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ドラマの結末巡りイスラエルとパレスチナが対立!?『テルアビブ・オン・ファイア』がいよいよ関西の劇場でも公開!

2020年1月30日

(C)Samsa Film – TS Productions – Lama Films – Films From There – Artemis Productions C623

 

イスラエル・パレスチナ問題を背景に、イスラエル軍人に嘘をついたことから災難に見舞われる、パレスチナ人TVドラマ制作スタッフの悪戦苦闘を描く『テルアビブ・オン・ファイア』が、1月31日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『テルアビブ・オン・ファイア』は、パレスチナ系イスラエル人のサメフ・ゾアビ監督が、複雑なパレスチナ情勢を皮肉とユーモアに包んで描いたコメディドラマ。1960年代の第3次中東戦争前夜を舞台にした人気メロドラマ「」。その制作現場でインターンとして働くパレスチナ人の青年サラムは、撮影所へ通うため毎日イスラエルの検問所を通らなくてはならない。ある日、妻がドラマの大ファンだという検問所の主任アッシから脚本のアイデアをもらったサラムは、制作現場でそのアイデアを認められて脚本家へと出世するが……。

 

本作では、主人公サラム役を「パラダイス・ナウ」のカイス・ナシェフが演じ、イスラエルの俊英サメフ・ゾアビ監督が、ユーモアを盛り込みながら、ふたつの民族の現実を軽やかに描写する。

 

(C)Samsa Film – TS Productions – Lama Films – Films From There – Artemis Productions C623

 

映画『テルアビブ・オン・ファイア』は、1月31日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、2月1日(土)より京都・烏丸の京都シネマで公開。また、4月11日(土)より、神戸・新開地の神戸アートビレッジセンターで公開予定。

 

「劇中劇」が描かれる作品はいつも面白い。劇中で撮影される映画の中のヒロイン・ラヘルの恋愛劇が、主人公サラームの実生活の恋のゆくえに影響していく様は、ロマンチックでドラマチックだ。

 

本作は軽快なコメディだが、ギリギリのバランスの上に成立している奇跡のドラマでもある。イスラエルとパレスチナ、第三次中東戦争から50年経った今も、文字通り高い壁で隔絶された二つの独立国家。いわゆるパレスチナ問題を背景に、和平と共存が実現されることはとても難しく、相容れない境遇にある2人が共に知恵を絞り、メロドラマの脚本を組み立ててゆく。そんなことあるわけない?いやでも、あり得るかも?パレスチナのドラマなのに、イスラエルの人々が夢中になって見ている、絶妙なシチュエーションが可笑しくて、そして登場人物たちの危うすぎる関係にハラハラする。

 

世界史や時事を普通に知っていれば説明は不要だが、もしもこのあたりの事情に明るくなければ、歴史と地理関係の簡単な概要を先に少しだけ調べておくと、本作が格段に楽しめるだろう。パレスチナはイスラエルの領土の内側に、囲いを作ったような形で存在する国で、実際に高い壁で囲まれている。サラームが車で通勤する車窓から見えるのがこの壁だ。イスラエルはヘブライ語、パレスチナはアラビア語が公用語。そしてテルアビブはイスラエルの西端にある、地中海沿いの都市である。

 

ラストは痛快で、まさに「爆発的に」面白い。そして、本作を観終わって、「あぁ面白かった!」と劇場を後にしたあと、きっとこの二国の歴史をもっと詳しく知りたくなるだろう。つい先日、トランプ大統領が中東和平案を公表し、イスラエル寄りの内容である、と報じられたばかり。つまり、アッシ司令官たちの側を、アメリカが支持していると思っていい。この映画を観るのには、今がこれ以上ない絶好のタイミングだ。

fromNZ2.0@エヌゼット

 

パレスチナ問題を背景に、本作のようなエンターテイメントムービーが作成されたことに驚く。検問所を通らないといけないシビアなシーンかと思えば、一転して検問所から物語は広がりを見せる。検問所でのサラムの小さな嘘から始まり、イスラエル軍司令官であるアッシがサラムに脚本の口出しをする様子までのほぼ全てがコメディテイストで描かれていく。

 

コメディ調であるがゆえに、パレスチナ問題の抱える重さを途中忘れがちになってしまう。しかし、後半のドラマの結末をめぐる2人の争いがまさにパレスチナ問題を彷彿とさせるため、先程のお気楽な状況から一転、物語の着地がまったく予想できなくなる。コメディとしてラストまで一貫するのか、はたまた劇的な結末を迎えるのか。オチを迎えるまでの観客に課せられる「待ちの時間」がとにかく映画体験として気持ちがいい。本作が迎える結末に関しては、作者のパレスチナ問題に対する考え方を感じられる素晴らしい内容になっている。是非とも劇場で自身の目を通して確かめていただきたい。

fromねむひら

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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