開!

2020年6月18日

(C)2018 Flying Cloud Productions, Inc.

 

中国で悪名高い収監施設として知られる“馬三家=マサンジャ労働教養所“の実態を暴き、世界中の映画祭で大反響を呼んだ衝撃のドキュメンタリー『馬三家からの手紙』が、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う休業要請の緩和により、6月19日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『馬三家からの手紙』は、アメリカで見つかった中国からの命がけの手紙によって発覚した強制労働施設の実態を描いたドキュメンタリー。オレゴン州に住む女性ジュリー・キースは、スーパーで購入した中国製ハロウィーン飾りの箱の中から1通の手紙を発見する。それは、中国で政治犯として捕らえられた孫毅(スン・イ)が、 「恐怖の城」と呼ばれる馬三家(マサンジャ)労働教養所の中で書いたSOSの手紙だった…

 

本作では、世界を驚愕させたこのニュースの当事者である孫が、中国における人権侵害をテーマとするカナダ在住の映画制作者レオン・リーに連絡を取り、当局の圧力に苦しみながら製作。今なお続く強制労働施設の想像を絶する実態を明らかにしていく。

 

(C)2018 Flying Cloud Productions, Inc.

 

映画『馬三家からの手紙』は、関西では6月19日(金)より京都・烏丸の京都シネマ、6月20日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォ、6月27日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。

本作を一言で言えば「ゾッとした」。ドキュメンタリー映画には、心を抉られたり、真摯に受け止めなければいけない事実を知るきっかけになったり、素晴らしい作品が沢山ある。だが、今回は不快さを通り越し「恐ろしさ」と「理不尽さ」しか感じることが出来ず、次の日に寝込んでしまった。鑑賞後のやるせなさをどう表現するべきなのかわからないほど困惑してしまった。

 

アメリカに住むある一家が購入したハロウィーン商品の中に入っていたひとつの手紙が発端で、世間へと公になった非道な事実がベースとなっている今作。その事実の本質に対し、手紙の送り主でもあり、拷問が日常化した労働教養所の受容者(被害者)でもある主人公スン・イが自らの体験を語りながら切り込む形となっている。馬三家労働教養所の回想シーンはアニメーションでの再現となっているが、アニメーションであっても少し覚悟のいるシーンが挿入されている。

 

馬三家事件について、さらに調べようとインターネットを駆使したが、本作品に関するレビューやインタビューがほとんど。2012年に起きた実際の手紙の記事は極小数、2013年の告発記事以外は殆どヒットしなかった。情報がかなり少ないという事実すら、この作品の背後にある圧力を暗示しているかのようだ。私たち鑑賞者がするべきことは決して多くはないが、孫さんに報いるためには「出来事を知っておく」という行為だと感じる。ラストシーンを目の当たりにすれば感じざるを得ない。私たちがどんな思想であろうとそれは自由である。特定の団体に入っていただけで、国家の名の元に人権を著しく侵害されることが起きることは、現代における社会性、倫理観を著しく欠いていると感じ、ゾッとした。笑い事では済まされない、非道な行いが今も、この映画を観なければ私たちが一生知ることの無い場所で行われているのだということくらいは知っておくべきだろう。もっと知りたい方は「法輪功」で調べることを強くお勧めする。歴史を知ることは「義務」であるとつくづく感じる映画だ。

from君山

 

「私は死んだのか?いや、まだ死んではいない。それならあと少しだけ頑張れる。」理不尽に収監され、拷問、虐待、洗脳を受け、それでも彼は屈せず世の中を変えようと抵抗し続けた。彼が終始強く在れたのは異常な理念に身を捧げたからではない。一貫してただ単純なことを求めたに過ぎない。人間的な世界で自由に生きうることであろう。その為にはどんな苦難も厭わなかった。

 

街を行き交う人々の平穏な様子にはショックしかない。馬三家で正当な理由なく人々が非情な扱いを受ける一方、街にはごく普通の生活が広がっている。街の様子が自分の日常と重なって見え、残虐な迫害が現行の身近な事実であることを実感した。安心で快適に思える世の中でさえ、どこかで馬三家と繋がっている気がする。平穏さに甘んじて何も知らないことを怖いと思うと同時に、彼とジュリー・キースが出会ったように自分に出来ることが必ずあるようにも思えた。

 

強制労働制度は廃止されても迫害は終わっていない。やり方を変え機密性を高めながら、ごく平穏な日常の陰で今も卑劣な行為が続いていく。本作は、彼が過酷な生活の中で懸命に残した世界へのメッセージである。彼が託した思いに真摯に応えたい。自分に出来ることはまず誰かにこの真実を伝えることだと思った。彼の命がけのメッセージがどうか一人でも多くの人に届いてほしい。

fromため

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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