Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

  • facebook

音楽からも台湾を感じて映画の世界に入り込める…『恋恋豆花』今関あきよし監督と洸美-hiromi-さんを迎えトーク&ライブ開催!

2020年3月29日

人生に行き詰った女子大生と父親の再婚相手の女性のふたり旅を通じて、人と人の繋がりを描き出す『恋恋豆花』が関西の劇場でも公開中。3月28日(土)には、兵庫・伊丹のクロスロードカフェにて今関あきよし監督と洸美-hiromi-さんを迎え、映画『恋恋豆花』公開記念 トーク&ライブが開催された。

 

映画『恋恋豆花』は、台湾を舞台に描いたヒューマンドラマ。大学生の奈央は学校での人間関係や恋愛に嫌気が差し、中退を考えていた。そんな折、父・博一の提案で、彼の3度目の結婚相手である綾と台湾旅行をすることに。父の再婚相手というだけで良く知らない女性との旅行に不満を抱えながらも、せっかくだから思い切り楽しもうとする綾。そんな彼女の台湾旅行には、思いがけない出会いが待っていた。
ベラルーシ、ウクライナ、モスクワなど世界を舞台に映画を撮り続けてきた今関あきよしさんが本作を監督。モデルとして注目を集めるモトーラ世理奈さんが主演を務め、綾を『ヘヴンズ ストーリー』の大島葉子さん、日本人バックパッカーの清太郎を『DIVE!!』の椎名鯛造さんがそれぞれ演じる。『若葉のころ』などで知られる台湾の人気俳優シー・チーティエンが本人役で特別出演。

 

 

まずは、洸美-hiromi-さんのライブからスタート。昨年は日本でも大ヒットしたタピオカミルクティーがモチーフの「珍珠奶茶〜タピオカミルクティー〜」を披露。間奏では音に合わせてストロー笛のジェスチャーもしていく。洸美-hiromi-さんは、日本と台湾のハーフで18歳まで台湾で生まれ育った。台湾は亜熱帯気候のエリアにあり、現在は半袖になるほどの暑さになっている。そんな台湾では、お茶が好まれており「一杯茶」を披露。小さな銅鑼を携えて鳴らし、サビでは一緒にコールアンドレスポンスも行っていく。

 

日本語の方が話しやすく、中国語は日常会話レベルで問題のない洸美-hiromi-さん。幼い頃から家庭では日中両方の言語を使っており「台湾人の母はこの逆なんですね。日本語の方が苦手で中国語の方が話せます。2人とも分からない言葉が出てきた時、2ヶ国語共にペラペラな父の帰りを待っています。でも、返ってきた頃には2人とも何を話していたか忘れていました」とエピソードを披露していく。小・中学校は日本人学校に通い、高校は現地の学校に通った。友達と話す中国語は問題なかったが「授業では何を言っているのか分かりません。とにかく美術と音楽を頑張りました」と告白。しかし「こんな中国語でも台湾の友達は沢山出来たし、今でも台湾に帰ると会ってくれる友達も沢山います。言語はあまり大事じやないな。伝えたい思いと相手が知りたいという気持ちがあれば良いんじゃないかな」と気づき「この思いを中国語で書いて台湾の方にも伝わる曲を書きました」と語り「有你真好」を披露した。

 

本作は、血の繋がっていない母と娘が台湾を旅して様々な人に会い、台湾の景色を観て沢山の食べ物を食べながら、心が惹かれ合っていく物語に仕上がっている。台湾を舞台にした映画を制作して頂いたことについて「人と人の心が惹かれ合う台湾を監督が選んでくれたことが凄く嬉しい。沢山の日本人が台湾を好んでくれて嬉しさで一杯です」喜びを表し「この御時世だからこそ観て良かったな。ありふれた日常の台湾を淡々と描いているから、却ってホッと出来た」と既にご覧になったお客さんからの感想を紹介していく。本作のタイトルと同名の「恋恋豆花」を披露し「通常の映画より歌が多く使われています。私の他にも2名の歌い手がいます」と紹介。また、劇伴をプロデュースした田中どぼん俊光さんが「新婚さんいらっしゃい」に出演したエピソードまで披露しながら、本作のオリジナル・サウンドトラックには台湾で収集した日常の音を取り入れており「自然と台湾の雰囲気が出せるかな」と提案されたことも明かす。ライブの最後に「夜来香」を披露した。

 

小休止を経て、今関監督も交えてトークショーを展開。「ほっこりする映画なので、旅した気分にもなるし、観終わった後に台湾料理屋さんに行きたくなる。楽しんでもらえる映画になったかな」と劇場公開後の心境を語っていく。オリジナル・サウンドトラックにはボーナストラックが収録されており、映画音楽の制作秘話が詰め込まれている。「洸美-hiromi-ちゃんのライブシーンは、台中のライブが出来るカフェをお借りしています。バンドメンバーも呼んで、日本からも洸美ちゃんファンのエキストラに来て頂いた」「モトーラ世理奈は台湾でも人気。モデルとして有名」と現地の様子を紹介し、さらには「洸美-hiromi-ちゃんの実家も登場します」と明かす。洸美-hiromi-さんは「私の実家はびっくりするよね」と反応。今関監督は「食べ物を運んで頂いた方はエキストラではありません」と告げると、洸美-hiromi-さんは「お母さんです」と打ち明けた。今関監督は「お母さんに出演してもらうための作戦もあったよね」と振り返り、洸美-hiromi-さんは「実家をお借りすることは伝えていたんですよ。母が果物を持ってくるシーンは決まっていたんですが、事前に言っておくと、照れ屋なお母さんは出演してくれない。私と弟と父だけの秘密にしていた。当日、果物のカットだけはお願いし、キッチンから持ってくることをお願いして届けてくれたところを無事にカメラに収めた」と撮影秘話を語った。しかし「でも、撮影の後半ではノリノリだったよね」と今関監督が明かすと「本当に台湾人のエキストラみたいですよね。劇場で観た時に『お母さん、めっちゃ上手』」と洸美-hiromi-さんは喜んでおり「実は、ライブシーンより先に実家でのシーンを撮っています。ライブ中の演技と違い、台詞もあって緊張しますよね。監督がリラックスさせてくれて世間話もしてくれた」と感謝している。

 

なお、今関監督は、当初考えていた作品は「誰もいなくなった台湾の家に日本人の妹が帰ると、死んだはずの姉が出てくる…というコミカルな幽霊モノ」と、ドラマ要素が高い姉妹の話を考えていた。だが、シナリオを作成しロケハンをしていくなかで様々な方に出会い「皆素敵だったので、彼らを活かした映画の方が良い」と考え方向転換し「僕が出会った人達にモトーラさんと大島さんが出会う話が良い」と旅を前面に出した作品に変更していく。洸美-hiromi-さんも「最初は書き下ろしの挿入歌での参加と聞いていたのに、台本が変わって、私が出るの?」と驚いた。台湾を好きになっていく今関監督だが、最初は豆花を最初は知らなかったが「ハマっちゃって豆花の美味しい店巡りもした。意外と知っているようで知らない」と新たな台湾の魅力を発見。「侯孝賢監督の『恋恋風塵』から“恋恋”を頂いて“豆花”を付けました。無理やり台湾を入れ込もうとした内容から、僕が台湾を好きになり豆花を好きになりライトテイストに変えたのが今作」だと述べ「モトーラが主演の『風の電話』がメインディッシュなら今作はスイーツ。モトーラファンなら両方を観てほしいなと諏訪監督とも話している。構図は旅をする話として陰陽の違いはありますが似ています」と解説した。

 

映画音楽に携わり、洸美-hiromi-さんは「私はライブがメインで生で聴いてもらうことをお仕事でも多いんですね。メディアに出ることを避けてもいないので、映画に挿入歌を3曲も取り上げて頂いた」と喜んでいる。今関監督は「珍珠奶茶〜タピオカミルクティー〜」の中国語版をとあるシーンにあててみて「スッキリ収まったので、ボーカル付きの楽曲を取り入れた」と明かす。これをうけ、洸美-hiromi-さんは「挿入歌だけでなく、ライブシーンもそのまま収められている。このシーンで泣いたと多く聞き、私がビックリした。さらに実際のライブを観たいという声も多く有り難い」と感謝していた。

 

台湾でのマスコミ試写も行っており、今関監督は、現地の記者から台湾での撮影における苦労を聞かれたが「良いブレーンがいたので言語の苦労はなかった。唯一あったのは、有り難迷惑なんですね」と挙げる。「撮影で食べ物屋さんに入るけど、撮影を終えて次のお店に向かう時にお店の方が気を利かせてスタッフ全員分の食事を用意してくれた。おかけで凄く太るんですよ」と明かし、この話題がインターネット上のニュースの見出しになってしまう。予定していたお店に入るだけでなく「2人が美味しそうに見えて入りたくなったお店も入ってみて、お客さんが一杯なのに撮影を承諾してくれた。彼女達は1日に5,6食も食べたので、一番大変だった」と労いながら「皆が嫌なイメージを持たずに台湾を満喫しました」と一安心。本撮影終了後には、食べ物や街の雰囲気を撮る追撮を何度も行っており、やっとの思いで完成した。今後は、台中や台北での劇場上映を望んでおり「もう1本を台湾で撮りたい。台南で撮りたいなぁ。下調べはしていて、動けるようになったら直ぐにでも飛んでいきたい。僕は外国でずつと撮っており、台湾はハマったなぁ」とさらなる展開を楽しみにしている。

 

映画『恋恋豆花』は、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

Popular Posts